香偈こうげ)とは善導の著書『浄土法事讃(転経行道願往生浄土法事讃)』から採った偈文(げもん)である。

偈文(原文) 編集

願我身浄如香炉(がんがしんじょにょこうろ)

願我心如智慧火(がんがしんにょちえか)

念念焚焼戒定香(ねんねんぼんじょうかいじょうこう)

供養十方三世佛(くようじっぽうさんぜぶ)[注釈 1]

書下し 編集

願わくは我が身浄きこと香炉の如く

願わくは我が心智慧の火の如く

念念に戒定のを焚きまつりて

十方三世供養したてまつる

大意 編集

私の身体が香炉の様に浄らかであることを願います。

私の心が仏の智慧の火の様であることを願います。

一つひとつの思念の内に、という名の香を焚き、

十方の世界(あらゆる世界)における、三世(過去・現在・未来)のあらゆる仏を供養いたします。

代用文 編集

上記の香偈の他に、遵式の著書『往生浄土懺願儀』の一部を改変した偈文を「香偈」と呼ぶ場合がある。一般的に、こちらの偈文は『法事讃』版香偈の代用文とされる。

 願此香煙雲(がんしこうえんぬん)

 徧満十方界(へんまんじっぽうかい)

 供養一切佛(くよういっさいぶつ)

 尊法諸賢聖(そんぽうしょげんじょう)

 無辺佛土中(むへんぶつどちゅう)

 受用作佛事(じゅゆうさぶつじ)

 普薫諸衆生(ふくんしょしゅじょう)

 同生安楽刹(どうしょうあんらくせつ)  

尚、以上の偈文は以下の原文を元にして作られた。

 願此香煙雲 徧満十方界

 供養一切仏 尊法諸菩薩

 無量声聞衆 以起光明台

 過於無辺界 無辺仏土中

 受用作仏事 普薫諸衆生

 皆発菩提心       

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 読み仮名に「くようじっぽうさんぜえぶ」と振る経本も存在する。(『常日勤行式』(明治40年)など)

出典 編集

関連項目 編集