風の中の子供』(かぜのなかのこども)は、坪田譲治による、日本児童文学作品。新聞連載作品として執筆され、のちに単行本化される。その後、映画化、テレビドラマ化もなされた。岡山市役所いずみ書房創業者の酒井義夫は、本作を坪田の代表作であると紹介する[1][2]。本項では、映像化作品についても記述する。

概要 編集

東京朝日新聞の夕刊に1936年9月5日から11月6日まで連載された[1]。12月刊行。坪田の出身地である岡山市を舞台に、坪田作品にシリーズとして登場する善太と三平の兄弟[3]が、大人の過酷な世界(父親が無実の罪で逮捕される)の中で生きる姿を描いている[1][4]

連載終了後の1936年12月に竹村書房から単行本が刊行された[4]

あらすじ 編集

賢兄愚弟の典型のような兄弟がいる。弟の名は三平。母は、優秀な兄貴と対照的に、乙と丙ばかりで甲がひとつもない三平が心配でしょうがないが、父は結構なことだと思って気にしない。そんなとき、父が私文書偽造の容疑で逮捕され、三平は叔父に引き取られることになる。そして、事態は思わぬ方向へ向かう。

映画版 編集

風の中の子供
監督 清水宏
脚本 清水宏、斎藤良輔
原作 坪田譲二『風の中の子供』
製作 清水宏
出演者 爆弾小僧
葉山正雄
吉川満子
河村黎吉
音楽 伊藤宣二
撮影 斎藤正夫
製作会社 松竹大船撮影所
配給 松竹
公開  1937年11月11日
上映時間 85分
製作国   日本
言語 日本語
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松竹の製作で、1937年11月11日に公開された。小津映画の顔になる前の笠智衆が脇役で登場。 キネマ旬報ベストテンで4位であった。

スタッフ 編集

キャスト 編集

テレビドラマ版 編集

テレビドラマは、1964年TBS系列の『明星杉の子劇場』(月曜18:00 - 18:30。明星食品一社提供)、1965年NHK総合の『こども劇場』(日曜9:00 - 9:30)、1974年に同じくNHK総合の『少年ドラマシリーズ』(当時月曜 - 木曜18:05 - 18:30)で、それぞれ放送された。いずれも原作は同じだが、タイトルは微妙に違っている。

明星杉の子劇場版 編集

風の中の子ども』というタイトルで、1964年7月6日から同年9月28日まで放送。初のドラマ化と共に、唯一の民放での放送でもある。また『明星杉の子劇場』では最後の作品。

こども劇場版 編集

風の中のこども』というタイトルで、1965年3月14日に放送。唯一の単発作品。無名時代の古谷徹声優)が出演。

キャスト 編集

少年ドラマシリーズ版 編集

原作通りの『風の中の子供』で、1974年8月27日から同年9月4日まで放送。善太役の佐藤宏之は後に『忍者キャプター』で泉敬太(風忍キャプター6)を演じ、三平役のすのうち滋之(当時:簾内)は後に『少年探偵団』『5年3組魔法組』にレギュラー出演する。

キャスト 編集

スタッフ 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c 坪田譲治の代表作 - 岡山市役所(坪田譲治の世界)
  2. ^ 酒井義夫. “『風の中の子供』 の坪田譲治 (児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ)”. 2016年2月21日閲覧。
  3. ^ キャラクターとしての初出は1934年の作品である(善太と三平 - 日本大百科全書(コトバンク))。
  4. ^ a b 風の中の子供 - 子どもの本 いま・むかし(大阪府立国際児童文学館)

参考文献 編集

TBS 月曜18時台前半枠
前番組 番組名 次番組
風の中の子ども
(1964年版)
TBS系 明星杉の子劇場
ああ無情
風の中の子ども
(1964年版)
(廃枠)
NHK総合 こども劇場
教室でこんばんは
風の中のこども
(1965年版)
東京よ こんにちは
NHK総合 少年ドラマシリーズ
風の中の子供
(1974年版)