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ジアゼパムはベンゾジアゼピン系抗不安薬、抗けいれん薬、鎮静薬である。日本国外では代表的な睡眠薬でもあり、(骨格)筋弛緩作用もある。化学的には1,4-ベンゾジアゼピン誘導体で、1950年代にレオ・スターンバックによって合成された。ジアゼパムは、広く用いられる標準的なベンゾジアゼピンのひとつで、世界保健機関 (WHO) も「エッセンシャルドラッグ」リストにジアゼパムを掲載している。

日本での代替医薬品でない商品名として「セルシン」、「ホリゾン」があり、ほか、各種後発医薬品が利用可能である。アメリカ合衆国での商品名としてValium、Seduxenなどがある。 


/2

コレステロールまたはコレステリンはステロイドに分類され、その中でもステロールとよばれるサブグループに属する有機化合物の一種である。

分子式は C27H46O と表される。室温で単離された場合は白色ないしは微黄色の固体である。生体内ではスクアレンからラノステロールを経て生合成される。

名称は1784年に研究者が胆石からコレステロールの固体を初めて同定した際、ギリシア語の chole-(胆汁)と stereos(固体)から名付けられた。加えて化学構造がアルコール体であるため、化学命名接尾辞 "-ol" が付けられる。 


/3

酵素とは、生体でおこる化学反応に対して触媒として機能する分子である。酵素によって触媒される反応を酵素的反応という。

酵素は生物が物質を消化する段階から吸収・輸送・代謝・排泄に至るまでのあらゆる過程に関与しており、生体が物質を変化させて利用するのに欠かせない。したがって、酵素は生化学研究における一大分野であり、早い段階から研究対象になっている。

多くの酵素は生体内で作り出されるタンパク質をもとにして構成されている。したがって、生体内での生成や分布の特性、熱やpHによって変性して活性を失う(失活)といった特性などは、他のタンパク質と同様である。 


/4

抗酸化物質とは、抗酸化剤とも呼ばれ、生体内、食品、日用品、工業原料において酸素が関与する有害な反応を減弱もしくは除去する物質の総称である。特に生物化学あるいは栄養学において、狭義には脂質の過酸化反応を抑制する物質を指し、広義にはさらに生体の酸化ストレスあるいは食品の変質の原因となる活性酸素種(酸素フリーラジカル、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドアニオン、過酸化水素など)を捕捉することによって無害化する反応に寄与する物質を含む。この反応において、抗酸化物質自体は酸化されるため、抗酸化物質であるチオール、アスコルビン酸またはポリフェノール類は、しばしば還元剤として作用する。 


/5

イットリウムは原子番号39の元素で、元素記号は Y である。銀光沢のある遷移金属であり、ランタノイドと化学的性質が似ているので、慣例で希土類元素に分類されている。他のランタノイドと同じく希土類鉱物中に存在し、天然に単体としては存在しない。

1787年にアレニウスがスウェーデンのイッテルビー村で未知の鉱物を発見し、「イッテルバイト」と名づけた。ガドリンはアレニウスの見つけた鉱物からイットリウムの酸化物を発見し、アンデルス・エーケベリはそれをイットリアと名づけた。単体のイットリウムは1828年にヴェーラーにより初めて単離された。イットリウムの最も重要な応用先は蛍光体であり、その赤色蛍光体はテレビのブラウン管ディスプレイやLEDに用いられている。また電極、電解質、電気フィルタ、レーザー、超伝導体などのほか、医療技術にも応用されている。 


/6

カロリック説は、物体の温度変化をカロリック(熱素)という物質の移動により説明する説である。

物体の温度が変わるのは熱の出入りによるのであろうとする考えは古くからあったが、熱の正体はわからなかった。18世紀初頭になって、カロリックという目に見えず重さのない熱の流体があり、これが流れ込んだ物体は温度が上がり、流れ出して減れば冷える、とするカロリック説が唱えられた。カロリックはあらゆる物質の隙間にしみわたり、温度の高い方から低い方に流れ、摩擦や打撃などの力が加わることによって押し出されるものとされた。この考えは19世紀初めまで信じられていた。 


