義士(ぎし)は、節義を厚い者のことをいう。類似する概念として志士烈士などがある。

日本では、赤穂事件で討ち入りをし切腹した赤穂浪士の47士を、「赤穂義士」と呼ぶ場合がある。大石神社が完成した大正以降に「赤穂義士」と赤穂町(現・赤穂市)民が敬意を込めて呼んだことが有名で、江戸時代の文書には「牢人」の文字も見られるが、「浪」と書き「赤穂浪士」が一般的だった。当時の文書には「赤穂浪人」の表記もあるという[1]。戦前は全国的にも赤穂義士の名称が一般的だったが、戦後、大佛次郎の小説がテレビドラマ化されてからは、「赤穂浪士」の方が周知されている。

薩摩においては、民のために治水に尽くした者を「義士」として顕彰する[2]薩摩藩家老平田正輔らを「薩摩義士」として祀る平田公園の義士頌徳の慰霊祭には、岐阜愛知県など木曽三川の関係自治体も参加している[3]

また朝鮮語の称号敬称のひとつでもあり、特に大韓民国では、伊藤博文を暗殺して死刑となった安重根など、朝鮮独立運動の活動家のほとんどが義士と尊称される。

脚注 編集

  1. ^ 「赤穂浪士と呼ばないで 「義士」の名に市民の誇り」(神戸新聞、2014年12月1日)
  2. ^ 「宝暦治水二六〇年特別号KISSO」第一章第八節8項(国土交通省・澁谷慎一)
  3. ^ 「薩摩義士しのび慰霊祭 鹿児島市・平田公園」(「南日本新聞」2021/5/25)

関連項目 編集