2018年イタリアグランプリ

2018年イタリアグランプリ2018 Italian Grand Prix)は、2018年のF1世界選手権第14戦として、2018年9月2日モンツァ・サーキットで開催された。

イタリアの旗 2018年イタリアグランプリ
レース詳細
日程 2018年シーズン第14戦
決勝開催日 9月2日
開催地 モンツァ・サーキット
イタリアの旗 イタリア モンツァ
コース長 5.793km
レース距離 53周 (306.720km)
決勝日天候 曇 (ドライ)
ポールポジション
ドライバー
タイム 1:19.119
ファステストラップ
ドライバー イギリスの旗 ルイス・ハミルトン
タイム 1:22.497 (30周目)
決勝順位
優勝
2位
3位

正式名称は「FORMULA 1 GRAN PREMIO HEINEKEN D'ITALIA 2018[1]

レース前 編集

本レースでピレリが供給するドライタイヤのコンパウンドは、スーパーソフト、ソフト、ミディアムの3種類[2]

前戦ベルギーGPの決勝スタート直後に多重クラッシュを引き起こしたニコ・ヒュルケンベルグは、本レースで10グリッド降格となる[3]

ルノーは、レッドブルダニエル・リカルドへ新しい「Cスペック」を投入[4]。これにより、最後尾へのグリッド降格が決まった。ヒュルケンベルグもフリー走行を前にパワーユニットを交換したため最後尾グリッドへの降格が決まったが、Cスペックの信頼性がまだ確保されていないため、従来のBスペックへの交換となっている[5]

エントリーリスト 編集

前戦ベルギーGPに引き続き、マクラーレンはリザーブドライバーを務めるランド・ノリスストフェル・バンドーンに代えてフリー走行1回目(FP1)に出走させる[6][7]

フリー走行 編集

金曜午前のFP1は雨が降る中ウエットコンディションで行われた。ルノーが新たに投入した「Cスペック」を使用したダニエル・リカルド(レッドブル)だったが、すぐにトラブルが発生してしまった。1時間後に雨が上がって路面は次第に乾いていき、終盤にセルジオ・ペレス(フォース・インディア)が1分34秒000のトップタイムを出した[9]

午後のFP2はドライコンディションで行われたが、開始2分にマーカス・エリクソン(ザウバー)のDRSが閉じないトラブルが発生し、1コーナーでマシンを高速で回転させる大クラッシュを喫した。エリクソンはメディカルセンターへ搬送され、診察を終えた後に首をさすってピットロードへ戻っていった。セバスチャン・ベッテルがパラボリカでスピンを喫しバリアにわずかに接触してリアウィングに軽いダメージを負うアクシデントがあったがトップタイムを記録し、フェラーリが1-2位を占めた[10]

土曜午前のFP3もドライコンディションで行われ、FP2に続きベッテルが1分20秒509のトップタイムを記録し、ルイス・ハミルトンがフェラーリ勢に割って入り2位となった[11]

予選 編集

2018年9月1日 15:00 CEST(UTC+2) 天候:曇り時々晴れ 路面:ドライ

キミ・ライコネンファン・パブロ・モントーヤ(2004年)のコースレコードを14年ぶりに破って前年のモナコGP以来のポールポジションを獲得し、フェラーリはホームグランプリで18年ぶりにフロントローを独占[12][13]。史上最速平均周回速度をも14年ぶりに更新した[14]ナイジェル・マンセル以来の最年長ポール獲得を果たしたライコネンは表情を変えることも無く、観客席のファンに二度手を振った程度だったが、ミントゥ夫人は涙を流して喜んだ[15]

メルセデス勢はルイス・ハミルトンが3位にバルテリ・ボッタスが4位、レッドブル勢はマックス・フェルスタッペンが5位、ダニエル・リカルドがグリッド降格もあり19番手スタート、トロ・ロッソピエール・ガスリーは下馬評を覆すQ3進出を果たして9位に入った[15]

このほかフェルナンド・アロンソの無線内容が物議を醸した[16]

