風変わりな店』(: La boutique fantasque )は、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)が1919年に初演した1幕からなるバレエ。もしくは、このバレエのためにイタリアの作曲家オットリーノ・レスピーギが、ロッシーニの音楽に基づいて作曲したバレエ音楽(以下、バレエ音楽を中心に記述)。

作曲の経緯 編集

1918年バレエ・リュスを率いるセルゲイ・ディアギレフから作曲の依頼を受けたレスピーギ[1]は、イタリアのペーザロにあるロッシーニ音楽院に保管されていた、ロッシーニの未出版の小品集『老いのいたずら(老いの過ち)』(ロッシーニが晩年に書きためたピアノ曲、歌曲、室内楽曲など約200曲からなる)の中から素材を借りてバレエ音楽を作曲した(第2曲のみ歌曲集「音楽の夜会」から編曲)。レスピーギが施した和声やオーケストレーションにより、音楽の効果は原曲を上回っている[2]。なお、1925年、レスピーギは同じ曲集による姉妹作、管弦楽組曲『ロッシニアーナ』を作曲した。

初演 編集

1919年6月5日ロンドンのアルハンブラ劇場で、レオニード・マシーンの振り付け、アンドレ・ドランの衣装と舞台装置、バレエ・リュスによってバレエ初演が行われた[3]。この時、店主をエンリコ・チェケッティが演じている。

あらすじ 編集

海岸沿いの玩具店を訪れたアメリカ人の家族とロシア人の家族に、店主は音楽に合わせて踊る人形を見せる。やがて1組の人形の1体が買い上げられるが、残った人形たちが夜中に動きだす。

楽器編成 編集

構成 編集

1幕のバレエ音楽であり、以下の曲は連続して演奏される。

  1. 序曲
  2. タランテラ
  3. マズルカ
  4. コサックダンス
  5. カン・カン
  6. ゆっくりなワルツ
  7. 夜想曲
  8. ギャロップ

脚注 編集

  1. ^ この時点におけるレスピーギは、交響詩『ローマの噴水』(1916年)の成功により作曲家としての名声を高めていた。
  2. ^ 『名曲解説全集(5)管弦楽(下)』音楽之友社、1959年
  3. ^ この1か月後には同じアルハンブラ劇場でファリャの『三角帽子』が初演されている。

参考文献 編集

  • 『名曲解説全集(5)管弦楽(下)』音楽之友社、1959年

外部リンク 編集