BLUE MOON』(ブルー・ムーン、英一&英二シリーズ)は、森脇真末味による日本漫画。読み切りシリーズとして、小学館プチフラワー』に発表された。「緑茶夢」・「おんなのこ物語」と並ぶ作者の代表作の一つ。元は、金子&仲尾シリーズの一篇で、発展(スピンオフ)する形でシリーズ化された。当初は『BLUE MOON』というシリーズ総称は存在せず、「英一&英二シリーズ」としか呼ばれなかった。第5作『BLUE MOON』がシリーズ全体を呼ぶタイトルとして定着し、『躍るリッツの夜』・『ゼネツィオの庭』より後の単行本はこのタイトルで出版されることとなった(この項目では、シリーズ名がつく以前の作品群も含めて、『BLUE MOON』として一括して扱うことにする)。

BLUE MOON
ジャンル 少女漫画
漫画
作者 森脇真末味
出版社 小学館
掲載誌 プチフラワー
レーベル PFビッグコミックス
発表号 1985年4月号 - 1988年10月号
巻数 単行本:全5巻
『躍るリッツの夜』全1巻
『ゼネツィオの庭』全1巻
話数 全14話
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登場人物 編集

菅野[注 1] 英一(すがの えいいち)
主人公で、画家。表向きの仕事は美容師。17歳で、戸籍を有していない。弟とは生年月日が異なる一卵性双生児の兄[注 2]。弟を養うため、詐欺、ジゴロ行為をしており、いつでも逃げ出せるように預金通帳と印鑑を持ち歩いている。弟とは性格がまるで異なり、おしめ交換・授乳・夜泣きの時間が異なったため、母親をノイローゼにしてしまったという。弟を養っており、足かせのように感じているが、それでも弟を見捨てることができない。母親から英一として認知されておらず、そのことが彼の性格を複雑なものにしている。
連載中、作者は英一の方を主人公に決めていたという。世界は自分の味方ではないと知っている子供の目は渇いていて、その分、奇妙に澄み渡っている、というイメージが、英一のキャラクターにはこめられている[1]
菅野 英二(すがの えいじ)
もうひとりの主人公で、英一の双子の弟。無職。17歳で、戸籍を有していない。兄とは生年月日が異なる[注 2]。兄とは水と油程に性格が異なり、生活能力がなく、兄よりも精神年齢が幼い。ただし、料理は兄よりも得意である。ヒーロー物が好き。母親より「英一」として認知されており、精神病院に入院中の母親に英一のかわりに面会に行かされる。兄に対して、複雑な感情を抱いており、誰よりも兄のことを心配し、敬慕している。
英明(ひであき)
英一・英二の父親。ペテン師で、苗字は不明。精神を病んだ母親のかわりに、双子の面倒を見ていた。彼らが6歳の時、失踪する。門崎画塾でも働いていた。
菅野 亜矢子(すがの あやこ)
英一・英二の母親。火事で双子の1人を死なせてしまったと思い込み、英二のことを英一と思い込んで溺愛する。K市の精神病院に入院しており、双子は彼女に面会するため、定期的に病院のある町へ帰ってきている[注 3]
岩田(いわた)
英明のいとこで、顔は英明にそっくり。しかし、性格はかなり異なる。美容院を装ったホストクラブを経営している。
小野(おの)
菅野亜矢子の妹の元夫。甲田から脅されている。
藍川 正典(あいかわ まさのり)
藍川画廊の主人。大晦日に英明と知り合って友人となり、双子の出産に立ち会う。英明の悪辣さと自由さに憧れていた。
ゼネツィオ
英一が出会った謎のロシア人で、彼と共同生活をしている間は、英一は弟の存在を忘れることができた。元諜報員だが狂人で、妻子をあやめたらしい。
足立 絵里(あだち えり)
英二のガールフレンドだったが、英一に恋をしてしまう。
石橋 ユカリ(いしばし ユカリ)
物語の準ヒロインで、『遊戯の時間』からしばらく、シリーズのレギュラーキャラとして登場していた。ポニーテールの、少し不良がかった、成績優秀な女子高生。幼稚園の遠足の際に、英一と英二に自分のお弁当をあげたことがある。叔父に惹かれていた。
青木 薫(あおき かおる)
英一・英二をしばらく引き取って育てていた保護者。養父だったこともある。英一たちの養い親たちが体罰中心の育児をしていたのに対し、伸び伸びとした自由放任主義をとっていた。英一の精神に大きな影響を与えた人物。両親が不仲で、土屋のことをある意味、羨ましく思っていた。物語のキーパーソン。
土屋 貴志(つちや たかし)
青木の2歳年下の異母弟。写真雑誌の編集者。英一に嫉妬しており、双子を罠にかけようとした。のちに、英一の病状に気づいて心配する。
志保子(しほこ)
友人のタカコに頼まれて、10日間ほど英一を預かる。5年間交際していた恋人の南波と別れたばかり。
タカコ
英一を守るため、中学以来の友人である志保子に預ける。
甲田 貴志(こうだ たかし)
音大のピアノ科の学生で、嫌われ者。自殺未遂を起こした後、英一と出会う。
美鈴(めいりん)
英一の知り合いのバーの元マダム。チャイナ・ドレスを着ている。英一と麻薬の鑑定をした。双子に対して、やや曲解している。
門崎(かどさき)
英一の父親で、英明に恨みを持っている画家。40歳位。
春名(はるな)
英一・英二の共通の知人で、現在はやくざ。小太り気味で、サングラスを着用。かつて、英一は春名の恋人を奪ったらしい。
牛島 彩子(うしじま あやこ)
春名のガールフレンドで、高校時代からの知り合い。春名よりDVを受けている。歯科医院の受付をしていた。

