2024年オーストラリアグランプリ

2024年オーストラリアグランプリ: 2024 Australian Grand Prix)は、2024年のF1世界選手権第3戦として、2024年3月24日アルバート・パーク・サーキットで開催された。

オーストラリアの旗 2024年オーストラリアグランプリ
レース詳細
日程 2024年シーズン第3戦
決勝開催日 3月24日
開催地 アルバート・パーク・サーキット
オーストラリアの旗 オーストラリア ビクトリア州 メルボルン
コース長 5.278km
レース距離 58周 (306.124km)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー
タイム 1:15.915
ファステストラップ
ドライバー モナコの旗 シャルル・ルクレール
タイム 1:19.813(56周目)
決勝順位
優勝
2位
3位

正式名称は「Formula 1 Rolex Australian Grand Prix 2024[1]

背景 編集

タイヤ
ピレリが持ち込んだドライ用タイヤのコンパウンドはハード(白):C3、ミディアム(黄):C4、ソフト(赤):C5で、前年より1段階ソフト寄りの組み合わせとなった[2][3]
ピレリタイヤの組み合わせ
ドライ用 ウェット用
C3 C4 C5 インターミディエイト フルウェット
 
(ハード)
 
(ミディアム)
 
(ソフト)
 
(小雨用)
 
(大雨用)
DRS:4箇所[4]

※( )内は検知ポイント

  • DRS1:マーシャルライトNo.11より130m先から(ターン6から40m先)
  • DRS2:ターン10より100m先から(DRS1と同様)
  • DRS3:ターン14より30m先から(ターン13より90m手前)
  • DRS4:ターン2より30m先から(DRS3と同様)

エントリー 編集

虫垂炎の手術により前戦サウジアラビアGPを欠場したカルロス・サインツが復帰した[5]ローガン・サージェント後述の事情によりFP3以降を欠場する。

フリー走行 編集

FP1
2024年3月22日 12:30 AEDT(UTC+11) (特記のない出典: [5]
気温: 19 °C (66 °F) 路面温度: 37 °C (99 °F) 天候: 晴 路面状況: ドライ
残り20分を切ったところでアレクサンダー・アルボンがクラッシュし、マシンは大きく損傷した。この事故で10分ほど赤旗中断となった。トップタイムはランド・ノリスが記録し、6番手のセルジオ・ペレスまで0.08秒の僅差だった。
FP2
2024年3月22日 16:00 AEDT(UTC+11) (特記のない出典: [8]
気温: 20 °C (68 °F) 路面温度: 37 °C (99 °F) 天候: 晴 路面状況: ドライ
FP1でクラッシュしたアルボンはマシン修復が間に合わず不参加[9]マックス・フェルスタッペンはFP1の終盤にフロアが損傷したことで開始20分まで参加できなかったが、2番手タイムを記録した。トップタイムはシャルル・ルクレールが記録した。
FP3
2024年3月23日 12:30 AEDT(UTC+11) (特記のない出典: [10]
気温: 18 °C (64 °F) 路面温度: 26 °C (79 °F) 天候: 晴 路面状況: ドライ
ウィリアムズはFP1でクラッシュしたアルボンのマシンの損傷が大きく、シャシーの現地での修理は不可能と判断し、かつスペアシャシーが無かったことから、ローガン・サージェントのシャシーをポイント獲得の可能性が高いアルボンに譲ることを決定[7]。これにより、サージェントはFP3以降のセッションを欠場する。
サージェントを除く19台が参加し、ルクレールがFP2に続いてトップタイムを記録した。手術明けのカルロス・サインツもフェルスタッペンに続く3番手タイムを出し、本GPでのフェラーリ・SF-24の優位性を見せた。前日出遅れたメルセデス勢もルイス・ハミルトンが4番手、ジョージ・ラッセルが5番手のタイムを出し、トップのルクレールから4番手のハミルトンまでの差が僅か0.092秒と混戦の予選を期待させる内容となった。

各セッションの順位 編集

予選 編集

2024年3月23日 16:00 AEDT(UTC+11) (特記のない出典: [14]