結果 編集

Pos. No. ドライバー コンストラクター Q1 Q2 Q3 Grid
1 7   キミ・ライコネン フェラーリ 1:20.722 1:19.846 1:19.119 1
2 5   セバスチャン・ベッテル フェラーリ 1:20.542 1:19.629 1:19.280 2
3 44   ルイス・ハミルトン メルセデス 1:20.810 1:19.798 1:19.294 3
4 77   バルテリ・ボッタス メルセデス 1:21.381 1:20.427 1:19.656 4
5 33   マックス・フェルスタッペン レッドブル-タグ・ホイヤー 1:21.381 1:20.333 1:20.615 5
6 8   ロマン・グロージャン ハース-フェラーリ 1:21.887 1:21.239 1:20.936 6
7 55   カルロス・サインツ ルノー 1:21.732 1:21.552 1:21.041 7
8 31   エステバン・オコン フォース・インディア-メルセデス 1:21.570 1:21.315 1:21.099 8
9 10   ピエール・ガスリー トロ・ロッソ-ホンダ 1:21.834 1:21.667 1:21.350 9
10 18   ランス・ストロール ウィリアムズ-メルセデス 1:21.838 1:21.494 1:21.627 10
11 20   ケビン・マグヌッセン ハース-フェラーリ 1:21.783 1:21.669 11
12 35   セルゲイ・シロトキン ウィリアムズ-メルセデス 1:21.813 1:21.732 12
13 14   フェルナンド・アロンソ マクラーレン-ルノー 1:21.850 1:22.568 13
14 27   ニコ・ヒュルケンベルグ ルノー 1:21.801 No Time 20 1
15 3   ダニエル・リカルド レッドブル-タグ・ホイヤー 1:21.280 No Time 19 2
16 11   セルジオ・ペレス フォース・インディア-メルセデス 1:21.888 14
17 16   シャルル・ルクレール ザウバー-フェラーリ 1:21.889 15
18 28   ブレンドン・ハートレイ トロ・ロッソ-ホンダ 1:21.934 16
19 9   マーカス・エリクソン ザウバー-フェラーリ 1:22.048 18 3
20 2   ストフェル・バンドーン マクラーレン-ルノー 1:22.085 17
107% time: 1:26.180
ソース:[17]
追記
  • ^1 - ヒュルケンベルグは前戦ベルギーGPの決勝で多重クラッシュを引き起こしたため10グリッド降格[18][3]。FP1で規定を超えるパワーユニット交換(6基目のターボチャージャー(TC)、5基目のエンジン(ICE)、MGU-H、4基目のMGU-K、バッテリー(ES)、電子制御装置(CE))を行い、降格グリッド数が15を超えたため最後尾グリッドへ降格[19][5]
  • ^2 - リカルドはFP1で規定を超えるパワーユニット交換(4基目のICE、TC、MGU-H、MGU-K、ES、CE)を行い、降格グリッド数が15を超えたため最後尾グリッドへ降格[20][4]
  • ^3 - エリクソンはFP3で規定を超えるパワーユニット交換(4基目のICE)を行ったため10グリッド降格[21][22]

決勝 編集

2018年9月2日 15:10 CEST(UTC+2)

ルイス・ハミルトンがタイヤ戦略とチームメイトのバルテリ・ボッタスの協力により、PU性能に優れるフロントロースタートのフェラーリ勢を逆転し、今シーズン6勝目を挙げ、今季のチャンピオン争いに優位に立った。史上最速平均周回速度を14年ぶりに更新したキミ・ライコネンは2位、ボッタスは4位でフィニッシュ、後にフェルスタッペンのペナルティにより3位に昇格し、メルセデスは3戦ぶりに両ドライバーが表彰台を獲得した。一方で、セバスチャン・ベッテルは1周目のバリアンテ・ロッジアでハミルトンと接触し後退を余儀なくされ5位フィニッシュ、後にフェルスタッペンのペナルティにより4位に昇格したものの、ハミルトンとのポイント差は30点に広がった。1周目のバリアンテ・ロッジアでベッテルがハミルトンと接触した件については両者ペナルティは科せられなかった。マックス・フェルスタッペンは3位でフィニッシュしたが、ボッタスとの接触で5秒ペナルティを科せられ5位に降格した。ロマン・グロージャンは6位でフィニッシュしたが、レース終了直後にルノーからフロアの寸法がレギュレーション違反であるという抗議があり、調査の結果失格となった。これによりルノーのランキング4位は維持され、ウィリアムズセルゲイ・シロトキンは10位に繰り上がり初ポイントを獲得した[23]

