蜘蛛の巣 (ピーター・トレメイン)

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蜘蛛の巣』(くものす、The Spider's Web)は、ピーター・トレメインによるイギリス推理小説

蜘蛛の巣
The Spider's Web
著者 ピーター・トレメイン
訳者 甲斐萬里江
発行日 イギリスの旗 1997年4月
日本の旗 2006年10月27日
発行元 日本の旗 東京創元社
ジャンル 推理小説
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
形態 日本の旗 文庫判創元推理文庫
ページ数 [上] 308 / [下] 332
前作 蛇、もっとも禍し[1]
次作 翳深き谷[1]
コード [上] ISBN 978-4-488-21807-2
[下] ISBN 978-4-488-21808-9
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修道女フィデルマシリーズの第5作だが、日本では最初に翻訳された。

あらすじ 編集

マルドウナッハ丘陵の北、山脈に囲まれた谷間の緑深いアラグリンで、族長エベルが殺害される。

殺害現場で犯人が拘束され、事件は単純なものに思われた。ところが、兄王の要請で公正な裁きを下すためにアラグリンへ赴いた、裁判官の資格も持つ弁護士のフィデルマが面会した容疑者の若者・モーエンは、目が見えず、耳も聞こえず、口も聞けない青年だった。

ある証言からモーエンの無実を確信したフィデルマは、事件の真相を突き止めようとするが、新たに殺人事件が発生する。

登場人物 編集

フィデルマとエイダルフについては修道女フィデルマシリーズ#主な登場人物を参照。

エベル
アラグリンの族長。思いやり深く、寛大な人物であるとクラン〔一族〕の者たちの人望も厚い族長であった。
メンマ
アラグリンの族長の厩頭(うまやがしら)。貧しい家庭に生まれた自身の境遇に不満を持ち、毎日のように呪っている。
アルフー
17歳になったばかりのアラグリンの農民。マードナットと農場の権利を巡って訴訟を起こし、フィデルマによって有利な判決を下される。
スコー
アルフーの許嫁。16歳。
マードナット
アルフーの親戚(アルフーの母の従兄)。ブラック・マーシュの農場主。アルフーの母の死後、農場の権利を主張し、アルフーを奴隷のように扱った。
ゴルマーン神父
アラグリンの砦〔ラー〕の中のキル・ウールド礼拝堂の司祭。リス・ヴォールで教育を受けた、キリスト教の神父。20年以上アラグリンで暮らしている。狂信的なローマ教会の信奉者。
ダバーン
エベルの護衛隊の指揮官。
モーエン
エベルの殺害現場で短剣を手にし、血まみれの状態で捕らえられた若者。盲目聾唖
ブレッサル
アラグリンへ向かう山中にある宿泊所(ホステル)の主人。
クローン
エベルの娘。アラグリンの族長のタニスト〔後継予定者〕。
テイファ
エベルの姉、クローンの伯母。モーエンの育ての親。エベルの遺体発見後、刺殺体で発見される。
クラナット
エベルの妻。かつて小王国を形成していたデイシ一族の血を引いている。娘がタニストになることを望んでいなかった。
ディグナット
族長の館の家政取締役の老女。
グレラ
召使いの若い娘。
クリーターン
護衛隊の一員。自惚れ屋。
ガドラ
アラグリンの森の隠者。ドゥルイド〔高度の知識を有し、預言者、詩人、医者など様々な職種で活躍する、古代ケルト社会における〈叡智の人〉〕。

脚注 編集

  1. ^ a b 原書での刊行順。邦訳では、本作が最初に翻訳され、次作は『幼き子らよ、我がもとへ』である。