気温: 19 °C (66 °F) 路面温度: 35 °C (95 °F) 天候: 晴 路面状況: ドライ

マックス・フェルスタッペンが開幕から3戦連続でポールポジションを獲得した。虫垂炎の手術から復帰したカルロス・サインツが2番手に続いたが、フェルスタッペンはサインツに0.270秒差を付ける圧倒的な速さだった。セルジオ・ペレスが3番手(ただしQ1でニコ・ヒュルケンベルグの走行を妨害したため3グリッド降格[15])、ランド・ノリスが4番手で、シャルル・ルクレールは最後のアタックで失敗しタイムを更新できず5番手に留まった。角田裕毅はQ2でルイス・ハミルトンを蹴落としてQ3に進出すると、Q3でもアストンマーティン勢を上回る8番手タイムをマークした。ホームグランプリのダニエル・リカルドはQ1でトラックリミット違反によりベストタイムが取り消されて敗退した。

予選結果 編集

順位 No. ドライバー コンストラクター Q1 Q2 Q3 Grid
1 1   マックス・フェルスタッペン レッドブル-ホンダRBPT 1:16.819 1:16.387 1:15.915 1
2 55   カルロス・サインツ フェラーリ 1:16.731 1:16.189 1:16.185 2
3 11   セルジオ・ペレス レッドブル-ホンダRBPT 1:16.805 1:16.631 1:16.274 6 1
4 4   ランド・ノリス マクラーレン-メルセデス 1:17.430 1:16.750 1:16.315 3
5 16   シャルル・ルクレール フェラーリ 1:16.984 1:16.304 1:16.435 4
6 81   オスカー・ピアストリ マクラーレン-メルセデス 1:17.369 1:16.601 1:16.572 5
7 63   ジョージ・ラッセル メルセデス 1:17.062 1:16.901 1:16.724 7
8 22   角田裕毅 RB-ホンダRBPT 1:17.356 1:16.791 1:16.788 8
9 18   ランス・ストロール アストンマーティンアラムコ-メルセデス 1:17.376 1:16.780 1:17.072 9
10 14   フェルナンド・アロンソ アストンマーティンアラムコ-メルセデス 1:16.991 1:16.710 1:17.552 10
11 44   ルイス・ハミルトン メルセデス 1:17.499 1:16.960 11
12 23   アレクサンダー・アルボン ウィリアムズ-メルセデス 1:17.130 1:17.167 12
13 77   バルテリ・ボッタス キックザウバー-フェラーリ 1:17.543 1:17.340 13
14 20   ケビン・マグヌッセン ハース-フェラーリ 1:17.709 1:17.427 14
15 31   エステバン・オコン アルピーヌ-ルノー 1:17.617 1:17.697 15
16 27   ニコ・ヒュルケンベルグ ハース-フェラーリ 1:17.976 16
17 10   ピエール・ガスリー アルピーヌ-ルノー 1:17.982 17
18 3   ダニエル・リカルド RB-ホンダRBPT 1:18.085 18
19 24   周冠宇 キックザウバー-フェラーリ 1:18.188 PL 2
107% time: 1:22.102
出典: [16][17][18]
追記

決勝 編集

2024年3月24日 15:00 AEDT(UTC+11) (特記のない出典: [22]

気温: 20 °C (68 °F) 路面温度: 39 °C (102 °F) 天候: 晴 路面状況: ドライ

カルロス・サインツ虫垂炎による手術からの復帰戦を勝利で飾り、チームメイトのシャルル・ルクレールとともにフェラーリ2022年バーレーングランプリ以来となる1-2フィニッシュを達成した[23]。フェラーリ勢に続いたのはマクラーレンの2台で、ランド・ノリスが3位表彰台を獲得し、ホームグランプリのオスカー・ピアストリが4位入賞を果たした。

一方、ポールポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペンは右リアブレーキのトラブルにより4周目にリタイアし、連続完走記録は43でストップした[24]ルイス・ハミルトンもパワーユニットのトラブルで16周目にリタイアと、チャンピオン経験者2人が開始から間もなく姿を消す波乱が起きた。

レース終盤、ジョージ・ラッセルフェルナンド・アロンソを追撃中にクラッシュを喫したが、スチュワードは7位でフィニッシュしたアロンソに対し「潜在的に危険」な走行を行ったと判断し、20秒加算のペナルティが科され8位へ降格。これにより、RBに初ポイントをもたらした角田裕毅は7位に繰り上がった[25]

