雲取山

日本の東京都・埼玉県・山梨県に跨る山

雲取山(くもとりやま・くもとりさん[2])は、東京都埼玉県山梨県境界にある標高2,017.13m[1]。東京都の最高峰であり、都内の山で2000mを越えるのは、この山のみである。[3]

雲取山
南東の七ツ石山から望んだ雲取山
標高 2,017.13[1] m
所在地 日本の旗 日本
東京都西多摩郡奥多摩町
埼玉県秩父市
山梨県北都留郡丹波山村
位置 北緯35度51分20秒 東経138度56分38秒 / 北緯35.85556度 東経138.94389度 / 35.85556; 138.94389座標: 北緯35度51分20秒 東経138度56分38秒 / 北緯35.85556度 東経138.94389度 / 35.85556; 138.94389
山系 秩父山地
雲取山の位置(東京都内)
雲取山
雲取山 (東京都)
雲取山の位置(埼玉県内)
雲取山
雲取山 (埼玉県)
雲取山の位置(山梨県内)
雲取山
雲取山 (山梨県)
雲取山の位置(関東地方内)
雲取山
雲取山 (関東地方)
プロジェクト 山
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雲取山の位置(100x100内)
雲取山
雲取山と周辺地形図
山頂を南東から
三峯神社から見た霧藻ヶ峰、白岩山、雲取山

概要 編集

秩父多摩甲斐国立公園の代表的な山の一つで、日本百名山多摩百山に選ばれている。1都2県にまたがるとともに、東京都の最高峰・最西端の山でもある。山頂には一等三角点が設置されている。見晴らしが良く、周辺の山々のほか富士山南アルプス関東平野方面なども見ることができる。妙法が岳白岩山とともに三峰山の三山の一つである。山頂の北西は埼玉県、南西は山梨県と三都県の境をなしている。[3]

水源林 編集

1901年明治34年)、東京府東京市(現在の東京都)は、水源地保全のため、多摩川を囲む山地4万8千ha余りを山梨県から購入した[4]

大正末から昭和6年(1931年)にかけて、ススキの原だった雲取山周辺の稜線に、落葉松の苗木を植林した[4]

現在は東京都側と山梨県側の山林が、東京都水道局水源林(東京都水源林)となっている。

山名の由来 編集

山名の由来には諸説ある。

  • 雲表にそびえ雲も取れそうな山という説(『奥多摩町誌』[5]
  • 雲海に覆われている形が雲を抱きとっているように見えるという説(『奥多摩町誌』[5]
  • 付近で最も高い山で雲に隠れやすくサルオガセなどが付いた幽玄な森があるという説(三省堂『日本山名事典』[5]

登山 編集

主なコース 編集

山梨県・東京都側(多摩川流域)と埼玉県側(荒川流域)に大別される。山梨県丹波山村の鴨沢、埼玉県秩父市三峯神社からのコースをはじめ、様々なコースで登ることができる。

  • 山梨県丹波山村からのコース(バスは奥多摩駅より)[6]
    • 鴨沢バス停〜小袖乗越〜七ツ石山〜雲取山。登り5時間30分・下り3時間30分[7]。小袖乗越に駐車場あり。
    • お祭バス停〜後山林道〜三条の湯〜雲取山。登り6時間30分・下り5時間[7]。土日は午前バス1本。行程の半分が後山林道。後山林道の部分は三条の湯が宿泊客のための迎車を行っている[8]。三条の湯からは登り3時間・下り2時間15分。
  • 東京都奥多摩町からのコース(バスは奥多摩駅より)[9]
    • 東日原バス停〜日原林道〜雲取山。登り6時間55分・下り5時間25分[7]。2時間以上林道歩き。
    • 東日原バス停〜鷹ノ巣山〜七ツ石山〜雲取山。登り7時間5分・下り5時間25分[7]
    • 峰谷バス停〜赤指尾根〜七ツ石山〜雲取山。登り5時間45分・下り4時間5分[7]。土日は午前バス1本。
    • 峰谷バス停〜鷹ノ巣山〜七ツ石山〜雲取山。登り6時間5分・下り4時間35分[7]。土日は午前バス1本。
    • 石尾根:奥多摩駅〜六ツ石山〜鷹ノ巣山〜七ツ石山〜雲取山。登り10時間15分・下り8時間[7]
  • 埼玉県秩父市からのコース(バスは西武秩父駅三峰口駅より)
    • 三峯神社バス停〜霧藻ヶ峰白岩山芋ノ木ドッケ〜雲取山。登り5時間20分・下り4時間25分[10]
    • 大陽寺入口バス停〜大陽寺〜白岩山〜芋ノ木ドッケ〜雲取山。
  • 縦走コース
    • 奥秩父主脈縦走路の縦走コース
    • 長沢背稜の縦走コース

