TUTU

マイルス・デイヴィスのアルバム

TUTU』は、アメリカ合衆国のトランペット奏者マイルス・デイヴィス1986年に発表したスタジオ・アルバム。大部分の楽曲はロサンゼルスキャピトル・スタジオニューヨークのクリントン・レコーディングスタジオで録音され、「Backyard Ritual」はウェスト・ハリウッドのLe Gonksで録音された[2]。デイヴィスはこの作品で1987年のグラミー賞・最優秀ジャズ・インストゥメンタル・パフォーマンス・ソロ部門を受賞した[3]

『TUTU』
マイルス・デイヴィススタジオ・アルバム
リリース
ジャンル ポップ・ジャズ[1]
時間
レーベル ワーナー・ブラザース・レコード
プロデュース マーカス・ミラートミー・リピューマ
マイルス・デイヴィス アルバム 年表
ユア・アンダー・アレスト
(1985年)
TUTU
(1986年)
シエスタ
(1987年)
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背景

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元々の計画ではシンガーソングライターのプリンスが共同プロデュースを行う予定だったが、最終的にはベーシストのマーカス・ミラーがプロデュースを務めた。ミラーは「トーマス」(デイヴィスとの共作)、「バックヤード・リチュアル」(キーボード奏者のジョージ・デューク作)、「パーフェクト・ウェイ」(ポップグループのスクリッティ・ポリッティ作)を除くすべての曲の作曲・編曲を行った。音楽はシンセサイザーシーケンサードラムマシンを重用する1980年代中頃のR&Bファンクの影響をかなり受けている。

アルバムのタイトルは、南部アフリカ聖公会黒人初のケープタウン大主教となったデズモンド・ムピロ・ツツを称えてのものである。楽曲「フル・ネルソン」は、南アフリカの活動家ネルソン・マンデラについてのものである。

アルバム・ジャケットは、石岡瑛子がデザインし、アーヴィング・ペンが撮った。石岡は、この作品で1987年のグラミー賞において最優秀アルバム・パッケージを受賞した[3]

評価

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専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
Allmusic     [4]
The Guardian     [5]
The New Zealand Herald4/5[6]
The Penguin Guide to Jazz    [7]
Record Collector     [8]
The Rolling Stone Album Guide     [9]

『TUTU』は、当時のジャズ評論家たちからは酷評された[8]。音楽評論家ロバート・クリストガウVillage Voice誌で発表した評論では、アルバムには「B+」を採点し「マイナー」だと述べたがデイヴィスのここ10年間の中では最高であるとした。クリストガウはアルバムを少しキャッチーな楽曲群だと書き、デイヴィス初期のジャズ・ロックと融合された純粋なフュージョンであるためとし、『TUTU』はスターが吹くトランペットと最新の機器で演奏されるキャッチーなメロディー、ビートとエフェクトによって『スケッチ・オブ・スペイン』よりさらにポップ・ファンクであるとした[10]。1990年にクリストガウは「『TUTU』や『アマンドラ』のようなガラクタでさえも見事な演奏だった[11]」とデイヴィスを中心としたフュージョン・ムーブメントを回顧して記述している。

収録曲

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特記しているもの以外はマーカス・ミラー作曲。

  1. TUTU - "Tutu" – 5:15
  2. トーマス - "Tomaas" – 5:38 (Davis, Marcus Miller)
  3. ポーシア - "Portia" – 6:18
  4. スプラッチ - "Splatch" – 4:46
  5. バックヤード・リチュアル - "Backyard Ritual" – 4:49 (George Duke)
  6. パーフェクト・ウェイ - "Perfect Way" – 4:35 (David Gamson, Green Gartside)
  7. ドント・ルーズ・ユア・マインド - "Don't Lose Your Mind" – 5:49
  8. フル・ネルソン - "Full Nelson" – 5:06

デラックス版

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Disc 2 (Live from Nice Festival, France, July 1986)
  1. "Opening Medley": 'Theme From Jack Johnson', 'Speak', 'That's What Happened' - 15:14
  2. "New Blues" -5:20
  3. "The Maze" - 10:15
  4. "Human Nature" - 9:04
  5. "Portia" - 7:54
  6. "Splatch" - 17:10
  7. "Time After Time" - 7:22
  8. "Carnival Time" - 4:20

参加ミュージシャン

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出典

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  1. ^ Hoffman, Frank, ed (2004). Encyclopedia of Recorded Sound, Volume 1 (2nd ed.). CRC Press. p. 616. ISBN 0203484274. https://books.google.co.jp/books?id=xV6tghvO0oMC&pg=PA616&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q&f=false 2013年6月26日閲覧. "...Miles Davis's last pop-jazz albums for Warners Bros. (Tutu [1986], and Amandla [1987])." 
  2. ^ Tutu (deluxe edition reissue booklet). Miles Davis. Warner Jazz. 8122797687.
  3. ^ a b Past Winners Search | GRAMMY.com”. grammy.com. 2013年6月2日閲覧。
  4. ^ Yanow, Scott (2011 [last update]). “Tutu - Miles Davis | AllMusic”. allmusic.com. 2013年7月21日閲覧。
  5. ^ Fordham, John (May 19, 2011). “Miles Davis – Tutu: Deluxe Edition – review”. The Guardian. http://www.guardian.co.uk/music/2011/may/19/miles-davis-tutu-review 2013年7月26日閲覧。 
  6. ^ Reid, Graham (June 4, 2011). “Album review: Miles Davis, Tutu: Special Edition”. The New Zealand Herald. http://www.nzherald.co.nz/entertainment/news/article.cfm?c_id=1501119&objectid=10730045 2013年6月26日閲覧。 
  7. ^ Cook & Morton 1992, p. 273.
  8. ^ a b Waring, Charles (2011-06). “Tutu Revisited”. Record Collector (389): 97. http://recordcollectormag.com/reviews/tutu-revisited 2013年6月26日閲覧。. 
  9. ^ Considine et al. 2004, p. 215.
  10. ^ Christgau, Robert (1986年10月28日). “Consumer Guide”. The Village Voice. http://www.robertchristgau.com/xg/cg/cgv10-86.php 2013年6月26日閲覧。 
  11. ^ Christgau 1990, p. 463.

参考文献

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外部リンク

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