鬯部ちょうぶは、漢字部首により分類したグループの一つ。 康熙字典214部首では192番目に置かれる(10画の6番目、亥集の6番目)。

康熙字典 214 部首
鬥部 鬯部 鬲部
1 丿 2
3
广
4
5
6
7
8
9
10 11 鹿
12 13 14 15
16 17

概要 編集

鬯部には「鬯」を筆画の一部として持つ漢字を分類している。

単独の「鬯」字は酒の一種で、秬(黒黍)で醸造した酒に香草の鬱金を混ぜた香酒を指す。古代中国の祭祀において神を降ろすのに用いられた。この酒を「秬鬯」「鬱鬯」「鬱鬯酒」などともいう。また「鬯草」といい、「鬯」字は鬱金の別名としても用いられる(別の香草という説もある)。「鬯草」は後漢の王充『論衡』に周代、倭人が献上したとの記述があることで知られる。

字源としては、「鬯」字は香酒を入れた酒器を象る象形文字である。なお『説文解字』では、黒黍の実を象る「※」を中に含める容器「凵」と、それをすくいとる「匕」とから構成される会意文字とされているが、甲骨文字金文の形を見ればわかるようにこれは誤った分析である。[1][2][3]

「鬯」は意符としては黒黍や酒、香草に関する文字に含まれることがあるが、多くはない。

部首の通称 編集

  • 日本:ちょう、においざけ
  • 韓国:술창부(sul chang bu、酒の鬯部)
  • 英米:Radical sacrificial wine

部首字 編集

例字 編集

    • 𩰠𩰪

最大画数 編集

脚注 編集

  1. ^ 張世超; 孫凌安; 金国泰; 馬如森 (1996), 金文形義通解, 京都: 中文出版社, pp. 1284–6 
  2. ^ 季旭昇 (2014), 説文新証, 台北: 芸文印書館, pp. 432–3, ISBN 978-957-520-168-5 
  3. ^ 林志強等 (2017), 《文源》評注, 北京: 中国社会科学出版社, pp. 57, ISBN 978-7-5203-0419-1