2010年イタリアグランプリ

2010年イタリアグランプリは、2010年F1世界選手権第14戦として、2010年9月12日モンツァ・サーキットで開催された。正式名称は2010 FORMULA 1 Gran Premio Santander d'Italia

イタリアの旗 2010年イタリアグランプリ
レース詳細
日程 2010年シーズン第14戦
決勝開催日 9月12日
開催地 モンツァ・サーキット
イタリア モンツァ
コース長 5.793km
レース距離 53周(306.720km)
決勝日天候 晴れ(ドライ)
ポールポジション
ドライバー
タイム 1'21.962
ファステストラップ
ドライバー スペインの旗 フェルナンド・アロンソ
タイム 1'24.139(Lap 52)
決勝順位
優勝
2位
3位

開催前 編集

 
ヘイキ・コバライネン はこのグランプリ中長く同チームの ヤルノ・トゥルーリ の後塵を拝し、決勝では18位となった。

レース前の水曜日に、フェラーリはFIAの世界モータースポーツ評議会(WMSC)の審議会にドイツグランプリにおけるチームオーダー(2002年オーストリアグランプリでの事件に基づき2003年よりスポーティングレギュレーション39.1で禁止されていた)による順位操作についての責任を問われて出頭を命じられた。フェラーリは10万ドルの罰金を科されていたが、WMSCの特別委員会は追加の制裁を行う余地も残していた。審議会はチームにそれ以上のペナルティを課さない替わりにチームオーダー禁止の規定について見直しを行うことを決めた。[1]

Following increased speculation over レッドブルフェラーリ が禁止されている可動式のボディワークを使用している臆測について、FIAは ベルギーグランプリで従来より厳しく行ったフロントウィングのテストをさらに厳しく行うことにした。スパでは柔軟性のあるフロアを使って ウィングを路面に近付けているという臆測があったため、FIAのテストがこのグランプリで厳しくなることになった。[2]レース前の水曜日にはマクラーレンMP4-25のフロアをテストに合格するように改修したことを認めた。[3]

セバスチャン・ベッテルジェンソン・バトンフェルナンド・アロンソベルギーグランプリでノーポイントとなったためルイス・ハミルトン がドライバーズチャンピオンシップの1位となり、 マーク・ウェバー が3ポイント差で追う展開となっていた。山本左近カルン・チャンドックに代わり再び出場することとなった。

予選 編集

予選Q3ではフェルナンド・アロンソが最初のアタックで記録した1分21秒962を誰も更新することができず、アロンソが今シーズン初のポール・ポジションを獲得した。チームメイトのフェリペ・マッサも3番手につけ、話題の渦中にいるフェラーリは母国GPで好グリッドを得た。

予選2番手はマクラーレンジェンソン・バトン。マクラーレンは2台の空力パッケージを違えており、バトンが大きめのリアウィングにFダクトを装備したのに対し、チームメイトのルイス・ハミルトンFダクト無しの小さなリアウィングを選択した。ハミルトンはダウンフォース不足を訴えて予選5位に終わり、結果的にバトンの選択が成功した。

