PT20は、日立造船スイスシュプラマル(Supramar)からライセンスを受けて建造した半没型水中翼船。1960年代を中心に派生型のPT32を含めて、19隻が建造された[1]

概要 編集

 
呉市海事歴史科学館で屋外展示されていた「金星」

シュプラマルが開発した70名乗りの水中翼船で、日本では日立造船が1960年10月に技術提携を結び、神奈川工場でライセンス生産を行った[2]

1961年イタリアロドリゲス造船所で建造された1隻を研究用として輸入、貨物船で日本へ輸送された1番艇は神奈川工場で各種試験を受けた後[1]1962年4月7日南海汽船の「つばさ丸」として神戸 - 白浜航路に就航、定期運航が開始された。

設計 編集

船体はアルミ軽合金で、船体中央の機関室の上に操舵室、その前後に客室が設けられていた。

  • 総トン数:約60トン
  • 機関:ディーゼル×1基
  • 旅客定員:約70名

建造船一覧 編集

船名 竣工年 総トン数 運用者 備考
つばさ丸 1960年 61.48 トン 南海汽船 研究用として輸入
大鵬丸 1962年 62.54 トン 名鉄海上観光船 国産一番船
はやて1号 1962年 61.72 トン 関西汽船
はやて2号 1962年 61.72 トン 関西汽船
隼丸 1962年 61.67 トン 名鉄海上観光船
あまつ 1963年 61.67 トン 阪急汽船
かすがの 1963年 61.67 トン 阪急汽船
バカンス 1963年 61.67 トン 東海汽船
ファミリー 1965年 61.67 トン 東海汽船
金星 1966年 63.75 トン 石崎汽船 引退後、呉市海事歴史科学館で屋外展示されるが、老朽化により解体
ひびき 1966年 63.75 トン 瀬戸内海汽船
ひびき三号 1968年 62.99 トン 瀬戸内海汽船
しぶき二号 1969年 62.95 トン 防予汽船
明星 1970年 62.87 トン 石崎汽船
隆星 1981年 56.75 トン 石崎汽船
MANLY英語版 1964年 オーストラリアへ輸出、シドニー湾で運航
ANGEL II 韓国へ輸出
ANGEL III 韓国へ輸出

脚注 編集

  1. ^ a b (関西造船協会 2002,p245)
  2. ^ (関西造船協会 2002,p244)

参考文献 編集

  • 三宮一泰編,2002年.『航跡 船匠たちから次代への伝言』関西造船協会