DF-21 (ミサイル)

中華人民共和国の弾道ミサイル

DF-21: 東風-21Dong-Feng-21、アメリカ国防総省コード:CSS-5)は、中華人民共和国が開発した核弾頭搭載可能な準中距離弾道ミサイル (MRBM)及び対艦弾道ミサイル中国人民解放軍中国人民解放軍ロケット軍で運用されている。

DF-21/CSS-5 Mod 1
種類 MRBM/IRBM
原開発国 中華人民共和国の旗 中国
運用史
配備期間 1991年
配備先 中国人民解放軍ロケット軍
開発史
製造業者 第4アカデミー?
値段 ?
諸元
重量 14,700キログラム (32,400 lb)
全長 10.7メートル (35 ft)
直径 1.4メートル (4.6 ft)

最大高度 ?
弾頭 1, or 5-6 (増強型)[1] 200-300-500 KT[2]

エンジン 固体燃料
翼幅 ?
誘導方式 慣性誘導 + レーダー終末誘導 [6]
発射
プラットフォーム
移動式発射台または地下サイロ
テンプレートを表示

概要 編集

1979年頃よりJL-1潜水艦発射弾道ミサイル(巨浪-1)の本格開発が開始された。DF-21はJL-1の地上配備型である。 1985年頃に開発完了したが、配備が確認されたのは1990年代に入ってからである[7]。2000年代の配備数は60-80発、発射基数は70-90基と推測されている[8]1990年代中期に、射程と命中精度を高めた改良型のDF-21Aが開発されている。吉林省[9]遼寧省江西省安徽省雲南省青海省などに配備されている[10]。ミサイルはミサイルサイロのほか、TEL車両に搭載され道路移動方式でも配備されている[11]。2000年代に入り、改良型のDF-21C型が開発され、射程3000kmに延伸し精度が向上[12]、C型を元に対艦型のDF-21Dが作られた。

2014年にサウジアラビアの軍顧問で退役将校のアンワル・エシュキがアメリカ合衆国中央情報局(CIA)の了解で80年代に購入したDF-3より近代的なDF-21を2007年にサウジアラビアが購入したという報道を事実と認めたが[13][14]、後に中止され、代わりに中国はサウジに無人攻撃機である彩虹4の工場を建設する契約を結んだとも報じられている[15]。しかし、2019年には中国の支援でサウジがミサイル製造施設を建設したことを対イランで協調するアメリカのドナルド・トランプ政権は隠蔽したと報じられている[16]

また、派生型・DF-21Dとして対艦ミサイルに分類される対艦弾道ミサイル(ASBM)が開発されており、これは台湾有事の際におけるアメリカ軍などの介入を防ぐための接近阻止・領域拒否能力獲得の一環である[17]。対艦弾道ミサイルの誘導を行うとされる超音速無人偵察機WZ-8(無偵-8)とともに戦略爆撃機H-6にも搭載できるとされ[18][19][20]、射程約1,500kmで西太平洋における航空母艦が攻撃対象になる可能性があるとアメリカ国防総省では推測している[21]

DF-21Dは試射試験で退役した053H級フリゲート艦「鎮江」(艦番号514 :全長103.2m :全幅 約10m)に対して無効化された弾体によって試験され艦橋部分直撃に成功。 運動エネルギーのみで艦橋は完全に押しつぶされて崩壊し船体にまでダメージは到達した。 損傷の状況から対艦弾道ミサイルDF-21Dはフリゲート艦レベルの小さなターゲットに対して横方向ではなく、直上から命中し下方向へ艦にダメージを与える[22]

仕様 編集

 
赤がDF-21の射程範囲
  • 射程 = 1,750 km以上[8]。DF-21A = 2,150 km以上[11]。DF-21C及びD = 3000 km以上[12]
  • 弾頭 = 500kT核弾頭1個
  • エンジン = 二段式固体燃料ロケット
  • 誘導システム = 慣性 + ターミナルレーダー誘導
  • CEP = 300-400m
  • 全長 = 10.7 m
  • 直径 = 1.4 m
  • 重量 = 14,700kg
  • ペイロード = 600 kg
  • 発射準備期間 = 10-15分

参照 編集

脚注 編集

  1. ^ http://www.strategycenter.net/research/pubID.165/pub_detail.asp
  2. ^ Nuclear Warhead Modernization”. Nti.org. 2010年3月21日閲覧。
  3. ^ The Federation of American Scientists & The Natural Resources Defense Council Chinese Nuclear Forces and U.S. Nuclear War Planning p. 202
  4. ^ DongFeng 21C (CSS-5 Mod-3) Medium-Range Ballistic Missile”. SinoDefence.com (2009年10月3日). 2009年11月27日閲覧。
  5. ^ https://www.usni.org/forthemedia/ChineseKillWeapon.asp
  6. ^ http://www.sinodefence.com/strategic/missile/df21.asp
  7. ^ Chinese Nuclear Forces and U.S. Nuclear War Planning
  8. ^ a b 中国の軍事力2009
  9. ^ ミサイル防衛(MD)への期待 DRC研究専門委員 高山 雅司
  10. ^ 中国の核ミサイル開発と国際的拡散防止レジームへの対応
  11. ^ a b U.S.-CHINA ECONOMIC AND SECURITY REVIEW COMMISSION
  12. ^ a b http://military.cntv.cn/2016/01/18/ARTIkSHw7y8luT0p3k0cWSJs160118.shtml
  13. ^ EXCLUSIVE: CIA HELPED SAUDIS IN SECRET CHINESE MISSILE DEAL”. ニューズウィーク (2014年1月29日). 2019年7月13日閲覧。
  14. ^ Saudi Arabia admits to purchase of Chinese DF-21 missile”. Army Recognition (2014年9月22日). 2019年7月13日閲覧。
  15. ^ China to open a drone factory in Saudi Arabia”. Defense News (2017年3月28日). 2017年4月9日閲覧。
  16. ^ サウジ、中国の支援で弾道ミサイル開発加速か 米諜報 CNN EXCLUSIVE”. CNN (2019年6月6日). 2019年6月9日閲覧。
  17. ^ Andrew S. Erickson (2013-5). Chinese Anti-Ship Ballistic Missile (ASBM) Development: Drivers, Trajectories, and Strategic Implications. The Jamestown Foundation. p. 11. http://www.andrewerickson.com/wp-content/uploads/2018/03/Chinese-Anti-Ship-Ballistic-Missile-Development_Book_Jamestown_2013.pdf 
  18. ^ BZK-008 CH-91 WZ-8 Hypersonic Drone Testbed”. Global Security (2019年10月1日). 2019年10月17日閲覧。
  19. ^ “米軍の介入阻止狙う=台湾侵攻へミサイル強化-中国建国70年軍事パレード”. Jiji.com (時事通信). (2019年10月8日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2019100100848 2019年10月17日閲覧。 
  20. ^ “米中、空母キラー対迎撃ミサイル…南シナ海の火薬庫が熱い ”. 中央日報. (2019年1月22日). https://web.archive.org/web/20191017120117/https://japanese.joins.com/JArticle/249410 2019年10月17日閲覧。 
  21. ^ 中華人民共和国に関する軍事・安全保障情勢2010 P2,P29,P30
  22. ^ https://www.ettoday.net/news/20170101/840458.htm

外部リンク 編集