レッドブル勢はパワーサーキットで苦戦気味。マーク・ウェバーは4位で、前戦ベルギーGPの失態で批判されたセバスチャン・ベッテルは6位に付けた。

結果 編集

順位 No ドライバー チーム Q1 Q2 Q3 Grid
1 8   フェルナンド・アロンソ フェラーリ 1'22.646 1'22.297 1'21.962 1
2 1   ジェンソン・バトン マクラーレンメルセデス 1'23.086 1'22.354 1'22.084 2
3 7   フェリペ・マッサ フェラーリ 1'22.421 1'22.610 1'22.293 3
4 6   マーク・ウェバー レッドブルルノー 1'23.431 1'22.706 1'22.433 4
5 2   ルイス・ハミルトン マクラーレンメルセデス 1'22.830 1'22.394 1'22.623 5
6 5   セバスチャン・ベッテル レッドブルルノー 1'23.529 1'22.701 1'22.675 6
7 4   ニコ・ロズベルグ メルセデス 1'23.529 1'23.055 1'23.027 7
8 10   ニコ・ヒュルケンベルグ ウィリアムズコスワース 1'23.516 1'22.989 1'23.037 8
9 11   ロバート・クビサ ルノー 1'23.234 1'22.880 1'23.039 9
10 9   ルーベンス・バリチェロ ウィリアムズコスワース 1'23.695 1'23.142 1'23.328 10
11 14   エイドリアン・スーティル フォースインディアメルセデス 1'23.493 1'23.199 11
12 3   ミハエル・シューマッハ メルセデス 1'23.840 1'23.388 12
13 23   小林可夢偉 BMWザウバーフェラーリ 1'24.273 1'23.659 13
14 16   セバスチャン・ブエミ トロ・ロッソフェラーリ 1'23.744 1'23.681 14
15 17   ハイメ・アルグエルスアリ トロ・ロッソフェラーリ 1'24.083 1'23.919 15
16 22   ペドロ・デ・ラ・ロサ BMWザウバーフェラーリ 1'24.442 1'24.044 16
17 18   ヤルノ・トゥルーリ ロータスコスワース 1'25.540 17
18 19   ヘイキ・コバライネン ロータスコスワース 1'25.742 18
19 15   ビタントニオ・リウッツィ フォースインディアメルセデス 1'25.774 19
20 12   ビタリー・ペトロフ ルノー 1'24.086 1'23.819 20
21 25   ルーカス・ディ・グラッシ ヴァージンコスワース 1'25.974 21
22 21   ブルーノ・セナ HRTコスワース 1'26.847 22
23 20   山本左近 HRTコスワース 1'27.020 23
24 24   ティモ・グロック ヴァージンコスワース 1'25.934 24
  • No.24はギアボックスを交換したため5グリッド降格。
  • No.12はNo.24をブロックしたとして5グリッド降格。

決勝 編集

 
スタート前の上位3台(アロンソ、バトン、マッサ)。結果的にこの順位でフィニッシュした。

スタートはバトンの加速が良く、第1シケインへの飛び込みでアロンソをかわした。アロンソはバトンに追突し、マッサとも軽く接触したがマシンは無事だった。続くロッジアシケインでもマッサとハミルトンが接触し、ポイントリーダーのハミルトンは痛恨の0周リタイアを喫する。ザウバー小林可夢偉ECUトラブルでピットスタートしたが、同じく0周でリタイアした。

レッドブル勢は揃ってスタートを失敗し、ベッテルは7位、ウェバーは9位に後退。メルセデスニコ・ロズベルグルノーロバート・クビサウィリアムズニコ・ヒュルケンベルグが4〜6位にポジションを上げた。

2位アロンソはバトンから1秒前後の差でプレッシャーをかけ続けたが、バトンも付け入る隙を与えず、トップ争いは息詰まる展開が続いた。アロンソの後方にマッサが続き、4位以下を大きく引き離した。ベッテルはマシンの変調を感じてウェバーに抜かれた。ウェバーに迫られたヒュルケンベルグは、何度かコースオフしながらもポジションを譲らない。ウェバーは苛立ち、チームに無線で「ペナルティではないか」と抗議した。

22周目、ヒスパニア山本左近がタイヤ交換後にリスタートする際、ピットクルーを巻き込んでしまう事故が発生。メカニックが負傷し、救急車が出動した。

30周を過ぎると上位勢が相次いでピットインし、ソフトからハードへのタイヤ交換を行った。注目のトップ争いは36周目にバトンがピットイン。それを見たアロンソも37周目にピットインし、バトンの鼻先でコースに復帰した。両者は並走状態で第1シケインへ向かい、イン側のラインをキープしたアロンソがトップに浮上した。ピット作業での逆転劇に、満場のフェラーリファンから大歓声が上がった。