/7

金属とは、展性・塑性・延性に富み、機械工作が可能な電気および熱の良導体であり、金属光沢という特有の光沢を持つ物質の総称である。水銀を例外として常温・常圧状態では透明ではない固体となり、液体状態でも伝導性と光沢性は維持される。

単体で金属の性質を持つ元素を「金属元素」と呼ぶ。金属内部の原子は、自由電子を介して陽イオン同士が金属結合により結びついている、金属結晶状態にある。周期表において、ホウ素、ケイ素、ヒ素、テルル、アスタチン(これらは半金属と呼ばれる)を結ぶ斜めの線より左に位置する元素が金属元素に当たる。異なる金属同士の混合物である合金、ある種の非金属を含む相でも金属様性質を示すものは金属に含まれる。 


/8

元素は、化学物質を構成する基礎的な成分(要素)を指す概念である。古代から中世において、万物の根源は仮説を積み上げる手段で考えられ、その源にある不可分なものを「元素」と捉えていた。ヨーロッパで成立した近代科学の成立以降、物質の基礎単位は原子という理論が構築されてからは、原子は「物質を構成する具体的要素」、元素は「性質を包括する抽象的概念」というように変わった。

各元素の差異は原子番号すなわち原子核に存在する陽子の数(核種)で区分される。中性子の総数により質量数が異なる同位体も同じ元素として扱われる。

元素の性質は最外殻電子(価電子)に大きく影響されるため、同様な性質を持つ元素は元素の族(元素群)として、周期表においても族(周期表の列)や系列として纏められている。 


/9 酸素は原子番号が8の非金属元素で、元素記号は O である。周期表では第16族元素(カルコゲン)および第2周期元素に属し、電気陰性度が大きいため反応性に富み他のほとんどの元素と化合物(特に酸化物)を作る。標準状態では2個の酸素原子が二重結合した無味無臭無色透明の二原子分子である酸素分子 O2 として存在する。宇宙では水素、ヘリウムに次いで3番目に多くの質量を占め、ケイ素量を106とした際の比率は 2.38 × 107 である。地球地殻の元素では質量が最も多く、47%が酸素である。気体の酸素分子は大気の体積の20.95%、質量で23%を占める。

スウェーデンの薬剤師、シェーレによって1771年に発見されたが、すぐには発表されず、1774年にプリーストリーが独立に発見したあとに広く知られるようになった。 


/10

周期表は、物質を構成する基本単位である元素を、それぞれが持つ物理的または化学的性質が似かよったもの同士が並ぶように決められた規則(周期律)に従って配列した表である。原則的に、左上から原子番号の順に並ぶよう作成される。周期表上で元素はその原子の電子配置に従って並べられ、似た性質の元素が規則的に出現する。

同様の主旨を元に作成された先駆的な表も存在するが、一般に周期表は1869年にロシアの化学者メンデレーエフによって提案された、原子量順に並べた元素がある周回で傾向が近似した性質を示す周期的な特徴を例証した表に始まると見なされている。この表の形式は、新元素の発見や理論構築など元素に対する知見が積み重なるとともに改良され、現在では各元素のふるまいを説明する洗練された表である。 


/11

水素は原子番号1 、元素記号 H の元素である。非金属元素のひとつ。元素およびガス状分子の中で最も軽い。

宇宙で最も豊富にある元素であり、宇宙の質量の3/4を占め、総量数比では全原子の90%以上となる。これらのほとんどは星間ガスや銀河間ガス、恒星あるいは木星型惑星の構成物として存在している。地球表面の元素数では酸素・ケイ素に次いで3番目に多いが、質量百分率で表すクラーク数では9番目となる。ほとんどは海水の状態で存在し、単体の水素分子状態では天然ガスの中にわずかに含まれる程度である。地球の大気中には 1 ppm 以下とほとんど存在していない。

