(くみ、タプル: tuple)とは関係モデル (リレーショナルモデル) において、非負整数個の属性集合からなるデータ構造のことである。 データベースにおける組においては、次のことが言える。

組 (tuple) を含む関係モデルの概念
関係データベースデータベース言語であるSQLでは、組とほぼ同じ意味で (row) という用語が使われている。
属性は、属性名と定義域 (ドメイン、型) の名称のペアである。
定義域は、データ型と同じ意味と考えてよい。
属性は、その定義域に適合するなんらかの属性値をもつ。
すなわち、一つの組においては、その組に含まれる属性それぞれが、その属性の定義域の属性値をもつ。
属性値は、スカラ値[要曖昧さ回避]もしくはより複雑な構造をもつ値である。
数学における組とは異なり、関係モデルにおける組を構成する属性は順序づけられていない。
組を構成する属性の数を、次数 (degree) という。
組の次数は、0もしくは正の整数である。
次数が n である組を n (n-tuple) という。
関係値 (あるいは単に関係リレーション) は、0以上の同じ型の組の集合から構成される。

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複数の属性から構成される一つの組の型の例を示す。

3つの属性から構成される組の型の例
属性名 : 定義域
ID : 整数型
氏名 : 文字列型
住所 : 文字列型

この型の実際の組の例を示す。 この例では、便宜的に組を視覚的な図で示している。

3つの属性から構成される実際の組の例
ID : 整数型 氏名 : 文字列型 住所 : 文字列型
101 "ヒュー・ダーウェン" "沖縄県那覇市"

この例の組は、IDという属性名である整数型の101という属性値をもつ属性と、氏名という属性名である文字列型の "ヒュー・ダーウェン" という属性値をもつ属性と、住所という属性名である文字列型の "沖縄県那覇市" という属性値をもつ属性の、3つの属性から構成されている。 この例の組の次数は、3である。 先述したように、組を構成する属性は順序づけられていない。 つまり、この例の組で「氏名の右側に住所がある」と述べることはまちがいであり、「住所は3番目の属性である」と述べることもまちがいである。

関係における組 編集

同じ型の組の特定の集合は、関係 (リレーション) を構成する。 関係を構成する組の数 (濃度) は、0以上である。 関係の例を示す。

同じ型の組から構成される実際の関係の例
ID : 整数型 氏名 : 文字列型 住所 : 文字列型
101 "ヒュー・ダーウェン" "沖縄県那覇市"
202 "エドガー・F・コッド" "宮城県仙台市"
104 "クリス・デイト" "熊本県熊本市"
152 "マイケル・ストーンブレーカー" "沖縄県沖縄市"

この例の関係には、同じ型の組が4つ含まれている。

関係データベースデータベース言語 SQL では、行値構築子で組を次のように生成することができる。

(101, "ヒュー・ダーウェン", "沖縄県那覇市")

関連項目 編集

参考文献 編集

  • 『データベースシステム概論 原著第6版』丸善、東京、1997年。ISBN 4-621-04276-9 
  • 『データベース実践講義—エンジニアのためのリレーショナル理論』オライリー・ジャパン、東京、2006年。ISBN 4-87311-275-3 
    Database in Depth : Relational Theory for Practitioners. 北京: O'Reilly Media. (2005). ISBN 0596100124