レース結果 編集

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 Grid Pts.
1 55   カルロス・サインツ フェラーリ 58 1:20:26.843 2 25
2 16   シャルル・ルクレール フェラーリ 58 +2.366 4 19FL
3 4   ランド・ノリス マクラーレン-メルセデス 58 +5.904 3 15
4 81   オスカー・ピアストリ マクラーレン-メルセデス 58 +35.770 5 12
5 11   セルジオ・ペレス レッドブル-ホンダRBPT 58 +56.309 6 10
6 18   ランス・ストロール アストンマーティンアラムコ-メルセデス 58 +1:33.222 9 8
7 22   角田裕毅 RB-ホンダRBPT 58 +1:35.601 8 6
8 14   フェルナンド・アロンソ アストンマーティンアラムコ-メルセデス 58 +1:40.992 1 10 4
9 27   ニコ・ヒュルケンベルグ ハース-フェラーリ 58 +1:44.553 16 2
10 20   ケビン・マグヌッセン ハース-フェラーリ 57 +1 Lap 14 1
11 23   アレクサンダー・アルボン ウィリアムズ-メルセデス 57 +1 Lap 12
12 3   ダニエル・リカルド RB-ホンダRBPT 57 +1 Lap 18
13 10   ピエール・ガスリー アルピーヌ-ルノー 57 +1 Lap 2 17
14 77   バルテリ・ボッタス キックザウバー-フェラーリ 57 +1 Lap 13
15 24   周冠宇 キックザウバー-フェラーリ 57 +1 Lap PL
16 31   エステバン・オコン アルピーヌ-ルノー 57 +1 Lap 15
17 63   ジョージ・ラッセル メルセデス 56 アクシデント[22] 7
Ret 44   ルイス・ハミルトン メルセデス 15 パワーユニット[22] 11
Ret 1   マックス・フェルスタッペン レッドブル-ホンダRBPT 3 ブレーキ[22] 1
WD 2   ローガン・サージェント ウィリアムズ-メルセデス マシンをアルボンに譲る[7]
ソース:[26][18][27]
追記
  • ^FL - ファステストラップの1点を含む
  • ^1 - アロンソはラッセルに対し潜在的に危険な走りをしたとして、レース後にドライブスルーペナルティ(なお、レース後の審議及び裁定であったことから、20秒のタイム加算として処理された)とペナルティポイント3点が科された(合計3点)[25][28]
  • ^2 - ガスリーはピット出口のラインを跨いでコースに入ったため、レース後に5秒のタイムペナルティが科せられた[22][29]
  • ^† - リタイアだが、90%以上の距離を走行したため規定により完走扱い
優勝者カルロス・サインツの平均速度[27]
  • 228.316 km/h (141.869 mph)
ファステストラップ[30]
ラップリーダー[31]
太字は最多ラップリーダー
達成された主な記録

第3戦終了時点のランキング 編集

  • :いずれもトップ5まで掲載。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 広告規制に抵触するレースのため、「キック・ザウバーF1チーム」として参戦する。