水素の単体である水素分子(水素ガス)H2 は常温で無色無臭の気体で、軽く、燃えやすいといった特徴を持つ。 


/12 水素吸蔵合金は、水素を取り込む性質のある金属を合金化によって最適化し、水素を吸わせることを目的として開発された合金である。金属が水素を取り込む現象は古くから知られており、例えば酸性の溶液内の鋼が急激に割れることがあるが、これは溶液中の水素イオンが鋼中に侵入し、鋼を脆化させることに起因する。

このような現象を積極的に水素貯蔵に用いる研究は、1960年代のアメリカ・オークリッジ国立研究所のレイリーらによって始められた。彼は現在の水素吸蔵合金の基礎となるマグネシウム基合金やバナジウム基合金が水素の吸蔵・放出を行うこと、さらに合金組成を制御することでその特性が変わることを実験により証明した。

水素吸蔵合金はニッケル・水素蓄電池や水素自動車、燃料電池自動車の燃料タンクに利用される。  


/13

セシウムは原子番号55の元素で、元素記号は Cs である。軟らかく、黄色がかった銀色をしたアルカリ金属である。融点は 28 °C で、常温付近で液体状態をとる5つの金属元素のうちの1つである。化学的・物理的性質は同じくアルカリ金属のルビジウムやカリウムと似ていて、水と−116 °C で反応するほど反応性に富み、自然発火する。セシウムの安定同位体はセシウム133のみである。セシウムのほとんどはポルックス石から得られるが、セシウム137などの放射性同位体は原子炉の廃棄物から抽出される。

ドイツ人化学者ブンゼンとキルヒホフは、1860年に当時の新技術である炎光分光分析を用いて鉱泉からセシウムを発見した。初めての応用先は真空管や光電素子のゲッターであった。1967年、セシウム133の発光スペクトルの比振動数が国際単位系の秒の定義に選ばれた。それ以来、セシウムは原子時計として広く使われている。 


/14

発泡プラスチックは、合成樹脂中にガスを細かく分散させ、発泡状(フォーム)または多孔質形状に成形されたものを指し、固体である合成樹脂と気体の不均一分散系とも定義できる。基本的にどの合成樹脂も発泡成形させることは可能だが、実際には成形性や性能および価格が影響し、実用化されている種類はある程度限られている。

基本的には原料である合成樹脂の特性を引き継いでいるが、泡を含まない合成樹脂成形品と比較すると柔らかくなり、緩衝性や可撓性に優れる。その反面硬さがもたらす強度など機械的性質や耐久性・耐候性には劣る。空隙を含むことから高い浮力を示すほどに軽量であり、また断熱効果を持つが、一方で可燃性はソリッドよりも高まり耐熱性も下がる。 


/15

フロギストン説とは、「燃焼はフロギストンという物質の放出の過程である」という科学史上のひとつの考え方。この説そのものは決して非科学的ではないが、後に、より現象を有効に説明する酸素説が提唱されたことで、忘れ去られていった。

フロギストン説によれば、物質はフロギストンと灰が結合したものである。そして、物を燃焼させると、物質からフロギストンが放出され、灰が残る。たとえば金属の場合、「金属 → 金属灰 + フロギストン」である。 この反応で生成された金属灰にはフロギストンはもはや含まれていないので、これを燃焼されることはできない。

金属の代わりに木炭を燃焼させた場合も同様に「木炭 → 灰 + フロギストン」となるが、実際に木炭を燃焼させるとほとんど灰が残らない。すなわち木炭にはその分フロギストンが大量に含まれているといえる。逆に金は熱を加えても燃焼せず、金属灰とはならないので、金にはフロギストンはほとんど含まれていないといえる。 


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石炭とは、古代の植物が完全に腐敗分解する前に地中に埋もれ、そこで長い期間地熱や地圧を受けて変質したことにより生成した物質の総称。