その後、アロンソは徐々にバトンとの差を広げて今季3勝目を達成。フェラーリ移籍初年度に、地元レースで最高の結果を残した。2位バトン、3位マッサに続き、4位には辛抱強く走ったベッテルが入賞した。ベッテルはタイヤ交換をギリギリまで遅らせ、最終ラップにピットインしてポジションを守った。

ポイントランキングではハミルトンが無得点に終わったため、6位入賞のウェバーが5点差で首位に再浮上した。前戦ノーポイントだったアロンソ、バトン、ベッテルもポイント差を挽回した。

結果 編集

順位 No ドライバー チーム 周回数 タイム/リタイア グリッド ポイント
1 8   フェルナンド・アロンソ フェラーリ 53 1:16'24.572 1 25
2 1   ジェンソン・バトン マクラーレンメルセデス 53 +2.938 2 18
3 7   フェリペ・マッサ フェラーリ 53 +4.223 3 15
4 5   セバスチャン・ベッテル レッドブルルノー 53 +28.196 6 12
5 4   ニコ・ロズベルグ メルセデス 53 +29.942 7 10
6 6   マーク・ウェバー レッドブルルノー 53 +31.276 4 8
7 10   ニコ・ヒュルケンベルグ ウィリアムズコスワース 53 +32.812 8 6
8 11   ロバート・クビサ ルノー 53 +34.028 9 4
9 3   ミハエル・シューマッハ メルセデス 53 +44.948 12 2
10 9   ルーベンス・バリチェロ ウィリアムズコスワース 53 +1'04.213 10 1
11 16   セバスチャン・ブエミ トロ・ロッソフェラーリ 53 +1'05.056 14
12 15   ヴィタントニオ・リウッツィ フォースインディアメルセデス 53 +1'06.106 19
13 12   ヴィタリー・ペトロフ ルノー 53 +1'18.919 20
14 22   ペドロ・デ・ラ・ロサ BMWザウバーフェラーリ 52 +1 Lap 16
15 17   ハイメ・アルグエルスアリ トロ・ロッソフェラーリ 52 +1 Lap 15
16 14   エイドリアン・スーティル フォースインディアメルセデス 52 +1 Lap 11
17 24   ティモ・グロック ヴァージンコスワース 51 +2 Laps 24
18 19   ヘイキ・コバライネン ロータスコスワース 51 +2 Laps 18
19 20   山本左近 HRTコスワース 51 +2 Laps 23
20 25   ルーカス・ディ・グラッシ ヴァージンコスワース 50 +3 Laps 21
Ret 18   ヤルノ・トゥルーリ ロータスコスワース 46 ギアボックス 17
Ret 21   ブルーノ・セナ HRTコスワース 11 ハイドロリック 22
Ret 2   ルイス・ハミルトン マクラーレンメルセデス 0 接触 5
Ret 23   小林可夢偉 BMWザウバーフェラーリ 0 ギアボックス 13
  • ヒスパニア・レーシング・F1チームはピットストップ時に危険なリリースを行ったため罰金2万ドルのペナルティ

脚注 編集

  1. ^ Collantine, Keith (2010年9月8日). “Ferrari escape further punishment for German GP team orders (Updated)”. F1 Fanatic (Keith Collantine). http://www.f1fanatic.co.uk/2010/09/08/ferrari-escape-further-punishment-for-german-grand-prix-team-orders 2010年9月9日閲覧。 
  2. ^ Noble, Jonathan (2010年8月26日). “FIA to toughen up flexi-tests again”. autosport.com (Haymarket Publications). http://www.autosport.com/news/report.php/id/86109 2010年9月9日閲覧。 
  3. ^ Collantine, Keith (2010年9月8日). “McLaren alter car to meet new floor test”. F1 Fanatic (Keith Collantine). http://www.f1fanatic.co.uk/2010/09/08/mclaren-alter-car-to-meet-new-floor-test/ 2010年9月8日閲覧。 
前戦
2010年ベルギーグランプリ
FIA F1世界選手権
2010年シーズン
次戦
2010年シンガポールグランプリ
前回開催
2009年イタリアグランプリ
  イタリアグランプリ 次回開催
2011年イタリアグランプリ