出典 編集

  1. ^ Australian Grand Prix 2024 - F1 Race”. The Official F1 Website. 2024年3月22日閲覧。
  2. ^ 誰もが憧れるモータースポーツの最高峰。24戦の過去最大レース数と究極のコンペティション【2024年F1をイチから学ぶ】”. autosport web (2024年2月28日). 2024年3月22日閲覧。
  3. ^ Event Notes - Pirelli Preview” (PDF) (英語). FIA.com (2024年3月19日). 2024年3月22日閲覧。
  4. ^ Event Notes - Circuit Map, Pit Lane and Red Zone” (PDF) (英語). FIA.com (2024年3月21日). 2024年3月22日閲覧。
  5. ^ a b 角田裕毅は5位発進、混乱と赤旗を経てノリス最速!トップ6は0.08秒以内 / F1オーストラリアGP 2024 《FP1》結果と詳報”. Formula1-Data (2024年3月22日). 2024年3月22日閲覧。
  6. ^ Entry List” (PDF) (英語). FIA.com (2024年3月22日). 2024年3月22日閲覧。
  7. ^ a b c ウイリアムズF1、アルボンのクラッシュで1台のみの参戦に。入賞のためサージェントを外す「苦渋の決断」/F1第3戦”. autosport web (2024年3月22日). 2024年3月23日閲覧。
  8. ^ ルクレール、20分欠場のフェルスタッペンに0.4秒差!角田裕毅は再び上位 / F1オーストラリアGP 2024 《FP2》結果と詳報”. Formula1-Data (2024年3月22日). 2024年3月22日閲覧。
  9. ^ アレックス・アルボン、赤旗事故を経てF1オーストラリアGPのFP2を欠場”. Formula1-Data (2024年3月22日). 2024年3月22日閲覧。
  10. ^ 白熱の予選を期待させる1000分の92秒差のトップ4、角田裕毅は11番手 / F1オーストラリアGP 2024 《FP3》結果と詳報”. Formula1-Data (2024年3月23日). 2024年3月23日閲覧。
  11. ^ FORMULA 1 ROLEX AUSTRALIAN GRAND PRIX 2024 - PRACTICE 1” (英語). formula1.com (2024年3月22日). 2024年3月22日閲覧。
  12. ^ FORMULA 1 ROLEX AUSTRALIAN GRAND PRIX 2024 - PRACTICE 2” (英語). formula1.com (2024年3月22日). 2024年3月22日閲覧。
  13. ^ FORMULA 1 ROLEX AUSTRALIAN GRAND PRIX 2024 - PRACTICE 3” (英語). formula1.com (2024年3月23日). 2024年3月23日閲覧。
  14. ^ フェルスタッペン「予想外」の圧倒ポール、角田裕毅は2戦連続Q3で堂々8番手 / F1オーストラリアGP 2024 《予選》結果と詳報”. Formula1-Data (2024年3月23日). 2024年3月23日閲覧。
  15. ^ a b ”お昼寝”ペレス、他車妨害で3グリッドの降格ペナルティ。F1オーストラリアGP決勝では6番手スタートに”. motorsport.com (2024年3月23日). 2024年3月23日閲覧。
  16. ^ FORMULA 1 ROLEX AUSTRALIAN GRAND PRIX 2024 - QUALIFYING” (英語). Fomula1.com (2023年3月23日). 2024年3月23日閲覧。
  17. ^ Final Qualifying Classification” (PDF) (英語). FIA.com (2024年3月23日). 2024年3月23日閲覧。
  18. ^ a b FORMULA 1 ROLEX AUSTRALIAN GRAND PRIX 2024 - STARTING GRID” (英語). Fomula1.com (2024年3月23日). 2024年3月24日閲覧。
  19. ^ Infringement - Car 11 - Impeding of Car 27” (PDF) (英語). FIA.com (2024年3月23日). 2024年3月23日閲覧。
  20. ^ 最新仕様のフロントウイングが吹き飛んだ周冠宇、決勝はピットレーンからのスタートに”. motorsport.com (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  21. ^ Infringement - Car 24 - Changes made during Parc Ferme” (PDF) (英語). FIA.com (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  22. ^ a b c d e 波乱…王者2名を含む3台DNF、病み上がりのサインツ優勝!角田裕毅は今季初入賞 / F1オーストラリアGP 2024 《決勝》結果と詳報”. Formula1-Data (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  23. ^ サインツJr.、復帰戦で完勝! フェラーリが久々ワンツー達成。角田裕毅は8位で今季入賞……フェルスタッペンDNF|F1オーストラリアGP決勝”. motorsport.com (2024年3月24日). 2024年3月25日閲覧。
  24. ^ フェルスタッペンの43戦連続完走に終止符を打ったトラブル…スタート時からブレーキ作動”. Formula1-Data (2024年3月24日). 2024年3月25日閲覧。
  25. ^ a b 角田裕毅7位昇格!アロンソにドライブスルー懲罰、ラッセルに対する「潜在的に危険」な走行で / F1オーストラリアGP 2024”. Formula1-Data (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  26. ^ FORMULA 1 ROLEX AUSTRALIAN GRAND PRIX 2024 - RACE RESULT” (英語). Fomula1.com (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  27. ^ a b Final Race Classification” (PDF) (英語). FIA.com (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  28. ^ Infringement - Car 14 - Potentially dangerous driving” (PDF) (英語). FIA.com (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  29. ^ Infringement - Car 10 - Crossing the line at Pit Exit” (PDF) (英語). FIA.com (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  30. ^ FORMULA 1 ROLEX AUSTRALIAN GRAND PRIX 2024 - FASTEST LAPS” (英語). Formula1.com (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  31. ^ Australia 2024 - Laps led” (英語). STATS F1 (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  32. ^ Australia 2024” (英語). STATS F1 (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  33. ^ 戦績:RB”. F1 DataWeb (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  34. ^ a b 2024年F1第3戦オーストラリアGP決勝後ポイントランキング:角田裕毅とRBが急浮上、DNFフェルスタッペンは首位を維持”. Formula1-Data (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  35. ^ a b FIA Formula One World Championship 2024 Australian Grand Prix Standings” (英語). Motorsport Stats (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
  36. ^ a b Championship Points” (PDF) (英語). FIA.com (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
前戦
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