Global File System (GFS)は、Linuxコンピュータ・クラスタークラスタファイルシステムの一種である。AFSCodaGoogle File System(紛らわしいことに同様にGFSと略される)などの分散ファイルシステムとは異なり、全ノードから同じ共有ストレージに同時にアクセスできる。

GFSでは非接続運用モードがなく、クライアントとサーバの区別がない。全てのノードは同等である。GFS共有ストレージとしては、ファイバーチャネルiSCSIAoEなどを主に使う。クラスターでGFSを使うには、フェイルオーバーによる冗長性を実装するGULMなどのサーバベースのロックマネージャ・プラグインや分散ロックマネージャ(DLM)を使う必要がある。単一ノードでGFSを普通のファイルシステムのように使う場合は "nolock" ロックマネージャを使うこともできる。GFS はフリーソフトウェアであり、GNU General Public Licenseでライセンスされている[1][2]

歴史 編集

GFSは1997年、ミネソタ大学ツインシティー校で開発されたのが起源である。当初SGIIRIX上で開発していたが、オープンソースの環境の方が開発しやすいことから1998年にはLinuxに移行した。1999年末から2000年初めに、その開発はSistina Softwareという企業に移行され、しばらくオープンソースで開発を続行していた。しかし2001年、SistinaはGFSをオープンソースでないライセンスで商用化することを選択した。

そのため開発者らがGFSの最新版からOpenGFSをフォークさせ、OpenDLMと共に更新を続けた。しかし2003年12月、レッドハットがSistinaを買収し、2004年6月にGPLライセンスでGFSと各種クラスタ基盤部品をリリースしたため、OpenGFSとOpenDLMは事実上意味がなくなった。

レッドハットはその後バグ修正と安定性向上に注力し、GFSから派生したGFS2[3]分散ロックマネージャ(GFSと共通)をLinux 2.6.19に組み込んだ。GFS2はRed Hat Enterprise Linux 5.2で、評価目的のためにカーネルモジュールとして含まれ、5.3アップデートで、カーネルパッケージの一部となった。一方、GFSは、Red Hat Enterprise Linux 6からは対応されない。

2007年、GFSはFedoraCentOSといったLinuxディストリビューションにも採用された。Red Hat Enterprise Linux上でGFSを完全に動作させるための有償サポートもある。Red Hat Enterprise Linux 5からは、RHEL Advanced PlatformにGFSサポートも含まれており、サポートに追加コストは発生しない。

以下にバージョン番号と機能の対応を示す。

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ Teigland, David (2004年6月29日), Symmetric Cluster Architecture and Component Technical Specifications (PDF), Red Hat Inc, 2007年8月3日閲覧
  2. ^ Soltis, Steven R; Erickson, Grant M; Preslan, Kenneth W (1997), “"The Global File System: A File System for Shared Disk Storage"”, IEEE Transactions on Parallel and Distributed Systems, http://www.diku.dk/undervisning/2003e/314/papers/soltis97global.pdf 
  3. ^ Whitehouse, Steven (2007年6月). "The GFS2 Filesystem" (PDF). Proceedings of the Linux Symposium 2007. カナダ オタワ. pp. 253–259.

外部リンク 編集