鴨緑江(おうりょくこう、おうりょっこう[2]、ヤールンジャン、北京語:Yālù Jiāng、満洲語ᠶᠠᠯᡠ
ᡤᡳᠶᠠᠩ
、 転写:yalu giyang[3]朝鮮語압록강)は、中華人民共和国(中国)東北部と朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)との国境となっているである。白頭山(中国名:長白山)に源を発し黄海に注ぐ。水の色がの頭の色に似ていると言われたことからこの名前がある。

鴨緑江
鴨緑江
流路
延長 790 km
平均流量 1,040 m³/s
流域面積 31,739 km²
水源 白頭山(中国・北朝鮮国境)
水源の標高 2,300 m
河口・合流先 黄海 西朝鮮湾
流路

中華人民共和国の旗 中国

朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮
流域

中華人民共和国の旗 中国

朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮
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鴨緑江
中国語
繁体字 鴨綠江
簡体字 鸭绿江
発音記号
標準中国語
漢語拼音Yālù Jiāng[1]
ウェード式Ya-lu Chiang
朝鮮語
チョソングル압록강
漢字鴨綠江
発音記号
RR式Amnokgang
MR式Amrokkang
満洲語
満洲文字 ᠶᠠᠯᡠ
ᡤᡳᠶᠠᠩ
遼寧省丹東市付近(2007年10月20日)
上流、長白朝鮮族自治県から見た南岸(恵山)
建設中の水豊ダム(1942年)

地理 編集

北岸は中国吉林省遼寧省、南岸は北朝鮮慈江道両江道平安北道となっている。川沿いの主な都市としては、中国側に臨江集安丹東があり、北朝鮮側に慈城満浦楚山新義州がある。

主な支流は赴戦江、長津江、虚川江で、いずれも北朝鮮側の蓋馬高原から北流して鴨緑江に合流しており、中国側からの支流には渾江愛河などがある。

鴨緑江に架けられているの中では、下流の新義州と丹東を結ぶ中朝友誼橋が最もよく知られている。

流域では林業が盛んで、かつては上流部で伐採された木材をにして流していた。ここで生産される電力は、現在でも北朝鮮の重要なエネルギー源となっている。

渾江との合流点から下流側は1988年に中華人民共和国国家級風景名勝区に認定された。区域内に水豊湖太平湾虎山鴨緑江大橋東港の5つの観光地区がある[4]

歴史 編集

古くより朝鮮半島中国大陸満洲の接点として重要な河川であった。三国時代には中流域(現・集安市)に高句麗が丸都城を置いた。渤海の滅亡後、契丹による侵攻を撃退した高麗は、10世紀末以降、江東6州を領有し、鴨緑江が朝鮮半島の北界と確定した。高麗王朝末期には、後の朝鮮王朝太祖となる李成桂が政府に反旗を翻したのは、中州に位置する威化島だった。

日清戦争および日露戦争において日本軍は鴨緑江を渡河して満洲に進攻した。

また、朝鮮戦争時には北朝鮮軍を支援する中国軍が鴨緑江を越え、国連軍が両国を結ぶ鴨緑江沿いの要衝に爆撃を行った。

しばしば下流域では氾濫が生じ、水害を発生させる河川である。2010年8月19日-8月21日には上流域で集中豪雨が発生。北朝鮮側の威化島が水没したほか、中国側でも丹東市を中心に5万人以上が避難する事態となった[5]

支流 編集

鴨緑江上の諸島 編集

鴨緑江には多くの中州川中島)があり、ほぼ北朝鮮の領土になっている。上流から、

などで、このうち威化島と黄金坪では中国と北朝鮮の共同工業区の建設が始まっている[7]

脚注 編集

  1. ^ 「緑」は普通、 だが、「鴨緑江」の「緑」の音が「路」と同じだと書かれてあり、この地名では異読の のほうを使う。
  2. ^ 小項目事典,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),百科事典マイペディア,デジタル大辞泉,精選版 日本国語大辞典,世界大百科事典 第2版,ブリタニカ国際大百科事典. “鴨緑江とは”. コトバンク. 2021年9月23日閲覧。
  3. ^ 『満洲実録 巻一』——鴨緑、混同、愛滹三江俱従此山流出。
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    ᠶᠠᡵᡤᡳᠶᠠᠨ
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    ᡨᡠᠴᡳᡴᡝᠩᡤᡝ
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    ᡥᡡᠨᡨᡠᠩ ᠈
    ᠠᡳᡥᡠ
    ᠰᡝᡵᡝ
    ᡳᠯᠠᠨ
    ᡤᡳᠶᠠᠩ ᠉
    ("manju-i yargiyan kooli ujui debtelin" tere alin ci tucikengge yalu, hūntung, aihu sere ilan giyang.)
  4. ^ 中华人民共和国国务院公报 1988年第17号(总号:570)” (中国語). 中華人民共和国国務院. p. 563 (1988年8月25日). 2023年2月5日閲覧。
  5. ^ “中朝国境の鴨緑江氾濫、4人死亡・6万人避難”. 読売新聞. https://web.archive.org/web/20100825092152/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100821-OYT1T00712.htm 2010年9月2日閲覧。 
  6. ^ “かつて存在した北朝鮮にもっとも近いゴルフ場 鴨緑江中洲にあった幻の珍珠島ゴルフ場”. コリアワールドタイムズ. (2019年8月13日). https://www.koreaworldtimes.com/topics/travel/5779/ 2020年4月27日閲覧。 
  7. ^ 中朝の経済協力、目玉事業が始動 黄金坪島・威化島(朝日新聞 2011年6月8日)

関連項目 編集