膀爺(バンイエ[1][2]拼音: bǎng yé[3])は、中国、特に北京市などにおいて、夏の暑い時期に、屋外の公共の場所において上半身で過ごしている男性を指す表現[4]。中国における「風物詩」と評されることもある一方で[1][2]、「非文明的な行為」として排除される対象ともなっている[5][6][7]

典型的な姿 編集

典型的には、上半身は裸で、下は半ズボン、足元はサンダル履きか、革靴に黒靴下といった出で立ちとされる[4]。また、葵扇で身体を仰ぎながら[8]、公園などに座り込み、靴や靴下を脱ぎ、裸足を乾燥させようとするとされる[5]。農村から大都市まで、中国各地で見られるとする見解もある[1]

膀爺たちは路上や公園などに集まって、シャンチー(中国将棋)やに興じたり、おしゃべりをしている姿が典型的とされる[2][8]。また、終日、屋外で仕事をしている男性によく見られる風俗ともされる[4]

特に、Tシャツ姿で裾をまくり上げ、腹を出した格好は「北京ビキニ北京比基尼)」と称される[5][6][7][8]。また、北京膀爺という言い回しがされることもある[9]。これらの呼称は、必ずしもこの格好が北京市起源であることを意味するものではなく、たまたま外国人、外国メディアの目に触れやすいのが北京市であったため定着したものとされている[10]

規制 編集

2000年代後半には、2008年北京オリンピックを契機に展開されたマナー向上運動によって、一時は北京市でも膀爺が姿を消したとされるが、その後は再び膀爺が街頭に現れるようになった[2]

2019年夏、天津市瀋陽市済南市邯鄲市などは、膀爺を規制するため、公共の場所でシャツなどを脱いだままでいる「非文明的な行為」の集中取り締まりを予告し、50元から200元ほどの罰金を課すと発表した[5][6][7][11]。また、一部では、裸足にサンダル履きも処罰の対象となるとされた[10][11]

インターネット上のソーシャルメディアでは、北京ビキニなどへの嫌悪感は強かったものの、罰金を課す強制的な方策には批判的な見解も出され、新浪微博がおこなったネット投票では、「規制賛成」の22万3000人に対し、「暑い時には上半身裸も容認」3万7000人、「指導止まりで可、罰金不要」4万2000人、「何とも言えない、状況次第で判断」7万5000人という結果となった[11]

脚注 編集

  1. ^ a b c NN/レコードチャイナ (2010年8月24日). “北京の街に今年も出ました!夏の風物詩「上半身裸」の男たち―米紙”. Excite Japan Co., Ltd.. 2019年11月21日閲覧。
  2. ^ a b c d 藤田 (2010年8月24日). “第19回 [北京事情]中国夏の風物詩”. マスターピース・グループ. 2019年11月21日閲覧。 - 初出は、情報コンテンツ「傑作新聞」2009年8月号。
  3. ^ 膀爺→膀爷”. Pin Pin LLC. 2019年11月21日閲覧。
  4. ^ a b c 谷崎秀樹 (2016年7月22日). “【北京の二十四節気】大暑-膀爺(bang ye)-”. 日中投資促進機構. 2019年11月21日閲覧。
  5. ^ a b c d 鏡頭背後/北京比基尼之亂:中國的「膀爺」文明整治?” (中国語). 轉角國際/聯合線上公司 (2019年7月8日). 2019年11月21日閲覧。
  6. ^ a b c 不讓「北京比基尼」揚名海外 中國各地除「膀爺」” (中国語). 自由時報 (2019年7月4日). 2019年11月21日閲覧。
  7. ^ a b c 尹完準 (2019年7月10日). “統制したからと「北京ビキニ」が消えるだろうか”. 東亜日報. 2019年11月21日閲覧。
  8. ^ a b c 許依晨 (2019年7月13日). “「北京比基尼」 老外瘋學「膀爺」 這麼穿礙了誰?” (中国語). 世界新聞網. 2019年11月21日閲覧。
  9. ^ 再见!北京膀爷 北京现在光膀子的人少多了” (中国語). 北京新闻 (2019年7月13日). 2019年11月21日閲覧。
  10. ^ a b 話題の「北京ビキニ」 発祥の地は北京ではなかった”. 小学館 (2019年8月11日). 2019年11月21日閲覧。
  11. ^ a b c CNS (2019年7月30日). “中国各地で「北京ビキニ」に規制、罰金科す都市も”. AFPBB News. 2019年11月21日閲覧。

関連項目 編集