FAKE (2016年の映画)

2016年の日本のドキュメンタリー映画

FAKE』(フェイク)は、2016年制作の日本ドキュメンタリー映画ゴーストライター問題が発覚し、渦中の人物となっていた佐村河内守を中心に、彼を取材するテレビ関係者、真偽を確かめに来る海外のジャーナリストなどを1年4か月[1]に渡って追ったドキュメンタリー作品である[2]

FAKE
監督 森達也
出演者 佐村河内守
撮影 森達也
山崎裕
編集 鈴尾啓太
配給 東風
公開 日本の旗 2016年6月4日
上映時間 109分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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概要 編集

聴覚障害をもちながら『交響曲第1番《HIROSHIMA》』などを作曲して、一時は現代のベートーベンと持ち上げられた音楽家の佐村河内守。しかしその後、神山典士が持ち込んだ週刊文春掲載の告発記事により、「作曲はしていない」「実は耳が聞こえるんじゃないか」と一転して非難の的となる。

タイトルとなる「FAKE」には見せかける、いんちき、虚報などの意味がある。はたして佐村河内守はどこまで嘘をついていたのか。真実は何か。ドキュメンタリー作家・森達也が15年ぶりに臨む単独監督作品。キャッチコピーは「誰にも言わないでください、衝撃の12分間」[3]

撮影は2014年9月から2016年1月にかけて、神奈川県横浜市内の佐村河内の自宅を中心に撮影が行われた[4]。監督である森はジャーナリズムに基づいたノンフィクション作品ではなく、演出の入ったドキュメンタリー作品であることを強調[5]しており、画一的な報道がなされる上での別視点の提供であるとしている[6]。(森は、ジャーナリズムを客観や中立を標榜し社会正義を体現しようとするもの、ドキュメンタリーは自分の主観を出すもの、として区別している[7]

取材方法の一環として、ノンフィクション作家の大御所・佐野眞一に佐村河内をインタビューさせて、そのうしろからカメラを回すプランがあったが、佐野には約束の数日前に「いろいろ考えたけれど、自分の琴線が動かない」と言われ実現に至らなかった。当時、佐野は自作品の剽窃問題で追い詰められており、事実上、メディア業界から追い出されるような恰好になっていた。[7]

評価など 編集

映画ライターの村山章は「誰もが抱える下世話なゴシップ欲へのやたらと面白い返答であり、感動的なメロドラマであり、エキサイティングな音楽映画でもある」[8]と評論した。

2017年3月2日にディレクターズカット版DVDがリリース(発売元:ディメンション、販売元:ハピネット[9][10]

出演 編集

スタッフ 編集

  • 監督:森達也[12]
  • アシスタントプロデューサー:田中志緒理
  • プロデューサー:橋本佳子、木下繁貴、古賀文規
  • 撮影:森達也・山崎裕
  • 編集:鈴尾啓太
  • 製作:ドキュメンタリージャパン、東風、DIMENTION、ピカンテサーカス
  • 制作:「Fake」制作委員会
  • 英語字幕:田中志緒理 石原雪子
  • 挿入歌「Requiem」(作曲:佐村河内守)[注 1]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 2017年作曲の「Resurrection」とともに『みちのくプロレス 旗揚げ25周年記念アルバム』(キングレコード,2018. KICS-3766)に収録されている。

出典 編集

  1. ^ 森達也vs佐村河内守! 巷で噂のドキュメンタリー『FAKE』、その制作秘話 (1/4ページ)”. VICE JAPAN. VICE JAPAN (2016年6月22日). 2019年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月2日閲覧。
  2. ^ 映画「FAKE」”. 映画ドットコム. 2018年4月28日閲覧。
  3. ^ “佐村河内氏の自宅で撮影 森達也監督新作ドキュメンタリー「FAKE」特報動画公開 : 映画ニュース - 映画.com” (日本語). 映画.com. https://eiga.com/news/20160323/5/ 2018年4月28日閲覧。 
  4. ^ “佐村河内氏ドキュメンタリー映画6・4公開決定”. 日刊スポーツ. (2016年3月9日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/1614300.html 2022年1月27日閲覧。 
  5. ^ 森達也vs佐村河内守! 巷で噂のドキュメンタリー『FAKE』、その制作秘話 (4/4ページ)”. VICE JAPAN. VICE JAPAN (2016年6月22日). 2019年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月2日閲覧。
  6. ^ “森達也監督「FAKE」から見えたTVというメディアの問題点とは : 映画ニュース - 映画.com” (日本語). 映画.com. https://eiga.com/news/20160728/13/ 2018年4月28日閲覧。 
  7. ^ a b Fujii, Seiji; 藤井誠二 (2017). Bokutachi wa naze shuzai suru no ka : gokushiteki shuzai no sekai. Ippo Nakahara, 中原一步. (Shohan ed.). Tōkyō. ISBN 978-4-7744-0637-4. OCLC 995843770. https://www.worldcat.org/oclc/995843770 
  8. ^ 「佐村河内守」とは何者?映画の仕掛けた迷路に迷い込む、刺激と驚きの怪作”. 映画ドットコム. 2016年5月24日閲覧。
  9. ^ FAKE”. ハピネットピクチャーズ - Happinet Pictures. 2021年3月2日閲覧。
  10. ^ FAKE_DVD of 幻の映画復刻レーベルDIGのサイト”. 幻の映画復刻レーベルDIGのサイト. 2021年3月2日閲覧。
  11. ^ 映画「FAKE」に関する新垣隆所属事務所の見解 | 新垣隆オフィシャルサイト | 応援団サイト”. 新垣隆オフィシャルサイト | 応援団サイト (2016年7月8日). 2018年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月2日閲覧。
  12. ^ “森達也監督、佐村河内守氏追った「FAKE」での痛恨ミス告白 : 映画ニュース - 映画.com” (日本語). 映画.com. https://eiga.com/news/20161015/5/ 2018年4月28日閲覧。 

外部リンク 編集