精巣上体炎(せいそうじょうたいえん、: Epididymitis)とは、精巣上体(副睾丸)に炎症が起こる病気の事である。副睾丸炎(ふくこうがんえん)とも呼ばれる[3]

精巣上体炎
別称 精巣上体の炎症[1]
尿細管にフィブリン膿性滲出液を伴う急性精巣上体炎
概要
種類 急性(<6週)、慢性(>12週)[1]
診療科 泌尿器科, 感染症
症状 精巣の奥の疼痛、精巣腫脹、排尿時灼熱感、頻尿[1]
発症時期 1日から2日[1]
原因 淋菌, クラミジア, 腸内細菌, 尿の逆流[1]
診断法 問診、触診、超音波検査[1]
鑑別 精巣捻転, 鼠径ヘルニア, 精巣腫瘍, 精巣炎[1][2]
合併症 男性不妊症, 慢性痛[1]
使用する医薬品 NSAIDsセフトリアキソンドキシサイクリンオフロキサシン[1]
治療 鎮痛剤, 抗生物質, 挙上[1]
頻度 600,000人/年(15-35歳, US)[2]
分類および外部参照情報
Patient UK 精巣上体炎

原因 編集

大腸菌ブドウ球菌連鎖球菌などの細菌感染が原因とされる。他の離れた感染巣から血行感染する場合もあるが、多くは前立腺膀胱などの近接臓器に感染があって、細菌が精管を通って精巣上体に侵入する事で起こる。発症頻度は高く、何らかの原因で感染を起こしている場合にのみしばしば見られる[3]

症状 編集

寒気や高熱と共に陰嚢が赤くむくんで大きくなる。精巣上体も大きく腫れて硬くなり、強い痛みと圧痛を感じる。痛みは陰嚢を持ち上げると軽くなる。重くなると太腿の付け根(鼠径部)も腫れるため、歩きにくくなる[3]

治療 編集

陰嚢に冷たい湿布を当てて陰嚢をサポーターで固定する。病原菌に有効な抗生物質を投与すれば数日から10日ほどで熱は下がる。ただし、精巣上体のしこりは3か月から半年の間にかけて残る事がある。膿瘍がある場合は、陰嚢を切開して膿を出す事になる[3]

脚注 編集

註釈 編集

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j McConaghy, JR; Panchal, B (1 November 2016). “Epididymitis: An Overview.”. American Family Physician 94 (9): 723–726. PMID 27929243. 
  2. ^ a b Trojian, TH; Lishnak, TS; Heiman, D (1 April 2009). “Epididymitis and orchitis: an overview.”. American Family Physician 79 (7): 583–7. PMID 19378875. 
  3. ^ a b c d 『最新版、図解、症状でわかる医学百科』主婦と生活社、2007年、2014年、p.198

参考文献 編集