1987年メキシコグランプリ

1987年メキシコグランプリは、1987年F1世界選手権の第14戦として、1987年10月18日メキシコシティエルマノス・ロドリゲス・サーキットで開催された。

メキシコの旗 1987年メキシコグランプリ
レース詳細
日程 1987年シーズン第14戦
決勝開催日 10月18日
開催地 エルマノス・ロドリゲス・サーキット
メキシコ メキシコシティ
コース長 4.421km
レース距離 63周
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー
タイム 1'17.620
ファステストラップ
ドライバー ブラジルの旗 ネルソン・ピケ
タイム 1'19.132(Lap 57)
決勝順位
優勝
2位
3位

概要 編集

予選 編集

金曜のフリー・プラクティスでは、ロータスホンダアイルトン・セナが最終コーナーでコースアウトしクラッシュし、コース上にまで部品が散らばったため、セッションが一時中断された。なおセナの身体にダメージはなかったため、そのまま午後の予選セッションに出走した。

土曜日の予選ではウィリアムズホンダFW11Bナイジェル・マンセルポールポジションを獲得した。2番手には、シーズン後半に調子を上げてきたフェラーリのゲルハルト・ベルガーがつけた。

約2,300メートルの高地にあり酸素が薄いことから、ターボエンジン車が上位を独占したが、舗装が悪くバンピーな上に、埃が多く滑りやすい路面に手こずるドライバーが多く、アクティブサスペンションのセッティングに苦慮したロータス・ホンダのアイルトン・セナ中嶋悟が中盤に沈んだ他、予選アタックに失敗したマクラーレン・TAGのステファン・ヨハンソンも中盤に沈んだ。

決勝 編集

クラッシュ多発 編集

決勝は、1周目にマクラーレンTAGアラン・プロストが、ウィリアムズ・ホンダのネルソン・ピケと絡んでリタイヤし、さらに2周目に入った1コーナーで、追い抜きをかけたロータス・ホンダの中嶋悟がマクラーレン・TAGのステファン・ヨハンソンに追突し、さらにザクスピードクリスチャン・ダナーがこれに巻き込まれたが、レースは中断されずそのまま続行した。

当初はスタートに成功したフェラーリのベルガーとベネトン・フォードのティエリー・ブーツェンがリードしたが、ブーツェンは15周目に、ベルガーも20周目に相次いでエンジントラブルでリタイヤし、その後はスタートで出遅れたものの上位に戻っていたマンセルがリードした。

マンセル独走 編集

 
エディー・チーバーがドライブするアロウズA10B・メガトロン

その後、26周目にアロウズメガトロンデレック・ワーウィックが最終コーナーで単独クラッシュし、脳しんとうを起こして一時マシンから出られなくなった上、部品がコース上に散乱したためレースが中断された。

2ヒート制となったレース後半ではマンセルが独走状態になり、最終的にレースをマンセルが制し、ドライバーズタイトル獲得に期待をつないだ。しかし、マンセルとのドライバーズタイトル争いで優位に立つピケも、1周目のプロストとの接触からリカバーし2位に入り、タイトル争いは日本GPに持ち越されることとなった。

3位にはブラバムBMWリカルド・パトレーゼが、4位にはアロウズ・メガトロンのエディ・チーバーが入った。燃費に苦しんだベネトンフォードテオ・ファビは、2周遅れながら5位に入った。

なお、フリー・プラクティス時からアクティブサスに悩まされたロータス・ホンダのアイルトン・セナは、金曜日のフリー・プラクティス時同様にスピンオフしリタイヤした。また、酸素が薄いためにターボセッティングが難しいこともあり、多くのマシンがターボトラブルでリタイアし、完走は9台であった。

「ジム・クラークカップ」争いの激化 編集

6位には、上位のターボ勢が多数リタイアしたことに助けられたローラフォードフィリップ・アリオーが入り、1ポイントを獲得するとともに、自然吸気エンジンユーザーのためのドライバーズタイトルである「ジム・クラークカップ」の獲得に期待をつないだ。しかし、7位にティレルコスワースジョナサン・パーマーが入ったことから、タイトル争いは、総合ドライバーズタイトルと同じく日本GPに持ち越されることとなった。

結果 編集

決勝 編集

順位 No ドライバー コンストラクター 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 5   ナイジェル・マンセル ウィリアムズホンダ 63 1:26'24.207 1 9
2 6   ネルソン・ピケ ウィリアムズホンダ 63 + 26.176 3 6
3 7   リカルド・パトレーゼ ブラバムBMW 63 + 1'26.879 8 4
4 18   エディ・チーバー アロウズメガトロン 63 + 1'41.352 13 3
5 19   テオ・ファビ ベネトンフォード 61 +2 Laps 6 2
6 (1) 30   フィリップ・アリオー ローラフォード 60 +3 Laps 24 1
7 (2) 3   ジョナサン・パーマー ティレルフォード 60 +3 Laps 22  
8 (3) 4   フィリップ・ストレイフ ティレルフォード 60 +3 Laps 25  
9 (4) 29   ヤニック・ダルマス ローラフォード 59 +4 Laps 23  
Ret 12   アイルトン・セナ ロータスホンダ 54 スピンオフ 7  
Ret 16   イヴァン・カペリ マーチフォード 51 水漏れ 20  
Ret 21   アレックス・カフィ オゼッラアルファロメオ 50 エンジントラブル 26  
Ret 26   ピエルカルロ・ギンザーニ リジェメガトロン 43 水漏れ 21  
Ret 23   エイドリアン・カンポス ミナルディモトーリ・モデルニ 32 トランスミッショントラブル 19  
Ret 25   ルネ・アルヌー リジェメガトロン 29 アクシデント 18  
Ret 17   デレック・ワーウィック アロウズメガトロン 26 アクシデント 11  
Ret 8   アンドレア・デ・チェザリス ブラバムBMW 22 アクシデント 10  
Ret 28   ゲルハルト・ベルガー フェラーリ 20 ターボトラブル 2  
Ret 20   ティエリー・ブーツェン ベネトンフォード 15 電機系トラブル 4  
Ret 24   アレッサンドロ・ナニーニ ミナルディモトーリ・モデルニ 13 ターボトラブル 14  
Ret 27   ミケーレ・アルボレート フェラーリ 12 エンジントラブル 9  
Ret 9   マーティン・ブランドル ザクスピード 3 ターボトラブル 13  
Ret 2   ステファン・ヨハンソン マクラーレンTAG 1 アクシデント 15  
Ret 11   中嶋悟 ロータスホンダ 1 アクシデント 16  
Ret 10   クリスチャン・ダナー ザクスピード 1 アクシデント 17  
Ret 1   アラン・プロスト マクラーレンTAG 0 アクシデント 5  

エピソード 編集

  • 予選、決勝とともに晴天に恵まれたが、その結果コース上の塵や埃が増え、予選ではセナ、決勝ではワーウィックが最終コーナーでクラッシュするなどドライバーメカニックを悩ませることとなった。
  • ドライバーズタイトル争いが佳境に入ったピケとマンセルの関係は緊張を増し、チームメイトながらホテルのロビーで真横に座っても挨拶を交わすだけで、会話をしないほどであった。

記録 編集

初グランプリ:ヤニック・ダルマス

脚注 編集


前戦
1987年スペイングランプリ
FIA F1世界選手権
1987年シーズン
次戦
1987年日本グランプリ
前回開催
1986年メキシコグランプリ
  メキシコグランプリ 次回開催
1988年メキシコグランプリ