超越関数(ちょうえつかんすう、: transcendental function)とは、多項式方程式を満たさない解析関数であり、代数関数と対照的である。言い換えると、超越関数は加算、乗算そして冪根という代数的演算を有限回用いて表せないという意味で代数を「超越」したものである。

超越関数の例として、指数関数対数関数、そして三角関数が挙げられる[1]

正式には、あるいは複素変数 z の解析関数 f(z) が超越的とは、f(z)z代数的独立であることをいう[2]。この定義は多変数関数にも拡張できる。

代数関数と超越関数 編集

対数指数関数は超越関数である。超越関数という用語は三角関数を表すのに使われることが多い。

超越関数でない関数を代数関数Algebraic Function)と呼ぶ。代数関数としては、有理関数平方根関数がある。

逆数関数の不定積分から対数が生じるように、何らかの関数の不定積分によって超越関数が生成されることが多い。不定積分によってどのように一般的な超越関数が生成されるかは微分代数の研究対象である。例えば、三角関数の多項式を不定積分することでも超越関数が生成される。

次元解析 編集

次元解析は物理学などで様々な単位の物理量を組み合わせた計算を行う。このとき、超越関数の引数は次元のない値でなければ意味をなさない。このため超越関数が間違いの元になりやすい。例えば、log(10 m)とすることはできない。次元を持つ値に代数的でない操作を行った結果は次元として意味を成さないのである。

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ 青木雅史 2017, pp. 41–53.
  2. ^ M. Waldschmidt, Diophantine approximation on linear algebraic groups, Springer (2000).

参考文献 編集

  • 青木雅史、坂上隆信, 福島恭之介, 山中宙夢『超越数について』明治大学、2017年、1-53頁。 

外部リンク 編集