DBSクルーズフェリーは、韓国にあった海運会社。日本境港舞鶴港、韓国の東海港、ロシアウラジオストク港を結ぶフェリーを運航していた。2020年に廃止された。本項ではその他の日本-東海港-ロシア間の航路についても説明する。

DBSクルーズフェリー株式会社
DBS CRUISE FERRY CO LTD
種類 株式会社
本店所在地 大韓民国の旗 韓国
ソウル特別市中区巡和洞5-2 順化ビル1303号
設立 2009年7月12日
業種 海運業
外部リンク http://www.dbsferry.com/
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境港に停泊中のDBSクルーズフェリー

概要 編集

2009年より韓国の東海港を基点に、日本の境港舞鶴港と東海港の間に週一往復、ロシアのウラジオストク港ザルビノ港と東海港の間に週一往復のフェリーを運航させ、最盛期には年間3万3000人余りが利用した[1]

また2011年より集荷のため関西の日本海側の玄関港となっている舞鶴港にも貨物扱いのみで週1往復入港していた。貨物量では舞鶴港が境港の約3倍のコンテナ貨物の集荷をするなど重要な拠点となっていた。

なお以前に福井県敦賀港へ航路を延長する構想があり、2011年半ばまでに試験的な運航を開始するとの報道があったが[2][3]、2011年4月16日に同年5月12日から15日にかけて試験運航を行い[4][5]、13日に敦賀港に入港したが[6]、その後2019年8月現在敦賀港への定期旅客船は運航されていない。

ドックダイヤが冬季に設定されており、その間は運休する。なお、ウラジオストク港ウラジオストク自由港法により通常ビザに加えてインターネットで取得可能な電子ビザでも入国することができる。電子ビザは入国した州内限定で有効となっている。他州への移動権はない。

日韓関係の悪化に伴う旅客の激減により、2019年11月28日から翌年2月末まで運航休止を発表[7]。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う韓国人の旅行減少もあり、2020年1月末を持って業務を停止[8][9]。今後の集客の見通しがたたないとして4月27日付で韓国海洋水産部に航路免許を返納し、廃業した[1]

その後 編集

2020年9月11日に韓国のドゥウォン商船が同フェリーで運航していた貨客船イースタン・ドリームを買い取り、境港に代わって舞鶴港と韓国・浦項、ウラジオストクを結ぶ航路を開設した[10]。週に一度、舞鶴に木曜、浦項に金・土曜、ウラジオストクに日・月・火曜、浦項に水曜という入港スケジュールで運航する予定だった[11]。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大防止に伴う入国制限措置の影響を受け、旅客取扱をしないまま、2021年2月1日に廃止届が受理された[12]

2021年5月、舞鶴港-東海港-ウラジオストク便として韓国側の寄港地を変更して、運航を再開した(ただし旅客輸送はCOVID-19の影響のため休止)。2022年ロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁により、西側諸国とロシアとの間の交通の大半が遮断されているが、本航路については2022年3月現在運航が継続されている[13]と報じられていたが、その3月12日を最後にCOVID-19の長期化が影響して運休となり、5月に東海港-ウラジオストク港間で運行を再開(8月には旅客も完全再開[14])したものの、舞鶴へは寄港できず運休が続くことになった[15]

2024年1月24日、鳥取県平井伸治知事が定例記者会見においてトゥウォン商船が境港と韓国を結ぶ週1往復の定期貨客船運航を目指し、境港寄港の免許取得を韓国当局に申請したと発表した。韓国・東海とウラジオストク間で運航を続ける同船が土曜朝に境港に寄港し、日曜夕方に出港する計画[16]。コロナ禍が落ち着いた2023年12月の時点で、トゥウォン商船の李錫基社長が3泊4日で鳥取県を視察しており、需要が見込めると判断していた[17]。トゥウォン商船によれば、2024年5月に試験運行を経て7月から正式に運行開始をする予定[18][19][20]。運行ダイヤは境港日曜日18時出発、東海港月曜日09時到着、東海港金曜日18時出発、境港土曜日09時到着予定[18]

なおこれとは別に色丹島を拠点とする旅行会社「ボストークツアー」が、が2023年10月に石川県七尾港とウラジオストク港との間で旅客船を運行開始した[21]。その後、11月7日に日本側の到着地を小樽港に変更した後[22]、僅か3往復したのみで撤退した[23]

