香盤

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香盤(こうばん)

香炉 編集

香盤は、香炉の一種。「常香盤」とも。四角の盤状になっており、を長時間絶やさず焚くために用いられる。

香道の道具や仏具として用いられるほか、かつては時間の計測にも用いられた(香時計)。

興行における香盤 編集

上記に由来する興行界(演劇・演芸・イベント等)の用語としての「香盤」は、以下のものを指す。

  • 劇場観客席の座席表。観客がどこに座るかを示す。
  • スタッフ(裏方)が用いる、細かな時間単位で区切られた進行表・スケジュール表。「香盤表」とも。
    • 特に、映像作品製作の際の進行の利便のため、出演者、出演場面、準備するセット・小道具などを対比させた一覧のこと[1]
  • 歌舞伎演芸ストリップティーズなどの興行における出演者のリスト。「香盤表」とも。序列および登場の順番(番組)を示す。10日単位など、興行の期間内に規定される。
    • 落語など、演芸界における内部序列を示す香盤については下記に詳述する。

演芸における香盤 編集

演芸における香盤は、落語家色物など、芸人の各協会内部での序列関係を表す概念。芸人は香盤によって寄席などの割りを直接決定するほか、芸人相互間の私的交友における上下関係(上座の資格・下座の義務、どちらが敬語を使うか、命令できるのはどちらかなど)をこれで定める。

それぞれの協会内部で作成・通用するものであり、他の協会間での相互運用はしない(入門順での先輩・後輩関係が定まるのみである)。

江戸落語の協会では、香盤はウェブサイト等で常に公開されている(落語協会では、カレンダーの最終ページに「落語協会演芸家総覧」としても付属する)。上方落語協会では、香盤は存在するが部外者には公開されておらず、決定基準も明らかにされていない(落語家#上方・大阪落語の身分制度参照)。

香盤の順位は前座二つ目真打の身分階級や、会長・副会長など協会の役職歴が絶対的な基準となる。同一身分内での上下は、原則としてその身分になった順番により決まる。協会は、芸人に課すペナルティとして、香盤順を下げることがある。

香盤順の例
  1. 歴代会長 - 就任順(初代会長が序列内最上位、前任会長が最も下)
  2. 歴代副会長 - 就任順(初代副会長が序列内最上位、前任副会長が最も下)
  3. 現職会長
  4. 現職副会長
  5. 落語協会のみ)役職としての「役員」 - 就任順
  6. 真打 - 昇進順
  7. 二つ目 - 昇進順
  8. 前座 - 実際の入門のあと、見習いを経て前座身分になった順

脚注 編集