レース後、ベッテルは前年より多発気味の度重なるドライビングミスを元F1ドライバーらによって批判された[24]

結果 編集

Pos. No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 Grid Pts.
1 44   ルイス・ハミルトン メルセデス 53 1:16:54.484 3 25
2 7   キミ・ライコネン フェラーリ 53 +8.705 1 18
3 77   バルテリ・ボッタス メルセデス 53 +14.066 4 15
4 5   セバスチャン・ベッテル フェラーリ 53 +16.151 2 12
5 33   マックス・フェルスタッペン レッドブル-タグ・ホイヤー 53 +18.208 1 5 10
DSQ 8   ロマン・グロージャン 2 ハース-フェラーリ 53 +56.320 6
6 31   エステバン・オコン フォース・インディア-メルセデス 53 +57.761 8 8
7 11   セルジオ・ペレス フォース・インディア-メルセデス 53 +58.678 14 6
8 55   カルロス・サインツ ルノー 53 +1:18.140 7 4
9 18   ランス・ストロール ウィリアムズ-メルセデス 52 +1 Lap 10 2
10 35   セルゲイ・シロトキン ウィリアムズ-メルセデス 52 +1 Lap 12 1
11 16   シャルル・ルクレール ザウバー-フェラーリ 52 +1 Lap 15
12 2   ストフェル・バンドーン マクラーレン-ルノー 52 +1 Lap 17
13 27   ニコ・ヒュルケンベルグ ルノー 52 +1 Lap 20
14 10   ピエール・ガスリー トロ・ロッソ-ホンダ 52 +1 Lap 9
15 9   マーカス・エリクソン ザウバー-フェラーリ 52 +1 Lap 18
16 20   ケビン・マグヌッセン ハース-フェラーリ 52 +1 Lap 11
Ret 3   ダニエル・リカルド レッドブル-タグ・ホイヤー 23 クラッチ 19
Ret 14   フェルナンド・アロンソ マクラーレン-ルノー 9 パワーユニット 13
Ret 28   ブレンドン・ハートレイ トロ・ロッソ-ホンダ 0 接触 16
ソース:[25]
ファステストラップ[26]
ラップリーダー[27]
追記
  • ^1 - フェルスタッペンはターン1でボッタスと接触したため、5秒ペナルティとペナルティポイント2点(合計5点)が科された。5秒ペナルティをピットインで消化しなかったためレースタイムに5秒加算され、3位から5位に降格した[28]
  • ^2 - グロージャンは6位でフィニッシュしたが、フロアの車両規定違反により失格[29][23]

