ELEVEN (アルバム)

B'zのアルバム
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ELEVEN』(イレヴン)は、日本音楽ユニットB'zの11作目のオリジナル・アルバムである。2000年12月6日にRooms RECORDSよりリリース。

ELEVEN
B'zスタジオ・アルバム
リリース
録音
ジャンル
時間
レーベル Rooms RECORDS
プロデュース 松本孝弘
チャート最高順位
ゴールドディスク
  • ミリオン(日本レコード協会[2]
  • B'z アルバム 年表
    • ELEVEN
    • (2000年)
    『ELEVEN』収録のシングル
    1. 今夜月の見える丘に
      リリース: 2000年2月9日
    2. May
      リリース: 2000年5月24日
    3. juice
      リリース: 2000年7月12日
    4. RING
      リリース: 2000年10月4日
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    概要 編集

    1999年リリースの前作『Brotherhood』から1年5か月ぶりとなるオリジナルアルバム。2000年にリリースされたシングル4曲(バージョン違いも含む)を含めた14曲を収録している。初回特典には、B'zの2001年度カレンダーが付属していた[3][注 1]

    ジャケットデザインは、女性がに乗って競馬のレースで独走している様子のイラストになっており、オリジナル・アルバムとしては『The 7th Blues』以来メンバーが登場していないデザイン[注 2]。このイラストのモデルとなったのは1994年のジャパンカップで、そのレースでマーベラスクラウンが優勝した瞬間の写真を加工して使用している。その他、歌詞カードにはB'zのメンバーが馬に乗っている写真などが使用されており、デザイナーの「独走しているB'zを表現したい」というアイデアによって、全体的に競走馬をテーマにした仕様となっている[4]

    アルバムタイトル『ELEVEN』はコンセプトやテーマが全くなかったため、このアルバムが「11枚目のオリジナルアルバム」だったことから付けられた[4]

    第15回日本ゴールドディスク大賞でロック・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞した[5]

    香港、台湾で発売された本作は、スリーブが日本盤とは異なったデザインになっている。

    2013年には松本が「B'zのNo.1アルバムは?」との問いに本作を挙げている[6]

    2018年に結成30周年記念として『DINOSAUR』までのオリジナル・アルバムと共にアナログレコード化された[7]

    収録曲 編集

    CD
    全作詞: 稲葉浩志、全作曲: 松本孝弘。
    #タイトル作詞作曲・編曲編曲時間
    1. I 稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    2.「Seventh Heaven」稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    3.「信じるくらいいいだろう」稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    4.RING(ストリングスアレンジ:池田大介)稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    5.「愛のprisoner」稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    6.「煌めく人」稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    7.May稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志・大島康祐
    8.juice (PM mix)」稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    9.「Raging River」(ストリングス&コーラスアレンジ:池田大介)稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    10.「TOKYO DEVIL」稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    11.「コブシヲニギレ」稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    12.「Thinking of you」稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    13.「扉」稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    14.今夜月の見える丘に (Alternative Guitar Solo ver.)」稲葉浩志松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    合計時間:

