AN/SPS-48とは、1960年代にアメリカ合衆国ITTギルフィラン社が開発した3次元レーダー

AN/SPS-48
セオドア・ルーズベルト」搭載のAN/SPS-48E(4角形の格子状アンテナ)
種別 3次元レーダー
目的 捜索・捕捉
開発・運用史
開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
就役年 1959年 (引渡し)
1965年 (艦隊配備)
製造数 39基 (-48E)
送信機
形式 4段式固体化送信機 (-48E)
周波数 Sバンド(3.0±0.1 GHz
パルス 3マイクロ
パルス繰返数 1,250~2,000 pps
送信尖頭電力 2.2 MW
平均15 kW(-48C) /35 kW(-48E)
アンテナ
形式 プレーナアレイ
素子 スロットアンテナ
76段 (-48C) / 95段 (-48E)
直径・寸法 縦5.2 m×横5.33 m
アンテナ利得 38.5 dB
ビーム幅 縦1.5°×横1.6°
走査速度 7.5 または 15 rpm
方位角 全周無制限
仰俯角 7~45°(-48C)
0~65°(-48E)
探知性能
探知距離 460 km (250 nmi)
探知高度 30,000 m (98,000 ft)
精度 距離: 210 m (230 yds)
角度: 0.2度
分解能 距離: 460 m (500 yds)
角度: 2度
その他諸元
重量 全体: 22,000 lb (10,000 kg)
アンテナ: 4,500 lb (2,000 kg)
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概要 編集

開発は1959年に着手され、試作機は1965年より試験に入った。開発当初は主にテリア・システムターター・システムを搭載した防空艦の中でも比較的大型のミサイル嚮導駆逐艦(DLG / DLGN[1])に装備されていたが、1980年代から新型のAN/SPY-1多用途レーダーを装備したイージス艦の大量配備が進められたことや冷戦終結後の軍縮に伴い、テリア/ターター・システム搭載艦は2000年までには全艦がアメリカ海軍から退役した。

この他には航空母艦強襲揚陸艦などの大型艦に装備されており、後には艦艇自衛システム(SSDS Mk.2)に連接された上で同システムの主要対空捜索センサーの一つとして用いられている。

AN/SPS-48はアメリカ海軍艦にのみ搭載されており、レーダーシステム単体での外国への輸出は行われていない。AN/SPS-48を装備した艦艇についても、台湾中華民国)へ売却されたキッド級ミサイル駆逐艦を除いて、全て退役後はアメリカ国内で保管された後に解体されたか、解体される予定となっている。

派生型 編集

AN/SPS-48A
初期型
AN/SPS-48B
詳細不明。AN/SPS-48Cの試作型の可能性あり。
AN/SPS-48C
AN/SPS-48Aの改良型。自動検出・追尾機能を追加し、移動標的識別(MTI)能力を付与。
AN/SPS-48D
AN/SPS-48Eの試作型。1980年代にNTU改修のテストベッドとされた「マハン」に搭載され、運用試験が行われた。
AN/SPS-48E
AN/SPS-48Cの派生型。電波出力が2倍に強化され、受信機の感度も向上。4ステージのソリッドステート式送信機を採用したことにより、コンポーネント数を-48C型の半数に削減すると共に組み込みテスト時の診断が容易となった。
元々はスタンダードSM-2の発射後捜索(Launch On Search:LOS)機能をサポートするNTU改修New Threat Upgrade)計画の一環として開発されたため、主にNTU改修を受けた艦に搭載された。
AN/SPS-48G
旧式レーダー可用性回復(Radar Obsolescence, Availability Recovery:ROAR)計画に基づいた改良型で、一部は新造されるが、その他は既存のAN/SPS-48Eを改修して製造される。甲板下の電子機器をオープン・アーキテクチャ式の新型に換装することによって、信頼性の向上と訓練時間の短縮が図られている[2]

搭載艦 編集

  アメリカ海軍

  台湾海軍

脚注 編集

  1. ^ 1975年の艦種類別変更により、比較的小型のファラガット級ミサイル駆逐艦(DDG)、その他の艦はミサイル巡洋艦(CG / CGN)に艦種が変更された
  2. ^ http://www.navy.mil/navydata/fact_display.asp?cid=2100&tid=1250&ct=2

外部サイト 編集

関連項目 編集

  • AN/SPS-52 - ヒューズ社が開発した、より軽量の3次元レーダー。輸出にも供された。