酢酸レチノール(Retinyl acetate, retinol acetate, vitamin A acetate)はレチノール酢酸エステルで、ビタミンAの天然の形態のひとつ。抗腫瘍作用と化学予防作用を持つ可能性がある[3][4]

酢酸レチノール
識別情報
CAS登録番号 127-47-9 チェック
PubChem 638034
ChemSpider 553599
UNII 3LE3D9D6OY チェック
特性
化学式 C22H32O2
モル質量 328.49 g mol−1
外観 わずかにうすい黄色ないし黄赤色の、結晶性粉末[1]
融点

57 to 58℃ [2]

危険性
NFPA 704
1
1
0
Rフレーズ R38-R63[2]
Sフレーズ S36/37[2]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アメリカ合衆国では、酢酸レチノールはビタミンA強化食品のために用いられる量では、概して安全のGRASに分類されている[5][6]

乾燥による小じわ対策として、化粧品に使用される[7]

催奇形性 編集

妊娠中の女性のサプリメントでの摂取について、世界保健機関の勧告では、健康上の利益が期待できるなら前形態のビタミンAで 10,000IU (3000mcg RE) を越えなければリスクはほとんどないとされる。前形態のビタミンAとはパルミチン酸レチノールや酢酸レチノールを指す。[8] (発展途上国でビタミンA欠乏症のリスクは高い)

出典 編集

  1. ^ 酢酸レチノール”. 富士フイルム和光純薬. 2018年12月31日閲覧。
  2. ^ a b c Retinyl acetate from Sigma-Aldrich
  3. ^ Moon, Richard C.; Grubbs, Clinton J.; Sporn, Michael B.; Goodman, Dawn G. (1977). “Retinyl acetate inhibits mammary carcinogenesis induced by N-methyl-N-nitrosourea”. Nature 267 (5612): 620–1. doi:10.1038/267620a0. PMID 876383. 
  4. ^ Retinyl acetate, アメリカ国立がん研究所 Drug Dictionary
  5. ^ Select Committee on GRAS Substances (SCOGS) Opinion: Vitamin A, アメリカ食品医薬品局
  6. ^ 21 C.F.R. 184.1930
  7. ^ 美容成分辞典 酢酸レチノール”. 資生堂. 2018年12月31日閲覧。
  8. ^ (pdf) Safe vitamin A dosage during pregnancy and lactation, 世界保健機関, (1998), http://whqlibdoc.who.int/hq/1998/WHO_NUT_98.4_eng.pdf .