2つの交響的断章 (ネリベル)

2つの交響的断章2 Symphonic Movements)は、ヴァーツラフ・ネリベルの作曲した吹奏楽曲

概要 編集

ノースダコタ州立大学英語版のバンドから委嘱されて作曲されたもので、1970年に出版された。『トリティコ』(1965年)や『交響的断章』(1966年)で吹奏楽の分野に重要な作品を残したネリベルが、その手法をさらに洗練させた作品と評価されている。日本でも代表作の一つと評価され、全日本吹奏楽コンクールでは1977年の天理高等学校吹奏楽部[1]以来、2021年時点で9回取り上げられている。

楽器編成 編集

編成表
木管 金管
Fl. 2, Picc. Crnt. 3, Tp. 2 Cb.
Ob. 2, C.A. 1(持替) Hr. 4 Timp.
Fg. 2 Tbn. 3 大太鼓シンバルテナードラムトムトムトライアングルタムタムマリンバシロフォングロッケンシュピールチューブラーベルアンティークシンバル
Cl. 3, E♭, Alto, Bass, C-Bass Bar. 1
Sax. Alt. 2 Ten. 1 Bar. 1Tub.
その他チェレスタ(任意)、ピアノ

楽曲 編集

2つの楽章からなり、演奏時間は第1楽章が約12分、第2楽章が約3分半。

  • 第1楽章 Marcato
全曲の基本動機である、鍵盤打楽器の奏するD-A-F-Bbのオスティナートで始まる。その裏で金管楽器の和音が重なっていき、音価が分割されていくとともに重厚なトゥッティが確立される。その後、基本動機の鳴り響くトゥッティの間に、木管楽器の独奏が絡み合う部分や、コラール風の楽想が差し挟まれ、最後は消え入るように終わる。
  • 第2楽章 Allegro impetuoso
ティンパニの力強い独奏で始まり、金管群の動機がそれに応える。ここでもD-A-F-Bbの四音が用いられている。その後も第1楽章とは対照的なスピード感の中で基本動機が徹底的に敷衍され、冒頭の楽想が多層的な響きの中で再現されると、叩きつけるように終わる。

注釈 編集

  1. ^ これ以前に、朝比奈隆大阪市音楽団に初めて客演した1972年の第25回定期演奏会で取り上げられているが、「日本初演」とは銘打たれていない。樋口幸弘のウィンド交友録~バック・ステージのひとり言 第65話 朝比奈隆:吹奏楽のための交響曲(2022年4月1日閲覧)

参考文献 編集

  • 秋山紀夫『吹奏楽曲プログラム・ノート 秋山紀夫が選んだ689曲』エイト社、2003年
  • 富樫鉄火、石本和富、播堂力也『一音入魂! 全日本吹奏楽コンクール名曲・名演50』河出書房新社、2007年