Common Desktop Environment(「共通デスクトップ環境」の意、CDEと略記)は、UNIXおよびOpenVMS用のデスクトップ環境である。商用UNIXワークステーションにおけるデスクトップ環境として、かつて標準の地位にあった。

Common Desktop Environment
CDE running on Linux
CDE running on GNU/Linux
開発元 The Open Group
初版 1993年6月 (30年前) (1993-06)
最新版
2.3.2 / 2020年1月14日 (4年前) (2020-01-14)[1]
リポジトリ ウィキデータを編集
対応OS UNIX, OpenVMS,FreeBSD,NetBSD,OpenBSD,Linux
種別 デスクトップ環境
ライセンス LGPLv2
公式サイト www.opengroup.org/cde/
テンプレートを表示

GUIツールキットMotifをさらに拡張したものである。2012年にオープンソース化された。

歴史 編集

CDE は1993年6月、ヒューレット・パッカード (HP)、IBMUSLサン・マイクロシステムズCommon Open Software Environment (COSE) イニシアチブの協業の一環として共同開発することを発表した。ベースとなったのは、HPの VUE英語版 (Visual User Environment) である。VUE自体は Motif Window Manager英語版 (mwm) から派生している。IBMは Common User Access モデルとワークプレース・シェルを提供した。ノベルUNIX System V からデスクトップマネージャの部品とスケーラブルシステム技術を提供した。Sunは OpenWindows 環境から ToolTalk英語版 というアプリケーション連携フレームワークと DeskSet という生産性ツールを提供した(メールクライアントやカレンダークライアントなど)[2]

1994年3月、CDEの管理は Open Software FoundationUNIX International が合併した新たなOSFが受け持つこととなり[3]1995年9月、MotifとCDEを1つのプロジェクトとしたCDE/Motifが発表された[4]1996年にはOSFが新たに結成されたThe Open Groupの一部となっている[5]

2000年頃まで、CDEはUNIXデスクトップのデファクトスタンダードとみなされていたが、KDEGNOMEといったフリーソフトウェアのデスクトップ環境が急速に成長してLinuxプラットフォームで広く使われるようになった。その当時、既にLinuxは全商用UNIXよりも広く使われていたのである。レッドハットはLinuxベンダーとしては唯一CDEを移植していたが、KDEやGNOMEに押されて消えていった。

2001年、商用UNIXベンダーであるサン・マイクロシステムズ (Solaris) は、ワークステーションの標準デスクトップとしてCDEを段階的に廃止してGNOMEに移行することを発表した。2005年初めにリリースされたSolaris 10にはCDEとGNOMEベースの Java Desktop System が含まれている。2011年11月リリースのSolaris 11にはデスクトップ環境としてはGNOMEのみがあり、MotifやTooltalkといったCDE関連ライブラリもバイナリ互換性のために残っている。またOpenSolarisプロジェクトではCDEをオープンソース化することはないと言明した[6]

HPOpenVMSでは、標準のデスクトップ環境としてCDEを採用している。

Motifは2000年に Open Motif としてリリースされたが、その "revenue sharing" ライセンスはオープンソースとしての定義には完全には合致しないし、フリーソフトウェアとしての定義にも合致しない。The Open Groupはこれをオープンソース化したいと考えているが、十分にできているとは言えない[7]。2006年、The Open Groupに対してCDEとMotifのソースコードをフリーなライセンスで公開してほしいという請願がなされた[8]

Xfceデスクトップは一時期ルック・アンド・フィールをCDEに似せていたが、既に変更された。

CDE のオープンソース版を独自に開発するプロジェクトOpenCDEが2010年に始まった。CDEのソースコードを全く使わずに、CDEのルック・アンド・フィール、構成、機能を再現することを目的としている[9]

2012年8月6日LGPLv2でオープンソース化され公開された[10]

CDE を使っているオペレーティングシステム 編集

CDEプロジェクトの下での開発 編集

2014年3月、フリーソフトウェアとなってからの初めてのCDEの安定版(2.2.1)がリリースされた[12]

バージョン2.2.2(2014年7月リリース)から、CDEはFreeBSD 10において、デフォルトのClangコンパイラでコンパイルすることが可能である[13]

バージョン2.3.0(2018年7月リリース)から、CDEはLinuxでTIRPIを利用するようになり、insecure modeで実行するためにポートマッパーとrpcbindは必要とされなくなった。また、Xprintはもう使われておらず、BSDにおいて最初にMotifのカスタム版をインストールすることなくコンパイルすることができる。複数ディスプレイはXineramaによってサポートが改善されている。

フリーソフトウェアとしてリリースされてから、CDEは下記のシステムに移植された[14]

CDEプロジェクトは将来のプロジェクトのゴールとして以下のものを含んでいる。

  • Linux、BSDや他のUnix系のプラットフォームでの移植性を向上させる。
  • さらに他の言語に国際化を進める。

脚注 編集

  1. ^ Trulson, Jon (15 January 2020). "CDE 2.3.2 has been released" (Mailing list). cdesktopenv-devel. 2020年5月24日閲覧
  2. ^ "UNIX Leaders Complete First Release of Specification for Common Open Software Environment Desktop" (Press release). Hewlett-Packard, IBM Corporation, SunSoft, Inc., UNIX System Laboratories, X/Open Company Ltd. 30 June 1993. 2007年11月30日閲覧
  3. ^ "Leading Vendors Unify to Accelerate Open Systems" (Press release). AT&T Global Information Systems, Digital Equipment Corporation, Hewlett-Packard Company, IBM Corporation, SunSoft Incorporated, et al. 23 March 1994. 2008年5月15日閲覧
  4. ^ "OSF Announces Formal Launch of CDE/Motif Project" (Press release). Open Software Foundation. 7 September 1995. 2008年5月15日閲覧
  5. ^ "X/Open and OSF Join to Create The Open Group" (Press release). X/Open Company Ltd. Open Software Foundation. 14 February 1996. 2008年5月16日閲覧
  6. ^ OpenSolaris Consolidation Information”. OpenSolaris Web site. 2007年12月1日閲覧。
  7. ^ Open Motif Frequently Asked Questions”. The Open Group (2004年7月13日). 2007年11月30日閲覧。
  8. ^ Peter Howkins. “Petition to Open Source CDE and Motif”. 2007年11月30日閲覧。
  9. ^ kpedersen. “OpenCDE”. 2011年2月14日閲覧。
  10. ^ CDE - Common Desktop Environment”. 2012年8月6日閲覧。
  11. ^ HP-UX : FAQ
  12. ^ Trulson, Jon (1 March 2014). "CDE 2.2.1 released" (Mailing list). cdesktopenv-devel. 2014年3月5日閲覧
  13. ^ Trulson, Jon (27 July 2014). "CDE 2.2.2 released" (Mailing list). cdesktopenv-devel. 2014年7月27日閲覧
  14. ^ Common Desktop Environment: Wiki”. 2015年1月6日閲覧。
  15. ^ Red Hat package

参考文献 編集

外部リンク 編集