2000年ドイツグランプリ(2000 German Grand Prix)は、2000年のF1世界選手権第11戦として、2000年7月30日ホッケンハイムリンクで開催された。

ドイツの旗 2000年ドイツグランプリ
レース詳細
日程 2000年シーズン第11戦
決勝開催日 2000年7月30日
開催地 ホッケンハイムリンク
ドイツ ホッケンハイム
コース長 6.823km
レース距離 45周(307.035km)
決勝日天候 晴れのち雨(ドライ&ウェット)
ポールポジション
ドライバー
タイム 1'45.697
ファステストラップ
ドライバー ブラジルの旗 ルーベンス・バリチェロ
タイム 1'44.300(Lap 20)
決勝順位
優勝
2位
3位

予選 編集

レースウィークのホッケンハイムは連日雨にたたられ、予選もその影響を受けた。予選開始早々ルーベンス・バリチェロは電気系トラブルのためストップしたが、スペアカーはフリー走行でクラッシュしたシューマッハが使っていたため、レースカーを修復して走る羽目になった。残り時間が少ない中予選落ちの可能性もあったが、辛うじて107%タイムを回避し18番手に滑り込んだ。

ポールポジションはデビッド・クルサードが獲得。コースコンディションが良いタイミングでアタックしたジャンカルロ・フィジケラが、3番手タイムを記録した。前戦オーストリアGPで一時3位を走行したペドロ・デ・ラ・ロサは自己最高の5番グリッドを獲得した。なお地元のハインツ=ハラルド・フレンツェンはシケイン不通過で自己ベストタイムが抹消され、17番手に沈んだ。

結果 編集

順位 No ドライバー チーム タイム
1 2   デビッド・クルサード マクラーレンメルセデス 1'45.697
2 3   ミハエル・シューマッハ フェラーリ 1'47.063 +1.366
3 11   ジャンカルロ・フィジケラ ベネトンプレイライフ 1'47.130 +1.433
4 1   ミカ・ハッキネン マクラーレンメルセデス 1'47.162 +1.465
5 18   ペドロ・デ・ラ・ロサ アロウズスーパーテック 1'47.786 +2.089
6 6   ヤルノ・トゥルーリ ジョーダン無限ホンダ 1'47.833 +2.136
7 12   アレクサンダー・ヴルツ ベネトンプレイライフ 1'48.037 +2.340
8 8   ジョニー・ハーバート ジャガーコスワース 1'48.078 +2.381
9 22   ジャック・ヴィルヌーヴ BARホンダ 1'48.121 +2.424
10 7   エディ・アーバイン ジャガーコスワース 1'48.305 +2.608
11 19   ヨス・フェルスタッペン アロウズスーパーテック 1'48.321 +2.624
12 23   リカルド・ゾンタ BARホンダ 1'48.665 +2.968
13 15   ニック・ハイドフェルド プロストプジョー 1'48.690 +2.993
14 9   ラルフ・シューマッハ ウィリアムズBMW 1'48.841 +3.144
15 17   ミカ・サロ ザウバーペトロナス 1'49.204 +3.507
16 10   ジェンソン・バトン ウィリアムズBMW 1'49.215 +3.518
17 5   ハインツ=ハラルド・フレンツェン ジョーダン無限ホンダ 1'49.280 +3.583
18 4   ルーベンス・バリチェロ フェラーリ 1'49.544 +3.847
19 16   ペドロ・ディニス ザウバーペトロナス 1'49.936 +4.239
20 14   ジャン・アレジ プロストプジョー 1'50.289 +4.592
21 21   ガストン・マッツァカーネ ミナルディフォンドメタル 1'51.611 +5.194
22 20   マルク・ジェネ ミナルディフォンドメタル 1'53.094 +7.397
  • 予選通過タイム 1'53.096

決勝 編集

決勝はドライコンディションで始まったが、サーキット上空に黒雲が近づいており、レース中の降雨が予想された。16番グリッドのジェンソン・バトンフォーメーションラップに出遅れ、最後尾スタートとなった。

スタートでは4番グリッドのミカ・ハッキネンが絶妙な加速をみせ、トップに躍り出た。ポールポジションのデビッド・クルサードは隣のミハエル・シューマッハの動きを牽制。シューマッハはアウト側に進路を変えたが、後方から来たジャンカルロ・フィジケラと接触してダブルリタイアとなった。シューマッハはこれで2戦連続0周リタイアとなり、マシンを降りるとフィジケラに怒りのゼスチャーを見せた。

その後、マクラーレンのハッキネンとクルサードがワン・ツー走行で3位以下を引き離していく。後方では18番手スタートのルーベンス・バリチェロが通常の1ストップ作戦ではなく2ストップ作戦を選択し、燃料が軽いマシンで一気にポジションを挽回。3位まで浮上したあと、17周目に最初のピットストップを行い、5位でレースに復帰した。同様の作戦を採ったハインツ=ハラルド・フレンツェンも6位まで順位を上げた。