古くから燃料として使われてきており、特に産業革命以後20世紀初頭まで最重要の燃料として、また化学工業や都市ガスの原料として「黒ダイヤ」・「黒いダイヤ」・「黒の宝石」等と呼ばれていたが、第一次世界大戦前後からカロリーが石炭の2倍ある液体燃料の石油に艦船燃料が切り替わり、戦後中東で大量の石油が採掘され1バレル1ドルの時代を迎えると、産業分野でも石油の導入が進み、西側先進国で採掘条件の悪い坑内掘り炭鉱は廃れた。しかし1970年代に二度の石油危機で石油がバレル12ドルになると、産業燃料や発電燃料は再び石炭に戻り、米国やドイツや中国などでは、石炭は現在も最も重要なエネルギー源である。 


/17

ガリウムは原子番号31の元素で、元素記号は Ga である。ホウ素、アルミニウムなどと同じ第13族元素に属する。圧力、温度によっていくつかの安定な結晶構造がある。常温、常圧では斜方晶系が安定(比重 5.9)で、青みがかった金属光沢がある金属結晶である。融点は 29.8 °C と低いが、一方、沸点は 2403 °C と非常に高い。酸やアルカリに溶ける両性である。価電子は3個 (4s, 4p) だが、3d 軌道も比較的浅いところにある。

水と同じように、液体の方が固体よりも体積が小さい異常液体である。ガリウムは固体から液体になると、その体積が約3.4%減少する。そのため金属のガリウムをガラス容器に保管すると相転移に伴う体積変化によって容器が破損するため、通常はポリ容器に保管される。

メンデレーエフが1870年に周期表を発表した際、「エカ=アルミニウム」として予言した元素であり、彼はこの元素の原子量や比重などを予測した。 


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プロトン化水素分子、H3+ は水素原子核3個と電子2個からなる+1の電荷を持ったカチオンである。星間空間や水素ガスの放電中に、多量に存在する。星間空間は密度の比較的大きなところでも、地球上に比べて低圧(およそ10–15気圧以下)であり、他の分子との衝突頻度が少ないことからこのような反応性の高いイオンでもある程度の量が存在することができる。星間空間ではこの分子が他の多くの分子生成にとって出発分子であり、星間空間の化学において最も重要な役割を担っているといえる。また、H3+ は分子中にある2つの電子が共に価電子であり、最も単純な三原子カチオンでもある。 


/19

カリウムは原子番号19の元素で、元素記号は K である。アルカリ金属類に属す典型元素である。単体金属は激しい反応性を持つ。電子を1個失って陽イオン K+ になりやすく、自然界ではその形でのみ存在する。

地殻中では2.6%を占める7番目に存在量の多い元素であり、花崗岩やカーナライトなどの鉱石に含まれる。塩化カリウムの形で採取され、そのままあるいは各種の加工を経て別の化合物として、肥料、食品添加物、火薬などさまざまな用途に使われる。

生物にとっての必須元素であり、神経伝達で重要な役割を果たす。人体では8番目もしくは9番目に多く含まれる。植物の生育にも欠かせないため、肥料3要素の一つに数えられる。 


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ベリリウムは原子番号4の元素で、元素記号は Be である。第2族元素に属す。緑柱石(ベリル)などの鉱物に含まれ、それらはアクアマリンやエメラルドなどの宝石となる。単体は銀白色の金属で、硬く、常温では脆いが、高温になると展延性が増す。酸にもアルカリにも溶ける。

主に合金の硬化剤として利用され、その代表的なものにベリリウム銅合金がある。また、曲げ強さ、熱的安定性および熱伝導率の高さ、比較的低い密度などの物性を利用して、軍事産業や航空宇宙産業において構造部材として用いられる。X線やその他電離放射線に対して透過性を示す特性を利用して、X線透過窓として用いられる。

ベリリウム金属は、特にベリリウムを含有するチリなどの吸入によって毒性を示すため、その商業利用には技術的な難点がある。細胞組織に対して腐食性であり、ベリリウム中毒と呼ばれる致死性の慢性疾患を引き起こす。 

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