備考 編集

  • 以前は山頂の標識が2カ所あった。2016年に「山の日」施行記念や老朽化に伴う更新のため、東京都と埼玉県が標識を統一した[11]
  • 2017年は西暦年数と、標高のメートル数が同じであることから、記念登山への人気が高まった。2016年末には周辺3都県の山岳連盟により、山頂付近に1年間限定の記念碑「雲取山西暦二千十七年」が建てられた[12]
  • 雲取山は通常は2日行程で登山する[9]が、健脚ならばコースによっては日帰りも可能である。ただし、日帰り登山は早朝に登り始めないと下山時には日が落ちる。
  • 日原林道は車両通行止めのことがある。地元では林道をマイカーで走るのは自重するように促している。
  • 後山林道は一般車両やタクシーは通行禁止。日原林道終点〜大ダワ間は登山道としても完全通行止め。
  • 登山計画書は、駅や登山口などに設置された登山届ポストや、警察署交番駐在所で受け付けている。警察署には郵送も可能である。埼玉県・山梨県はインターネットでも受け付けている[13][14]
  • 冬期に滑落する事故が発生しており、秩父環境管理事務所は『雲取山安全登山マップ』を配布し、注意を呼びかけている[2][15]
  • 奥多摩小屋近くの東側斜面で大量のごみが2016年に見つかった。多くは1960~70年代頃に捨てられたとみられる空き缶や空き瓶、食品の袋などで、クマザサが枯れたことで露出。撤去が進められている[16]
  • 奥多摩で「日本百名山」に入っている唯一の山である。[3]

周辺の山小屋 編集

山小屋 名称 所在地 収容
人数
キャンプ
指定地
水場 営業 備考 出典
  雲取山荘 山頂北側直下 200人 テント50張 あり 通年 [17]
  三条の湯 後山林道終点付近 80人 テント15張 あり 迎車あり[8] [18]
  雲取山避難小屋 山頂 約20人 なし なし 避難小屋交通困難地に指定されている[19]
  七ツ石小屋 七ツ石山 15人 テント10張 あり 自炊 [20]
  霧藻ヶ峰休憩所 霧藻ヶ峰 10人 なし なし 土日 自炊

かつては山頂南側に奥多摩小屋もあったが、平成31年3月31日をもって閉鎖された[21]

隣接する山 編集

山容 名称 標高
(m)
三角点
等級
雲取山との
距離(km)
備考
  七ツ石山 1757.30 三等 石尾根
  飛龍山 2,077 三等
  芋木ノドッケ 1,946 なし
  白岩山 1,921.24 三等

関連画像 編集

脚注 編集

  1. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2017年8月11日閲覧。 “基準点コード TR15338672501”
  2. ^ a b 携帯に便利な両神山(りょうかみさん)・雲取山(くもとりさん)安全登山マップを作成”. 県政ニュース. 埼玉県. 2015年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  3. ^ a b c 登山ルート・山旅スポット. “東京都の最高峰 雲取山の登山”. 山旅旅. 2020年10月8日閲覧。
  4. ^ a b 新井信太郎『雲取山よもやま話』さきたま出版、1996年、21頁頁。ISBN 4-87891-107-7 
  5. ^ a b c 東京都レンジャーNews No.152”. 東京都環境局. 2022年1月3日閲覧。
  6. ^ 雲取山・飛竜山・鹿倉山への案内 - 丹波山村
  7. ^ a b c d e f g 『山と高原地図 23.奥多摩』2013年 昭文社
  8. ^ a b 三条の湯
  9. ^ a b 奥多摩トレッキングコース 雲取山 - 奥多摩町
  10. ^ 『山と高原地図 25.雲取山・両神山』2013年 昭文社
  11. ^ 雲取山の山頂、東京都と埼玉県が統一した新標識設置”. 『日本経済新聞』朝刊2016年8月11日. 2017年5月18日閲覧。
  12. ^ 3都県境に記念碑建立 2017年、標高2017メートルの雲取山に”. 『埼玉新聞』朝刊2016年12月31日. 2017年1月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年5月18日閲覧。
  13. ^ 登山計画書の届出 - 埼玉県警察本部
  14. ^ 登山計画書の提出方法 - 山梨県警察
  15. ^ 秩父多摩甲斐国立公園 安全登山マップ(両神山・雲取山)”. 埼玉県秩父環境管理事務所. 2018年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月5日閲覧。
  16. ^ “東京最高峰 ごみの山だった 雲取山 浄化の一歩”. 『東京新聞』. (2016年11月27日). オリジナルの2016年11月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161129145151/http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016112790070041.html 
  17. ^ 宿泊案内 - 雲取山荘
  18. ^ 三条の湯 営業案内”. 三条の湯. 2010年12月31日閲覧。
  19. ^ 別冊(内国郵便約款第79条及び第97条関係) 交通困難地・速達取扱地域外一覧”. 日本郵便 (2022年2月21日). 2022年5月1日閲覧。
  20. ^ 七ッ石小屋ホームページ
  21. ^ 奥多摩小屋 - 雲取山荘

関連項目 編集

外部リンク 編集