    楽曲解説 編集

    1.  I 
      曲名表記は   (四角)の中に「I」の文字が入った記号。
      打ち込みで作られた約24秒のインストゥルメンタルで、今まで発表されたB'zの楽曲の中で最も演奏時間が短い。歌詞カードに歌詞は記載されていないが、何度か「B'z ELEVEN」というコーラスが重ねられている。
      稲葉が床から這い出てくるミュージック・ビデオも制作されている。
      翌年に行われたアルバムツアー『B'z LIVE-GYM 2001 "ELEVEN"』では、佐世保公演からロングバージョンでオープニングSEに使用された。
    2. Seventh Heaven
      ジム・シャンパンとの共同作業で制作された曲。『ELEVEN』にはアルバムタイトル曲(表題曲)が存在しない中で、本アルバムの代表曲という位置付けになっている[4]
      アルバム制作過程の16曲目に制作された曲で、「juice」と同時期に制作された[4]。元々はホーンのないファンキーな雰囲気の曲だった。
      ベースは「FIREBALL」以来、松本が演奏している[8]。松本によると、メインとなるギターのリフが跳ねているビートだったという事で、ベース担当に雰囲気を伝えて演奏してもらうよりも、自分がベースを弾いたほうがノリが合うと思ったためとのこと。「FIREBALL」の時は借り物のベースを使用していたが、今回は後輩から譲ってもらったという松本の私物のベースで演奏している[4]
      曲名は「第7天国」「最上天」という意味の他に「最高の気分」「至福のとき」という意味がある。稲葉によると、タイトルの「Seventh Heaven」は仮歌の段階ですでに存在していて、本歌詞の作成時に日本語で韻を踏むような歌詞にしていったとのこと[4]
      ショートバージョンのミュージックビデオが製作されており、当時放送されていた『笑う犬の冒険』のコント「テリーとドリー」の一部をパロディとして取り入れている。
      2000年の『ミュージックステーションスペシャル スーパーライブ2000』で「今夜月の見える丘に」と共に披露された[9]
      ライブではアルバムツアー以降演奏されなかったが、2020年に行われた無観客配信ライブ『B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-』のDay3にて約19年ぶりに演奏された[10][11]
    3. 信じるくらいいいだろう
      イントロからサビ、間奏までリフで構成されている。
      アルバムツアーでは序盤の一部会場のみで演奏されていた。
    4. RING
      30thシングル。本アルバムの先行シングル曲。
    5. 愛のprisoner
      パット・リーガンとの共同作業で制作された曲。本作の制作過程で最初に制作が開始されたが、最初の渡米でアイデアゼロの状態から曲創りが始まり、東京に戻ってオケ作成を行い、その後2度目の渡米でも制作が継続され、最終的に歌詞が付けられたのはレコーディング後半だった[4]
      アルバムツアーではオープニングを飾った。
    6. 煌めく人
      ラップを用いたミクスチャー・ロックを意識した楽曲。
    7. May
      28thシングル。
    8. juice (PM mix)
      29thシングルのアルバムバージョン。
      サブタイトルの「PM」はポキートマス(Poquito Mas)という安いメキシコ料理屋の名前であり、L.Aレコーディングでよく通っていたという。ちなみにポキートマスは、スペイン語で「もうちょっと!」「もっともっと!」という意味[4]で、シングルバージョンよりもボーカルのレベルを少し上げたアレンジであることから付けられた[12]
    9. Raging River
      マイク・クリンクとの共同作業で制作された曲。
      ロックとストリングスを交えた7分32秒に及ぶバラードで、リメイク版を除くB'zのオリジナル楽曲では最も演奏時間が長い[注 3]
      ピアノによるイントロの後、初めは稲葉のボーカルと松本のアコースティック・ギターの伴奏のみで演奏されるが、中盤から他の楽器も参加して激しくなってくる。
      この曲のデモ音源が、マスト・アルバム『B'z The "Mixture"』にシークレット・トラックとして収録されている(現在は視聴不可)。その際はアコースティック・ギターを用いた全編英語詞によるバージョンだった。
    10. TOKYO DEVIL
      パット・リーガンとの共同作業で制作された曲。
      打ち込み音から始まり、チャイニーズゴングで終わる楽曲。このチャイニーズゴングは、「身体が大きいと音も大きくなるのでは?」という判断からギター・テクニシャンの畠山“hakkai”勝紀が担当[13]
      松本が演奏したギターのフレーズをシンセサイザーに取り込み、それを貼り付けるといったデジタル処理が施されている[13]
      別バージョンとして、2002年発売の『日韓サッカーワールドカップ公式コンピレーション盤』、ミニ・アルバム『DEVIL』、ベスト・アルバム『B'z The Best "ULTRA Treasure"』に収録された全英詞バージョンの「DEVIL」がある。こちらは、外国人プロデューサーと制作したデモが基となっている。
    11. コブシヲニギレ
      前曲や次曲との曲間がない。
      間奏のブルースハープは稲葉が担当。
      翌年に行われた『B'z SHOWCASE "コブシヲニギレ"』のサブタイトルにもなった。
    12. Thinking of you
      イントロがなく、前曲終了直後に稲葉の歌い出しから始まる。
      同年に行われた『B'z LIVE-GYM Pleasure 2000 "juice"』の客出し曲に使用され、未発表の原曲が客出し曲に使われたのはこの曲が初めてである。
      アルバムツアーでは未演奏だったが、2020年に行われた無観客配信ライブ『B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-』のDay3でサビ前の一部が演奏され[10][11]、2022年に行われたツアー『B'z LIVE-GYM 2022 -Highway X-』にてフルサイズで演奏された[14][15]
    13. 本作の制作過程で19曲目に制作が開始された曲で、収録曲の中では最後に制作された曲(1曲目の I を除く)[4]。当時のツアーサポートメンバーとのセッションにより制作された。
      セクションによってテンポが揺れており、エンディングではギターをパンニング処理で左右に振っている。
      アルバムツアーでは未演奏となり、現在もライブ未演奏。
    14. 今夜月の見える丘に (Alternative Guitar Solo ver.)
      27thシングルのアルバムバージョン。
      バージョン表記の"Alternative"は「別の」や「代わりの」という意味の英単語で、それが示すとおりシングルバージョンとは異なるギターソロとなっている。テレビ番組出演時にこのバージョンで演奏し、これを松本が気に入ったことから本作に収録されることとなった[16]
      2002年に発売されたバラード・ベスト・アルバム『The Ballads 〜Love & B'z〜』に収録されたものは、このバージョンやシングルバージョンとも違うギターソロになっている。
      ライブではこのバージョンが披露されることが多く、2000年の『B'z LIVE-GYM Pleasure 2000 "juice"』で初披露された。