詳細はプレイオナ(船)の項目を参照。

船舶 編集

  • イースタン・ドリーム(M.V. Eastern Dream)
2009年6月29日就航、元マリックスラインクイーンコーラル (2代)を購入、船首甲板のコンテナ搭載設備を撤去、船室を増設するなど改修の上、就航した。
13,000総トン、全長140m、全幅20m、航海速力20.15ノット、旅客定員500名、乗員30名、貨物積載量130TEU

脚注 編集

  1. ^ a b 鳥取NEWS WEB DBSが免許返納 航路廃止 - NHK NEWS WEB 2020年4月30日(ウェブアーカイブ)
  2. ^ 韓国・東海発の国際クルーズ、敦賀港まで運航延長へ 聯合ニュース,2011年3月23日
  3. ^ 敦賀港まで航路延長 DBSが試験運航を計画 日本海新聞,2011年3月10日
  4. ^ 5月に敦賀へ試験運航計画 環日本海定期貨客船 日本海新聞,2011年4月17日
  5. ^ 境港への国際貨客船、敦賀に航路延長を検討 韓国の会社 asahi.com,2011年4月17日
  6. ^ 福井県 フェリー航路延長敦賀に韓国試験船が入港(福井新聞5月14日)ERINA Business News No.86 環日本海経済研究所
  7. ^ 境港―韓国・ロシアの貨客船運休 - 日本経済新聞2019年11月14日
  8. ^ 境港-ウラジオ貨客船 運航会社が業務停止 - 日本海新聞2020年2月1日
  9. ^ DBSクルーズ、3月運航再開困難に。境港航路、韓国旅客低迷で - 日本海事新聞2020年2月6日
  10. ^ 京都府. “京都舞鶴港と韓国・ロシアを結ぶ直行フェリー輸送の開始”. 京都府. 2020年9月5日閲覧。
  11. ^ 舞鶴~浦項~ウラジオストクを結ぶフェリー「EASTERN DREAM号」が9月17日に就航 週1便、当面は貨物のみ”. TRAICY(トライシー) (2020年9月21日). 2021年2月4日閲覧。
  12. ^ 舞鶴~浦項~ウラジオストク航路、運営会社が韓国政府に廃止届 開設からわずか5か月”. TRAICY(トライシー) (2021年2月4日). 2021年2月4日閲覧。
  13. ^ 【ウクライナ侵攻貿易への影響は】舞鶴~ロシア航路は今 - テレビ大阪ニュース・2022年3月11日
  14. ^ 동해항~일본 사카이미나토 간 국제여객선항로, 이르면 11월 운항 재개 전망” (朝鮮語). 강원도민일보 (2023年10月4日). 2024年2月1日閲覧。
  15. ^ 日韓露結ぶ国際フェリー、休航が半年超に 京都・舞鶴港:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2022年10月28日). 2024年2月1日閲覧。
  16. ^ 日韓定期貨客船、復活の動き 韓国の船会社が鳥取・境港への寄港申請:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2024年1月28日). 2024年2月1日閲覧。
  17. ^ 境港-韓国に定期貨客船 現地の企業計画 航路再開に光 | 山陰中央新報デジタル”. 境港-韓国に定期貨客船 現地の企業計画 航路再開に光 | 山陰中央新報デジタル (2024年1月25日). 2024年2月1日閲覧。
  18. ^ a b DuWon SHIPPING” (朝鮮語). www.dwship.co.kr. 2024年3月9日閲覧。
  19. ^ 동해항-일본 사카이미나토항 중단 4년여 만에 재개” (朝鮮語). KBS 뉴스. 2024年3月9日閲覧。
  20. ^ 김윤구 (2024年2月5日). “동해항∼일본 사카이미나토항 카페리 운항 5월 재개” (朝鮮語). 연합뉴스. 2024年3月9日閲覧。
  21. ^ 侵攻後初か ロシア極東ウラジオストク~石川 “旅客船”定期便週1で運航― 北方領土・色丹島の旅行会社「行き来する需要があると聞いた」対ロ制裁に抵触せず”. UHB:北海道文化放送 (2023年10月24日). 2024年2月1日閲覧。
  22. ^ ロシア旅客船、小樽に到着地変更 ウラジオ―石川・七尾間10月就航:北海道新聞デジタル”. 北海道新聞デジタル. 2024年2月1日閲覧。
  23. ^ 10月就航のロシア旅客船、わずか3往復で撤退 その理由は”. 毎日新聞. 2024年2月1日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集