作品 編集

※ TIME・TIME2(1985年1月号 - 2月号、初登場作。「男は寡黙なバーテンダー」〈金子&仲尾〉シリーズの一篇)

  1. はがねの輪 1985年4月号
  2. ゼネツィオの庭 1985年10月号、12月号、1986年1月号
  3. ぼくの心はバイオリン 1985年3月号
  4. 遊戯の時間 1986年5月号 ※この話以降、『BLUE MOON』として、単行本に収録されることになる。
  5. BLUE MOON 1986年7月号 - 8月号
  6. 見知らぬ街 1986年9月号
  7. 鰐と少年 1986年10月号
  8. 優しい夜 1987年1月号
  9. 冬の絵本 1987年3月号
  10. いかさま師 1987年4月号 - 5月号
  11. 地図のない旅 1987年7月号 - 9月号
  12. うそつき 1987年11月号 - 12月号
  13. 月の家 1988年1月号 - 2月号、4月号 - 7月号
  14. パウダーブルーの夢 1988年9月号 - 10月号
  • ヘンゼルの森 1988年12月号 ※ 青木薫・土屋貴志兄弟を主役とした番外篇。

書誌情報 編集

  • PFビッグコミックス(小学館)『森脇真末味傑作集-2 躍るリッツの夜』(B6判)「TIME」・「はがねの輪」収録
  • PFビッグコミックス(小学館)『森脇真末味傑作集-3 ゼネツィオの庭』(B6判)
  • PFビッグコミックス(小学館)『BLUE MOON』全5巻(B6判)。
  • 『BLUE MOON』(ブッキング)全3巻

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 母親の姓で、やむを得ず必要な場合のみ名乗っている。
  2. ^ a b 12月31日の午後11時59分に英一が誕生し、続けて、1月1日に英二が生まれた。
  3. ^ その際に、英二が英一の名前を名乗り、英一の扮装をすることになっている。

出典 編集

  1. ^ ブッキング「BLUE MOON」第3巻あとがき「青い月に照らされて…」より

関連項目 編集