    参加ミュージシャン 編集

    ライブ映像作品 編集

    シングル曲については各作品の項目を参照

    Seventh Heaven

    愛のprisoner

    煌めく人

    Raging River

    TOKYO DEVIL

    コブシヲニギレ

    Thinking of you

    脚注 編集

    注釈 編集

    1. ^ 尚、このカレンダーだけでは未完成であり、当時の会報誌に付属されていたポストカードと合わせることで完成する仕様だった
    2. ^ ただし、歌詞カードの裏面(折り畳まれた状態においてジャケットを表面とした場合の裏面)や裏ジャケットには登場している。
    3. ^ 全ての作品を含めても、「OUT OF THE RAIN -OFF THE LOCK STYLE-」(1stミニ・アルバム『BAD COMMUNICATION』収録、「君を今抱きたい」のリメイク)の7分38秒に次いで長い。

    出典 編集

    1. ^ “B'z、自己記録を更新!!”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2005年3月16日). https://www.barks.jp/news/?id=1000006243 2021年1月28日閲覧。 
    2. ^ GOLD ALBUM他 認定作品 2000年12月度」『The Record』第495号、日本レコード協会、8頁。 
    3. ^ MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「限定」の項)”. エムアールエム. 2019年11月23日閲覧。
    4. ^ a b c d e f g h i 『be with!』第48巻、B'z Party、2000年12月。 
    5. ^ 第15回日本ゴールドディスク大賞 / Gold Disc Hall of Fame 15th|THE GOLD DISC”. 日本レコード協会. 2019年11月23日閲覧。
    6. ^ 『be with!』第97巻、B'z Party、2013年3月。 
    7. ^ “B'z、アルバム全20作品をアナログ化。大型エキシビションで販売”. rockin'on.com (ロッキング・オン). (2018年3月22日). https://rockinon.com/news/detail/174432 2018年11月10日閲覧。 
    8. ^ MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「ベース」「bass」の項)”. エムアールエム. 2019年11月23日閲覧。
    9. ^ 出演者ラインナップ|ミュージックステーション”. テレビ朝日 (2000年12月29日). 2019年11月23日閲覧。
    10. ^ a b B'z無観客配信ライブ「B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day3」レポート”. ローソンチケット. 株式会社ローソンエンタテインメント. 2020年11月21日閲覧。
    11. ^ a b “B'z、無観客配信ライブ『Day3』 "道は違っても ひとりきりじゃないんだ" 今だからこそより響くメッセージ”. SPICE (イープラス). (2020年11月20日). https://spice.eplus.jp/articles/278922 2020年11月21日閲覧。 
    12. ^ mfm I 2013, p. 178.
    13. ^ a b MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「TOKYO DEVIL」の項)”. エムアールエム. 2019年11月23日閲覧。
    14. ^ “B'z、“待っててくれた人”たちの前で全国ツアー完走!「1本のライブを行えることは奇跡」”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2022年11月29日). https://natalie.mu/music/news/503120 2022年11月29日閲覧。 
    15. ^ “【ライブレポート】B'z、延期というハプニングがかけがえのないサプライズとなった奇跡の夜”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2022年11月29日). https://www.barks.jp/news/?id=1000227274 2022年11月29日閲覧。 
    16. ^ mfm I 2013, p. 207.

    参考文献 編集

    • 『music freak magazine & Es Flash Back B'z XXV Memories I』エムアールエム、2013年。 

    関連項目 編集

    外部リンク 編集