組書道(くみしょどう)とは書道と伝統芸術を組合せた造形芸術である。書道が音楽や舞踊等と結び付いた舞台芸術を組書道と言う。天本浩義氏が2007年に考案。

組書道

概要 編集

古来より書道は文字を素材として美的な様式への志向を見せ、原始的な美しさを備えていた。このことは今日、文字が書作の素材となりそれを通じ書の美を表現することによって太古の文化に思いを寄せてきた[1]。芸術とは「ある素材をもとにした美の創作表現である」と言われている。書道音楽も舞踊もそれぞれに素材は異なるが、美の創作表現である[2]

組書道の特徴は即興的ピアノ演奏をし、書家がで墨を擦り始め、時節に因んだ故事や箴言を音楽から得た情動を力に書に表す。ピアノ演奏と書道を融合するものである[3]。作品制作については紙をやや斜めに立てて、紙に向かい合う。左足を約半歩引き、左膝、右膝の順について正座をし、座礼をする。墨を摺󠄀り、筆を持ち、立ち上がる。筆順正しく、字形の整った言葉や文字を書く[4][5]。毛筆文字、変体仮名、ひらがな等は用筆、運筆要領よく正しく書く[6]。書き終えると再び正座をし座礼をする。

 
組書道(折敷)
 

書道は視覚芸術である。音楽は聴覚芸術である。舞踊は現象の表現芸術である。書道は舞踊家のように動的なものと実在を残しうる視覚芸術を持つ。その書道が聴覚芸術である音楽と溶け合ったものが組書道である[7][8]

脚注 編集

  1. ^ 塚田康信『西安碑林の研究』(初版)株式会社東方書店、1983年6月10日、223頁。 
  2. ^ 阿保直彦『書道とは何か』株式会社木耳社、1992年9月30日、3頁。 
  3. ^ 大平盛(編)「ロシアの音楽、ロシアの演奏家」『音楽現代』第49巻第11号通583号、(株)芸術現代社会、2019年11月1日、16頁。 
  4. ^ 阿保直彦『図解 文字の書き方字典』(第5)株式会社木耳社、2002年7月25日、5頁。 
  5. ^ 白川静『漢字』(43版)株式会社岩波書店、1970年4月25日、2~24頁。 
  6. ^ 阿保直彦『図解 毛筆書き方字典』株式会社木耳社、1998年9月20日、4~6頁。 
  7. ^ 組書道. “Culture NIPPON”. 文化庁. 2020年10月26日閲覧。
  8. ^ オリンピック・パラリンピック文化プログラム”. 組書道. 文化プログラムプレスセンター. 2020年10月26日閲覧。