千光寺 (砺波市)

富山県砺波市にある寺院
芹谷山から転送)

千光寺(せんこうじ)は、富山県砺波市芹谷[1]にある真言宗の寺院。山号は芹谷山。 開基は大宝3年(703年)といわれ、彌勒山安居寺南砺市安居)とともに砺波地方でもっとも古い寺とされる。浄土真宗の多い富山県にあって真言宗の寺院は珍しく、その中でも特に古い伝承と多くの寺宝を保持しており、越中真言の古刹として著名である。また、閻魔像を安置する寺としてもよく知られる。

千光寺
閻魔堂
所在地 富山県砺波市芹谷1111
位置 北緯36度38分10.6秒 東経137度1分53.3秒 / 北緯36.636278度 東経137.031472度 / 36.636278; 137.031472座標: 北緯36度38分10.6秒 東経137度1分53.3秒 / 北緯36.636278度 東経137.031472度 / 36.636278; 137.031472
山号 芹谷山
宗旨 古義真言宗
本尊 銅造観世音菩薩立像
創建年 703年大宝3年)(飛鳥時代
開基 法道円徳上人
正式名 芹谷山千光寺
別称 千光眼寺
札所等 北陸白寿観音霊場第27番
越国観音霊場三十三札所第12番
北陸三十三ヵ所観音霊場第28番
文化財 銅造観世音菩薩立像、観音堂、山門、書院、御幸門、土蔵、絹本著色大威徳明王図、絹本著色両界曼荼羅図
法人番号 2230005005135 ウィキデータを編集
千光寺 (砺波市)の位置(富山県内)
千光寺 (砺波市)
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由緒 編集

  • 大宝3年(703年)天竺(インド)の僧法道円徳上人の開基。桓武朝以後7代に亘り皇室勅願所であった。上杉謙信侵攻の際焼失。その後元和4年(1618年)の火事で再度被災した。豊臣秀吉越中平定のとき、復興を命じ禁制朱印状(現存)を下した。以後加賀藩の祈祷所となり寺領安堵され現在に至る。

法道仙人 編集

伽藍 編集

山門
砺波市指定文化財。寛政9年(1797)建築。富山県内最古の二階二重門、江戸時代後期の代表的建築として貴重。
仁王像 山門に2体の仁王像(阿形、吽形)が安置されている。2012年11月から滋賀県大津市園城寺三井寺)の佛教尊像修復院で解体修理を行ったところ、この像はスギとヒノキが混用されており、非常に細かい部材で造られていることが判明した。胎内に棟札や墨書銘がなかったので像の年代は明らかではないが、部材の放射性炭素年代測定では1.17世紀後半、2.18世紀前半、3.18世紀後半〜19世紀の3時期の年代値が出た[3]
鐘楼
観音堂
砺波市指定文化財。宝暦10年(1760)建築。向拝の迫力のある欄間や「」の彫刻、室内の欄間の唐獅子彫刻が見どころである。
閻魔堂
客殿
書院
砺波市指定文化財。明治29年(1896)建築。新座敷ともいう。外観は質素で、内部は銘木を多用している。華美に走らず洗練され、質の高い造りをしている。
土蔵
砺波市指定文化財。2棟の土蔵をつないだ二戸前形式。西蔵は天明5年(1760)建築で富山県内で2番目に古い蔵。東蔵は文久2年(1862)建築。富山県土蔵100選。
御幸門
砺波市指定文化財。高さ5.3m、幅5.5m。武家屋敷や大寺院の正門に多い「一間薬医門」様式で北陸で最古段階のものである。
明治5年(1872)、高岡市国宝瑞龍寺にあった裏門を移築した。1969年に砺波市で全国植樹祭が開かれた際、昭和天皇が通られたことから御幸門という名前が付いた。
千光寺と千光寺御幸門・土蔵改修委員会に依頼された職藝学院により修復され、平成27年12月18日に完成式が行われた。解体した部材の腐食や虫食い部分に木材を埋め込むなどし、屋根にガルバリウム鋼板を使い、江戸時代初期の建設当初のこけら葺風に復元された[4][5]
地蔵堂
砺波市ふるさと文化財。切妻造の平入りで玉石積の基壇上に建つ。製作年代の違う地蔵が6体祀られている。建物は間口一間半の奥行四尺と六地蔵を祀るため横長になり、正面を開放、両側面は格子窓、背面は板壁とする。屋根は桟瓦葺で恵比寿大黒鬼瓦がのるが、当初はこけら葺だった。
稲荷堂
天皇皇后陛下御休息所
経堂
庫裡

文化財 編集

アクセス 編集

拝観
  • 拝観時間 8:00 - 17:00  拝観料 無料
交通

駐車場有

周辺 編集

 
千光寺前の蓮華谷

千光寺駐車場西側に蓮華谷や下大門(しもだいもん)と呼ばれる場所がある。

催事 編集

千光寺芹の市 編集

6月と9月に千光寺の境内で朝市が開かれる。地場産野菜やパンの販売のほか、境内の文化財をめぐるガイドツアーや手打ち蕎麦「千光寺そば」の提供も行われる。

企画展 編集

  • 高岡市立博物館 特別展「千光寺の文化財」-越中古寺の至宝- 1993年
  • 砺波郷土資料館となみ散居村ミュージアム砺波市美術館共同企画展「越中真言の古刹 芹谷山千光寺展」(砺波市美術館「越中真言の古刹 芹谷山千光寺の至宝」2014年11月8日〜12月14日、砺波郷土資料館「第38回郷土先人展 芹谷山千光寺と法道仙人展」2014年10月10日〜11月30日、となみ散居村ミュージアム「写真展 芹谷山千光寺の四季」2014年11月8日〜12月7日)

参考文献 編集

  • 砺波市史編纂委員会 編『砺波市史』砺波市、1965年、209-222頁。 
  • 砺波市教育委員会 編『(新版)砺波市の文化財』砺波市教育委員会、2014年2月28日。 

脚注 編集

  1. ^ 礪波郡芹谷村(および芹谷本村、芹谷野新村)、東礪波郡栴檀野村芹谷、東礪波郡砺波町芹谷
  2. ^ 千光寺展ワーキンググループ 編『越中真言の古刹 芹谷山 千光寺展』2014年、54頁。 
  3. ^ 砺波市美術館「報告会 千光寺仁王像の修復について」(2014年12月6日)による。
  4. ^ 平成27年12月19日付北日本新聞23面記事「こけら葺き風屋根復元」より
  5. ^ 『西部ふしぎ散歩 13 国宝瑞龍寺 伽藍再建 砺波・千光寺御幸門 かつて瑞龍寺の裏門』北日本新聞 2020年7月25日19面

外部リンク 編集