ロシアの旗Il-114

Il-114(イリューシン114;ロシア語:Ил-114イール・ストー・チトィールナッツァチ)は、ロシアイリューシン設計局が開発した60席クラスの地域路線用のターボプロップ双発旅客機である。初飛行は1990年。

概要 編集

Il-114は、ソ連時代に開発されたAn-24Il-14といった機体の後継機として位置けられている。機体形状は、プロペラ機としては一般的なものであり、低翼配置の主翼を持ち、通常形式の尾翼がある。一部に複合材を使用し軽量化が図られ、二重隙間フラップの高揚力装置を有する[1]

1980年代から開発が始められたが、ソ連邦末期の経済混乱の影響により、試作機の初飛行は1990年3月29日まで遅延した[1]1992年8月7日には量産型の飛行にも成功し、また西側のパリ航空ショーにも1991年に出品されていた。しかし、その後は、1993年7月5日に量産2号機が墜落したことも含め[1]、開発スピードは経済混乱のため緩慢になり、型式証明の交付を受けたのは1997年4月26日のことであり[1]、営業路線に就航したのは1998年8月27日ウズベキスタン航空によってであった[1]

Il-114は国際的分業体制で製造されており、設計と営業はロシア、主翼はルーマニア、尾部はブルガリア、そのほかの機体各部がポーランドなどである。また最終組み立てはウズベキスタンタシュケントで行われている[1]

操縦系統は、CRT使用のグラスコックピットを採用している[1]

派生型(計画案も含む) 編集

  • Il-114
初期生産型・64席・航続距離1,000km
  • Il-114-100
プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW-127装着型・64席・航続距離:1400km
  • Il-114-120
プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW-127H装着型・64席
  • Il-114-300
航続距離延長型・クリーモフ TV7-117S・52席・航続距離:2100km
  • Il-114T
貨物型・2001年春に2機製造
  • Il-114P
海上パトロール型
  • Il-114MP
海上パトロール/攻撃型
  • Il-114FK
軍事用偵察機・地図作成用
  • Il-114PR
情報収集型
  • Il-140
早期警戒型。
  • Il-140M
海難救助用

運用者 編集

PW-127Hエンジン搭載の52席仕様。6機(UK-91104, UK-91105, UK-91106, UK-91107, UK-91108, UK-91109)を保有し、3機がフライアブルであった[2]
2018年3月にIl-114-100を段階的に廃止しA320ceo/neoに置き換える決定を下した。廃止理由は不十分な座席収容能力、アフターサービスにあるという。Il-114機は1-2ヵ月で用廃となり、リースアウトするという。ウズベキスタン航空はキルギスタン航空にリースすることに関心を示している[2]
2018年5月1日、用廃となった[3]
Il-114LL(飛行実験室)を1機保有[4]

仕様 編集

  • 運航乗員 : 2
  • 乗客 : 52-64
  • 全長 : 26.87m
  • 全幅 : 30.00m
  • 高さ : 9.18m
  • 翼面積 : 81.9 m2
  • エンジン : クリーモフ TV7-117S 双発
  • 推進力 : 2,500 shp
  • 最大離陸重量 : 23,500 kg
  • 機体重量 : 15,000kg
  • 巡航速度 : 450 km/h
  • 航続距離 : 1,000 km(初期生産型)
  • 航続距離 : 2,100 km(Il-114-300)

脚注 編集

外部リンク 編集