著作権の非親告罪化
著作権の非親告罪化(ちょさくけんのひしんこくざいか)とは、著作権侵害の処罰を親告罪ではなくすること。つまり、被害者の告訴を必要としないようにすること。
概要
日本において、著作権侵害(著作権法第119条)の刑事罰は親告罪とされており、著作権者が告訴しない限り刑事責任を問うことができない。そのため、海賊版を取り締まるためには著作権者の告訴を必要としない方が効率がいいというものが著作権の非親告罪化の考えである。 ただし、技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とする装置やプログラムを公衆に提供する行為(第120条の2第2項)、引用の際の出所の明示違反(第122条)はすでに非親告罪となっている。
日本国外での実情
日本以外で非親告罪を採用しているのはドイツとオーストリアである。なお、ドイツではドイツ著作権法109条により特別な公共の利益を理由とした訴追当局による職権関与が例外的に認められる制度となっている。 アメリカ合衆国、フランスなどの欧米各国で著作権法に親告罪規定を設けている国は見受けられない。大韓民国でも2006年12月に営利目的で常習して行われる著作権侵害行為が非親告罪化されている。 [1]
日本国内での議論の経緯
2007年に文化審議会で議論の対象となったが、見送られた経緯がある。2011年になって日米経済調和対話中の知的財産権の項目中に、「権利者からの申し立てを必要としない、警察や税関職員および検察の主導による知的財産権の侵害事件の捜査・起訴を可能にする職権上の権限を警察や税関職員および検察に付与し、」[2]と記載されており、アメリカ合衆国による要求として再びクローズアップまた、環太平洋戦略的経済連携協定でのアメリカ合衆国の要求項目とされる文書[3]にも同様の内容が書かれていることから、著作権の非親告罪化が争点として再浮上している。
問題点
漫画原作者の竹熊健太郎は「告発マニアが訴えたり、警察が勝手に動いて逮捕することになる」とパロディなどが警察の摘発対象となることに対して懸念を表明している[4]。二次創作物の同人誌などが摘発の対象となる恐れがある[5][6]。
脚注
- ^ 文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会(第2回)議事録・配付資料 [資料5]-文部科学省
- ^ 日米経済調和対話 米国大使館 東京・日本
- ^ This Document Contains TPP CONFIDENTIAL Information MODIFIED HANDLING AUTHORIZED (英語)
- ^ 著作権法違反の非親告罪化でパロディに危機? 「告発マニア生み出す」 INTERNET Watch
- ^ 「TPPで同人誌は消えるのか?」シンポジウムで激論 BLOGOS
- ^ TPPに参加すると、コスプレや二次創作物が罪に問われる可能性 ニコニコニュース