虹をつかむ男』(にじをつかむおとこ)は、西田敏行主演、山田洋次監督の喜劇映画シリーズ。2作が制作され、1996年1997年に公開された。

シリーズ製作の経緯 編集

松竹は『男はつらいよ』第49作『男はつらいよ 寅次郎花へんろ』を予定し1996年秋からの撮影を控えていた。しかし、同年8月4日に車寅次郎役の渥美清が死去したことにより制作は中止となり、『男はつらいよ』シリーズは終了することとなった[1]。『虹をつかむ男』は渥美を追悼して、1996年9月26日に制作発表が行われ、『寅次郎花へんろ』のキャストがほぼそのまま移行して制作された作品である[2][3][4]

このシリーズは2作で終わったが、『男はつらいよ』に代わるものとして、1988年から『男はつらいよ』と同時上映が恒例だった西田主演の『釣りバカ日誌』シリーズが松竹の看板映画となった。

名称は1950年のアメリカの映画『虹を掴む男』から。

シリーズ概要 編集

第1作 編集

虹をつかむ男
監督 山田洋次
脚本 山田洋次
朝間義隆
出演者 西田敏行
吉岡秀隆
音楽 山本直純
山本純ノ介
撮影 長沼六男
編集 石井巌
配給 松竹
公開   1996年12月28日
上映時間 120分
言語 日本語
配給収入 5億8000万円[5]
次作 虹をつかむ男 南国奮斗篇
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映画の撮影が行われた徳島県美馬市の脇町劇場

第1作『虹をつかむ男』(1996年12月28日公開、ロケ地:徳島県美馬郡脇町(現・美馬市))。同時上映は『サラリーマン専科 単身赴任』。

この映画の舞台となる「オデオン座」(脇町劇場)は、1995年に閉館し取り壊しが予定されていたが、この映画で一躍注目を集め、後に町指定文化財として修復されて一般公開されることとなった。吉岡秀隆演じる亮が親と喧嘩し家出し物語が展開するのは『男はつらいよ ぼくの伯父さん』以降の吉岡演じる諏訪満男と同様である。

エンディングでは出演者が亡き渥美清への思いを語っている。また、エピローグにおいて渥美清演じる寅さんが、CG合成ではありながら登場する一場面がある。その後EDに渥美清が歌う「男はつらいよ」の主題歌が途中まで流されている。

あらすじ 編集

キャスト 編集

スタッフ 編集

映画内で使われた映画 編集

キャッチコピー  編集

  • 世界一の金持ちになった気分よ、今は。
  • 97年、お正月映画が変わります。

第2作 編集

虹をつかむ男 南国奮斗篇
監督 山田洋次
脚本 山田洋次
朝間義隆
出演者 西田敏行
吉岡秀隆
音楽 山本直純
撮影 長沼六男
編集 石井厳
配給 松竹
公開   1997年12月27日
上映時間 112分
言語 日本語
配給収入 3億9000万円[6]
前作 虹をつかむ男
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第2作『虹をつかむ男 南国奮斗篇』(1997年12月27日公開、ロケ地:奄美群島

「巡回上映」が舞台となっている。

前作から一年後を舞台にした続編ではあるが、銀(前作の白銀から変更)活男演じる西田敏行と平山亮演じる吉岡秀隆以外のキャストは変更されている。その中で、『男はつらいよ』時代から前作を通して吉岡とは「母親」役として長きにわたり‘‘親子‘‘を演じていた倍賞千恵子であったが、今回も吉岡とは共演しているものの、親子ではなく別の配役となっている。また、前回は四国が舞台であったが、本作は九州に変更されている。

兄妹のストーリーは未制作になった49作目『寅次郎花遍路』のプロットから生かされている[要出典]他、『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』上映予定の看板が置いてある場面があるがこれは当時『ハイビスカスの花』特別編が同時公開だったためである。

あらすじ 編集

キャスト 編集

スタッフ 編集

映画内で使われた映画 編集

備考 編集

テレビ放送は、1999年1月2日21:00 - 23:18にTBS系列で放送された。同時間帯には同じ西田が主演した時代劇『けろりの道頓 秀吉と女を争った男』が22:03 - 24:00まで関西テレビ制作、フジテレビ系列にて放送された。『けろりの道頓』を制作した関西テレビはTBS本社に出向き『虹をつかむ男』の放送日時を再考するよう要請したが平行線をたどり両番組とも当初の予定通り放送した[7][8]

脚注 編集

  1. ^ その後、第49作、第50作が制作されている
  2. ^ 山田洋次・名作映画DVDマガジン2013年6月25日号.解説、あらすじ、ストーリー
  3. ^ 2008年1月27日放送.アメトーク男はつらいよ芸人
  4. ^ 役者人生、泣き笑い 著者: 西田敏行
  5. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)564頁
  6. ^ 「1998年日本映画配給収入」『キネマ旬報1999年平成11年)2月下旬号、キネマ旬報社、1999年、175頁。 
  7. ^ 朝日新聞』1999年1月1日付テレビ欄。
  8. ^ 関西テレビの自己検証番組『月刊8チャンネル』1999年1月31日放送の「視聴者Q&A」のコーナーにおいて「けろりの道頓」と「虹をつかんだ男」が重なったためどちらも見なかったという視聴者の意見に対する関西テレビ側の回答。

外部リンク 編集