Well-defined
定義によって一意の解釈または値が割り当てられること
数学におけるwell-defined[注釈 1](ウェル・ディファインド)は、「定義によって一意の解釈または値が割り当てられる」ことを言う[2]。
定義 編集
ある定義がwell-definedであるのは次の二命題が示されたときである[3]。
- 実際に成立する
- (定義で)示された表式が成立しない場合[注釈 2]、well-definedであるとは言えない。
- 経由する中途の表式に依存しない
- 往々にして、(数学上の)定義はいくつもの表式を経由する[注釈 3]。このとき、最終的な結論が中途の表式に依存している場合[注釈 4]、well-definedであるとは言えない。
つまり定めた対象が一意に存在しているとき、well-definedであるという。
代数学的定義 編集
写像と定義域上の同値関係に対して、次のように数式を用いて記述することもできる。 集合X上の同値関係≡と写像f: X → Yに対して
- x ≡ x′ ならば f(x) = f(x′)
が任意のx, x′ ∈ Xに対して成立するとき、写像fは関係≡に関してwell-definedであると言う[5]。
「同値関係のもとでのwell-defined性」および「準同型定理」を参照
例 編集
実数a > 0のx乗の定義を考える。
xが有理数の場合に良く定義されているとして、xが実数の場合に定義を拡張したいとする。
このときxに収束する有理数列{xn} ∞
n = 1 を用いて
- ax ≔ axn
と定義する場合、well-defined性が問題になる[3]。 実際は、そのような{xn}を取ることができるし、右辺の極限は収束して極限値は{xn}の取り方によらずに一意に定まる (特にxが有理数のとき、もともとの定義と一致する)[6]。 したがってこの定義はwell-definedである。
脚注 編集
注釈 編集
出典 編集
参考文献 編集
- Denlinger, Charles G. (2011). Elements of Real Analysis. Jones and Bartlett. ISBN 978-0-7637-7947-4
- (英語) オックスフォード現代英英辞典 (9 ed.). オックスフォード大学出版局. (2015)
- Weisstein, Eric W. (2008年6月1日). “Well-Defined -- from Wolfram MathWorld”. 2021年3月27日閲覧。
- 雪江 明彦『代数学1 群論入門』(初版)日本評論社、2010年11月25日。ISBN 978-4-535-78659-2。
- 横田 一郎『例題が教える群論入門』(初版)現代数学社、1976年11月20日。 NCID BN03365362。
- 数学セミナー編集部 編『数学の言葉づかい100』(初版)日本評論社、1999年4月25日。 NCID BA41426277。