レース展開は一旦落ち着くが、25周目に予期せぬハプニングが起こる。1コーナー先のコースサイドに不審者が入り込み、コース上を横切るという危険な行為をとったため、急遽セーフティカーが導入された(身柄を拘束された不審者は、メルセデス・ベンツを解雇された元従業員だったことが判明する)。各車はこのタイミングで一斉にピットストップを行うが、マクラーレン勢は10秒のリードが帳消しになった上に、クルサードはピットインが1周遅れたため2位から6位へポジションを落とした。一方、バリチェロとフレンツェンは2回目のピットストップを上手く合わせ込み、それぞれ3位と5位の好位置をキープした。29周目にレース再開となるが、ペドロ・ディニスジャン・アレジと接触してタイヤを飛ばし、再びセーフティーカーが出動した。

2度目のリスタート後、サーキット西側で強い雨が降り始め、第3シケインからインフィールドセクション、ホームストレートにかけてはずぶ濡れだが、森の中のストレート区間は乾いたままという状況になった。35周目、先頭のハッキネンと2位ヤルノ・トゥルーリがピットでレインタイヤに履き替えるが、3位のバリチェロはドライタイヤのまま走り続けて首位に立つ。終盤はハッキネンに追い上げられたが、難しい路面状況での粘りが実を結び、そのままトップチェッカーを受けた。フレンツェンも同じくレースを盛り上げたが、ハッキネンに抜かれた直後にマシントラブルのためストップした。

バリチェロはF1デビュー8年目、出走124戦目[1]での初優勝。この時点ではもっとも遅い初優勝記録となり[2]、表彰台ではブラジル国旗を手に男泣きした。新人バトンは最後尾スタートから自己ベストの4位まで挽回してみせた。

結果 編集

順位 No ドライバー チーム 周回数 タイム/リタイア グリッド ポイント
1 4   ルーベンス・バリチェロ フェラーリ 45 1:25:34.418 18 10
2 1   ミカ・ハッキネン マクラーレンメルセデス 45 +7.452 4 6
3 2   デビッド・クルサード マクラーレンメルセデス 45 +21.168 1 4
4 10   ジェンソン・バトン ウィリアムズBMW 45 +22.685 16 3
5 17   ミカ・サロ ザウバーペトロナス 45 +27.112 15 2
6 18   ペドロ・デ・ラ・ロサ アロウズスーパーテック 45 +29.080 5 1
7 9   ラルフ・シューマッハ ウィリアムズBMW 45 +30.898 14  
8 22   ジャック・ヴィルヌーヴ BARホンダ 45 +47.537 9  
9 6   ヤルノ・トゥルーリ ジョーダン無限ホンダ 45 +50.901 6  
10 7   エディ・アーバイン ジャガーコスワース 45 +1:19.664 10  
11 21   ガストン・マッツァカーネ ミナルディフォンドメタル 45 +1:29.504 21  
12 15   ニック・ハイドフェルド プロストプジョー 40 オルタネーター 13  
Ret 5   ハインツ=ハラルド・フレンツェン ジョーダン無限ホンダ 39 ギアボックス 17  
Ret 19   ヨス・フェルスタッペン アロウズスーパーテック 39 スピン 11  
Ret 23   リカルド・ゾンタ BARホンダ 37 スピン 12  
Ret 20   マルク・ジェネ ミナルディフォンドメタル 33 エンジン 22  
Ret 12   アレクサンダー・ヴルツ ベネトンプレイライフ 31 電気系 7  
Ret 16   ペドロ・ディニス ザウバーペトロナス 29 接触 19  
Ret 14   ジャン・アレジ プロストプジョー 29 接触 20  
Ret 8   ジョニー・ハーバート ジャガーコスワース 12 ギアボックス 8  
Ret 3   ミハエル・シューマッハ フェラーリ 0 接触 2  
Ret 11   ジャンカルロ・フィジケラ ベネトンプレイライフ 0 接触 3  
  • ファステストラップ:バリチェロ 1分44秒300 (LAP 20)
  • ラップリーダー:ハッキネン (LAP 1-25)、クルサード (LAP 26-27)、ハッキネン (LAP 28-35)、バリチェロ (LAP 36-45)

脚注 編集

  1. ^ エントリーは125戦目(1994年サンマリノGPはクラッシュにより予選不通過)。
  2. ^ 2009年ドイツGPにて132戦目のマーク・ウェバーが初優勝したため、バリチェロは歴代2位となる。

関連項目 編集

前戦
2000年オーストリアグランプリ
FIA F1世界選手権
2000年シーズン
次戦
2000年ハンガリーグランプリ
前回開催
1999年ドイツグランプリ
  ドイツグランプリ 次回開催
2001年ドイツグランプリ