microcifra 10あるいはmicrocifra 10 cientificaは、1975年頃にアルゼンチンのFATE社で製造されていた関数電卓である[1]

microcifra 10

概要 編集

逆ポーランド記法 編集

microcifra 10 は、3レベル(«X»,«Y»,«Z»)のスタックを持つ逆ポーランド記法[2]電卓である。[3] [E]キーがエンターキーであり、[F]+[x←→y]で置数スタック(«X»)と第二レベルスタック(«Y»)の値を交換する。 [C]キーはクリアキーであるが、実際はスタックを1段下降させるものである。[4]

独立メモリ 編集

独立メモリは、1組だけ用意されており、[F]+[→M]で独立メモリ(«M»)に書き込み、[◇M]キーで独立メモリ(«M»)から読み出す。

[F]+[+M]と[F]+[-M]で独立メモリ(«M»)内の値に加減算を行うこともできる。

クリア機能 編集

[C*]キーはオールクリアキーであるが、スタックの内容だけでなく独立メモリ(«M»)の内容までクリアされるので注意が必要である。

[F]+[cf]は、[F]キーを押したことをキャンセルする機能であり、[F]キーを押した直後に[C]キーを押した場合、結局何も押さなかったのと同じことになる。 (なお、[F]キーを2回押すと、[F]+[π]が押されたことになり、円周率が置数される。)

置数をクリアするには、[C]キーを使用するが、前述のように[C]キーはスタック下降機能であるため、[C]キーを押すと[C]キー押下前の第二レベルスタック(«Y»)の内容が表示される[4][3]

トップレベルスタックの挙動 編集

対数関数指数関数三角関数逆三角関数を計算すると、トップレベルスタック(«Z»)はクリアされる。

また、オーバーフロー等のエラーが発生した場合には、[C]キーで復帰することができるが、置数スタック(«X»)及びトップレベルスタック(«Z»)はクリアされる[5][3]

省電力モード 編集

 
省電力モード

microcifra 10 は、最後にキー操作を行ってから約25秒経過すると省電力モードに入り、LEDの小数点だけが全て点灯する(写真参照)。 省電力モードの状態で[V]キーを押すと、通常モードへと復帰する。[3]

表示装置 編集

表示装置には赤色LEDが使用されている。

電源 編集

電源としては、単三乾電池6本を使用するが、外部電源用端子も用意されている。

HANIMEX 276 編集

 
左から、microcifra 10、HANIMEX 276、pocket-mini

HANIMEX 276は、CASIOのpocket-mini(LEDバージョン)の筐体にmicrocifra 10の機能を内蔵した逆ポーランド記法関数電卓である。香港製。電源には、9Vの006P乾電池を使用するが、外部電源用端子も用意されている。

筐体の関係でキー数が制限されており、[V]キーと[C*]キーが省略されている。そのため、省電力モードから復帰するのに[+/-]キーを二回押すなどの工夫が必要である([F]+[CLF]でも可)。

UNITREX 90SC 編集

 
microcifra 10 (左) と UNITREX 90SC

UNITREX 90SCは、UNITREX独自の筐体にmicrocifra 10の機能を内蔵した逆ポーランド記法関数電卓である。香港製。HANIMEX 276同様、電源には、9Vの006P乾電池を使用するが、外部電源用端子も用意されている。

UNITREX 90SCでは、[V]キーの代わりに[D]キーが、[C*]キーの代わりに[CA]キーが設置されている。

脚注 編集

  1. ^ www.curtamania.com - Fate Microcifra 4 & 10 - 仕様について言及があり、写真も掲載されている。
  2. ^ Notación Polaca Inversa (西) - 逆ポーランド記法
  3. ^ a b c d MICROCIFRA 10 CIENTIFICA su microcalculadora electronica de bolsillo (スペイン語マニュアル)
  4. ^ a b «X»の内容が消去されて«Y»の内容が入り、«Y»に«Z»の内容が入り、«Z»はクリアされる。RPL言語での DROP機能に相当する。
  5. ^ エラーが発生しても、第二レベルスタック(«Y»)と独立メモリ(«M»)の内容は保持される。