軸椎

軸椎(頚椎の二番目)

軸椎(じくつい、axisまたはepistropheus)は椎骨のうち上から二番目にある、第二頚椎のこと[1]。Cervix(頚部のラテン名、頚椎はVertebra cervicalisという)の二番目のため、C2と略して呼ばれる。環椎(第一頚椎)との間にある環軸関節は体軸に垂直な回転軸を形成し、頭部を回旋させる働きを持つ。軸椎の最も際立った特徴は、椎体上面から垂直に伸びる歯突起の存在である。

骨: 軸椎
軸椎は頸椎の上から二番目の骨。赤色で示す
上方より見た軸椎
名称
日本語 軸椎
英語 axis
関連構造
上位構造 脊椎
画像
アナトモグラフィー 三次元CG
関連情報
MeSH Axis
グレイ解剖学 書籍中の説明(英語)
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椎体 編集

軸椎の椎体は前方に向かうにつれて厚みを増し、前下方に伸びて第三頚椎の前面に重なる。前面の正中には縦に隆起がはしり、その両側の陥凹に頚長筋が付着する。下面は前後では凸、左右では凹面となっている。

歯突起 編集

歯突起(densまたはodontoid process)は椎体上面に付着する起始部がややくびれており、その上方には前面に前関節面があり環椎の歯突起窩と接する[1]。後面には後関節面があり、環椎横靱帯と接する[1]。歯突起は本来環椎の椎体として発生するが、途中で軸椎の椎体と癒着してその一部となったものである[1]。この歯突起があるため、軸椎は後上方から眺めると人が結跏趺坐または座禅している姿に見える。日本で火葬後の収骨の際に「のど仏」または「仏の坐禅」とされるのは、実は軸椎のことである[2](生体でのど仏と呼ばれるのは喉頭隆起で、これは軟骨であるため火葬後には残らない)。

その他の特徴 編集

椎弓根(椎弓のうち椎体と横突起の間の部分)は、特に前方が丈夫で広がっており、椎体および歯突起の根部と 癒合している。

椎弓板(椎弓のうち横突起より後方、棘突起までの部分)も厚く[3]丈夫である。椎孔(中央の脊髄が貫通する孔)は大きいが、環椎のそれよりは小さめである。

左右の横突起は他の椎体に比べてかなり小さく、尖端には他の頚椎と異なり結節がひとつしかない。また他の頚椎と同様に横突孔椎骨動脈が通る孔)があいていて斜め上方および外側を向いている。

上関節面は円形でやや凸面であり、上外側を向いている。上関節面は椎体、椎弓根および横突起と接している。下関節面は他の頚椎とほぼ同じである。

上椎切痕(椎弓根の上部にある切れ込み)は非常に浅く、他の頚椎と異なって上関節突起(上関節面にある隆起)の後ろにある。一方下椎切痕は他の頸椎と同様に下関節突起の前にある[3]

棘突起は大きくて上部であり[3]、下面が深く切れ込んでいる。尖端は二分していて[3]それぞれに結節を持つ。

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脚注 編集

  1. ^ a b c d 森ら, p.32
  2. ^ 喉仏」は体に宿る仏様。火葬後におこなう収骨の方法も”. 家族葬のファミーユ. 2022年6月1日閲覧。
  3. ^ a b c d 森ら, p.33

参考文献 編集

  • 原著 森於菟 改訂 森富「骨学」『分担解剖学1』(第11版第20刷)金原出版、東京都文京区、2000年11月20日、19-172頁。ISBN 978-4-307-00341-4