輝板(きばん、: tapetum)は、視神経円板の背側部の血管板脈絡毛細血管板の間に存在する構造物である[1]輝膜(きまく)とも呼ばれ、英語からタペタム(またはタペータム)ともよばれる。細胞性輝板と繊維性輝板に分類される。

子牛の輝板

細胞性輝板 編集

細胞性輝板は輝板細胞が網膜面と平行に層板上に積み重なった構造物であり、食肉類[2][3]原猿類に存在する。夜にネコの目が光って見えるのはこのため。

線維性輝板 編集

線維性輝板は少数の線維芽細胞を含む膠原線維層からなる構造物であり、有蹄類[4][5]鯨類[6]に存在する。網膜を通過した光線の内、網膜最外層の色素上皮細胞および脈絡膜に吸収されず、輝板に達したものはここで反射して再び網膜の視神経を刺激する。

脚注 編集

  1. ^ 中村眼科. “動物の目が光る理由”. 医療法人 中村眼科. 2022年9月25日閲覧。
  2. ^ 山植, 康弘『イヌ眼底で観察される細胞性輝板の形態学的研究』(pdf)山口大学、2015年3月16日。獣博甲第345号。 国立国会図書館内限定公開。
  3. ^ 参天製薬株式会社. “猫の目の仕組み・不思議:暗闇のなかでキラリと光る印象的な大きな瞳”. 参天製薬. 2022年9月25日閲覧。
  4. ^ Aya, Shinozaki「羊眼球における線維性輝板の分布および網膜色素上皮層との関係」『解剖学雑誌』第85巻第2号、2010年、81頁、ISSN 0022-7722 
  5. ^ 佐野悠人『健常ウマ眼球の組織学的・免疫組織化学的研究 (健常眼球組織と抗原提示細胞の免疫組織化学的検索)ならびにイヌの眼球および口腔内黒色細胞性 腫瘍の悪性度とマクロファージ浸潤に関する研究)』酪農学園大学大学院 獣医学研究科、2015年。 獣医病理・免疫学 指導教員 教授 谷山弘行 2015年度。
  6. ^ 市立しものせき水族館「海響館」. “第193回「イルカの眼」”. 公益財団法人下関海洋科学アカデミー. 2022年9月25日閲覧。

参考文献 編集

  • 日本獣医解剖学会 (編集)『獣医組織学』(改訂第二版)学窓社、2003年。  ISBN 4873621135

関連項目 編集