第14戦終了時点のランキング 編集

  • :ドライバー、コンストラクター共にトップ5のみ表示。

脚注 編集

  1. ^ Italy”. The Official F1 Website. 2018年9月1日閲覧。
  2. ^ F1第14戦イタリアGP全20人のタイヤ選択:トロロッソ・ホンダはふたりで戦略を分ける”. AUTOSPORTweb (2018年8月28日). 2018年9月1日閲覧。
  3. ^ a b 多重事故引き起こしたヒュルケンベルグ、次戦モンツァで10グリッド降格”. motorsport.com (2018年8月26日). 2018年9月1日閲覧。
  4. ^ a b リカルド、イタリアGPでルノー新型パワーユニット”スペックC”投入へ”. motorsport.com (2018年8月29日). 2018年9月1日閲覧。
  5. ^ a b ニコ・ヒュルケンベルグ、パワーユニット交換で最後尾スタートへ”. F1-Gate.com (2018年8月31日). 2018年9月1日閲覧。
  6. ^ a b ランド・ノリス、F1イタリアGPでもマクラーレンのFP1を担当”. F1-Gate.com (2018年8月28日). 2018年9月1日閲覧。
  7. ^ a b ランド・ノリス 「僕にとっては良いセッションだった」 / F1イタリアGP”. F1-Gate.com (2018年9月1日). 2018年9月1日閲覧。
  8. ^ Entry List”. FIA (2018年8月30日). 2018年9月1日閲覧。
  9. ^ F1イタリアGP FP1:ウエット路面の中ペレスがトップ。トロロッソ・ホンダは4、6番手”. AUTOSPORTweb (2018年8月31日). 2018年9月1日閲覧。
  10. ^ F1イタリアGP FP2:フェラーリ勢が1-2、エリクソンのマシンが宙を舞う大クラッシュ”. AUTOSPORTweb (2018年8月31日). 2018年9月1日閲覧。
  11. ^ 【タイム結果】F1イタリアGP FP3/ベッテルがトップ。トロロッソ・ホンダのガスリーは12番手”. AUTOSPORTweb (2018年8月31日). 2018年9月1日閲覧。
  12. ^ イタリアGP予選速報:大激戦! ライコネンレコード更新フェラーリ1-2”. motorsport.com (2018年9月1日). 2018年9月1日閲覧。
  13. ^ イタリア予選:ライコネン作戦勝ちで今季初ポール獲得!フェラーリ1-2”. motorsport.com (2018年9月1日). 2018年9月1日閲覧。
  14. ^ “キミ・ライコネン、F1史上最速の平均周回速度を記録 / F1イタリアGP”. f1-gate.com. (2018年9月2日). https://f1-gate.com/raikkonen/f1_44532.html 2018年9月2日閲覧。 
  15. ^ a b ライコネンがポール、跳馬が18年ぶりに最前列!ホンダ勢はQ3進出の大金星 / F1イタリアGP《予選》結果とダイジェスト FORMULA1-DATA 2018年9月1日。
  16. ^ “ケビン・マグヌッセン、アロンソに激怒 「さっさと引退しろ」”. f1-gate.com. (2018年9月2日). https://f1-gate.com/kevinmagnussen/f1_44522.html 2018年9月2日閲覧。 
  17. ^ FORMULA 1 GRAN PREMIO HEINEKEN D'ITALIA 2018 - QUALIFYING”. The Official F1 Website (2018年9月1日). 2018年9月2日閲覧。
  18. ^ Offence Doc39 - N.Hulkenberg”. FIA (2018年8月26日). 2018年9月1日閲覧。
  19. ^ Stewards Decision Doc9 - N. Hulkenberg”. FIA (2018年8月31日). 2018年9月1日閲覧。
  20. ^ Stewards Decision Doc8 - D. Ricciardo”. FIA (2018年8月31日). 2018年9月1日閲覧。
  21. ^ Offence Doc19 - M.Ericsson”. FIA (2018年9月1日). 2018年9月2日閲覧。
  22. ^ F1イタリアGP 暫定スターティンググリッド”. F1-Gate.com (2018年9月2日). 2018年9月2日閲覧。
  23. ^ a b ハース、ルノーの抗議で結果から除外! フロアに違反発覚”. motorsport.com (2018年9月3日). 2018年9月3日閲覧。
  24. ^ ベッテルのミスを批判する元F1ドライバーたち”. TOPNEWS (2018年9月5日). 2018年9月17日閲覧。
  25. ^ FORMULA 1 GRAN PREMIO HEINEKEN D'ITALIA 2018 - RACE RESULT”. The Official F1 Website (2018年9月2日). 2018年9月3日閲覧。
  26. ^ FORMULA 1 GRAN PREMIO HEINEKEN D'ITALIA 2018 - FASTEST LAPS”. The Official F1 Website (2018年9月2日). 2018年9月3日閲覧。
  27. ^ Lap Chart”. FIA (2018年9月2日). 2018年9月3日閲覧。
  28. ^ Offence Doc36- M.Verstappen”. FIA (2018年9月2日). 2018年9月3日閲覧。
  29. ^ Stewards Decision Doc42- Haas F1 Team”. FIA (2018年9月2日). 2018年9月3日閲覧。
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