Wikipedia:ガイドブック 運営

ウィキペディアの運営者・運営の仕方 編集

この章では、ウィキペディアの運営者どのように運営しているかを解説します。

運営者 編集

発足当初、ウィキペディアの使用するサーバを所有していたのは、ジミー・ウェールズが当時経営していた Bomis 社で、ウェールズと、後には Bomis 社の資金提供によってウィキペディアの運営は維持されてきました。2003年6月20日非営利団体である「ウィキメディア財団」が設立され、ドメイン名と機器の所有権は財団に移管されました。現在、「ウィキメディア財団」はウィクショナリー、ウィキブックス、ウィキクォート、ウィキニュースなど多様なウィキメディア・プロジェクトを運営し、全てのドメイン名を保有しています。

現在このウィキペディアはウェールズが明言している運営方針(たとえば中立的な観点など)を土台として、ウィキペディアンのコミュニティの合意によって定められたガイドラインに則って運営・管理されています。

詳しくはこちらの文書

方針の決定は合意が基本 編集

ウィキペディアの最大の目的は「信頼されるフリーな百科事典を創り上げること」です。しかし、それを実現するためにはきちんとした管理が必要であり、随所で何かしらの決定が必要になります。それらのさまざまな決定はどのように行うのでしょうか。

ウィキペディアで重視されているのは、合意です。基本的には、多数決を求めるより、それぞれの意見を充分に交し合って、納得が得られた事項を方針としていきます。慣例的に、1週間の間反対意見が出なかった議論について合意が得られたとしていくことが多いようです。議論の場は、次の章で解説しますが、ノートページ井戸端メーリングリストなどオープンな場で行われます。

ただし、ウィキペディアに関わる人が増えるにつれ、またルールの細かい部分が問題になるにつれ、簡単には合意の得られない事項も増えてきました。そのような場合のため、「投票の指針」が定められています。これはアカウントを持ち、ある程度の投稿実績もある人に限って多数決を行うというものです。

詳しくはこちらの文書

管理者とは 編集

管理者はウィキペディアの機能のうち、一般の利用者には制限されている権限を持つウィキペディアンです。

  1. ページやアップロードされた画像を削除できる
  2. 削除されたページを再び復帰できる(画像の復帰はできません)
  3. ページを編集制限したり、それを解除したりできる
  4. 利用者に対し投稿ブロック(編集の禁止)をすることができる

といったものが挙げられます。

ウィキペディアの管理者はサイトの所有者ではなく、単なる「信任された実行者」です。プロジェクトの運営方針や記事の編集方針などをめぐる議論の際などにも、管理者が発言したから重要な意見だとか、拘束力があるということはなく、一般の利用者と対等な立場です。ただし、場合によっては合意を得ようと議論などしている時間もなく対処を求められる場合や、一部の利用者に不利益をかけてでも解決すべき問題もあります。そうした場合には、他の利用者の信任を受けたものとして、管理者の裁量で管理者権限を行使することができます。

詳しくはこちらの文書

こんなときはどうする 編集

編集合戦
時折、中立的な観点に反する自分の主張を載せては他の人に消され、また載せては消されるということが起きます。また逆に他人のまともな投稿を消しては差し戻(リバート)され、また消すという場合もあります。このような状態を、編集合戦と呼んでいます。編集合戦になった場合にはどうしたら良いのでしょうか。
まず編集合戦の現場に遭遇した人は、お互いが納得して沈静化するにはどうしたらいいか考えます。そのためには、ノートページ(後述)を使って当事者達に対話を促すことになります。お互いが妥協できそうな文例を示すのもいいですし、単に「落ち着きましょう」でもいいでしょう。もちろん、自分も落ち着いて記事の編集を中断して、ノートページでの話し合いに参加してみてください。
それでも沈静化しない場合、管理者が編集合戦になっているページを保護して、編集できないようにしてしまうこともあります。その後、騒ぎが静まるまで議論はノートページで行うように誘導されます。
著作権侵害
著作権侵害が疑われた場合の対応については前の章で説明しました。
実際に同一の文章が外部で見つかった場合は、管理者権限の出番と言うことになります。ただ、その場で削除されるわけではありません。まず削除依頼ページに削除が提案され、一定の合意が得られることが必要です。
場合によっては外部サイトと同一の文章だったとしても「あれは許諾を得ていたんです」「書いたのは外部サイトの作者自身でした」などというセーフの例もあります。また、記事削除ではそれまでの履歴もまとめて消滅してしまうので、軽々しく消してしまうわけにはいかないという面もあります(事情によっては管理者による復帰も可能ではあります)。
即時削除
記事の削除も、合意の結果として実行されるべきものです。ただし、だれが見ても悪戯としか思えない投稿というのも数多くあり、それらにいちいち議論に時間を割いている余裕はなくなってきました。そこで、「何の定義もしておらず記事と呼べない投稿」については見つけ次第管理者が削除するという「削除の方針」が定められています。管理者でない一般利用者がそんな投稿を見つけたときには、{{即時削除}}のテンプレートを貼ることで管理者の目につきやすくすることもできます。
利用者の投稿ブロック
問題のある投稿を続ける、既存の記事を壊していく、ノートで呼びかけてもまともに反応しないなどの困った利用者も、残念ながらときどき見かけることがあります。こういうとき手をこまねいていては、百科事典としての質を落とされたりプロジェクトの雰囲気を悪化させたりしかねません。
そこで、どうしても改善の見られない利用者は「編集禁止」( 投稿ブロック)にしてしまうことがあります。明白な荒らしや、すでに投稿ブロックとなっている人が新しいアカウントでまた編集に参加しようとしている時などは、管理者が自身の裁量でその利用者をブロックすることがあります。それ以外の場合は、基本的に投稿ブロック依頼ページで動議・議論の上、管理者の権限で、その人が投稿できないようにブロックします。
気をつけてもらいたいのは、投稿ブロックは利用者に制裁を加えるためのものではありません。あくまでもウィキペディアを破壊から守るための緊急避難的措置です。まず冷静になって、呼びかけをしてみましょう。投稿ブロックはそれでもだめな時の最後の手段です。
即時ブロック
本来、利用者の投稿ブロックは合意に基づいて行われるものです。ただし、上にも述べたように、集中的に記事を破壊するなど明らかにウィキペディアを破壊することを目的としている利用者が現れた時には、1週間もかけて合意を得ている間にウィキペディアは大損害を受けてしまいます。このような場合、管理者は自らの責任で投稿ブロックを発動します。
未だ公式な方針にはなっていない草案ですが、three revertルールというのがあり、ある利用者が24時間以内に同じ記事を3回、同じ内容に差し戻したときには編集合戦の沈静化目的で即時ブロックの対象となります。
広域ブロック
投稿ブロックはあるアカウント(ID)に対しても、あるIPアドレスに対しても設定可能です。しかし、可変IPアドレスを使用して有害な書き込みを繰り返す人物に対してはどうしても無力な措置です。そして実際、過去に可変IPアドレスを用いて有害投稿を繰り返す人物が出現したことがありました。これに対抗する最終手段が広域ブロックです。IPアドレスを範囲指定でブロック、すなわちあるプロバイダからの投稿を全面的に禁止するという強硬な手段で、当然ながら善意の投稿者も不便を被ります。そのため、広域ブロックは被害拡大がどうしても止められない場合に限って慎重に発動されます。
詳しくはこちらの文書

責任者 編集

ウェブサイトは個人運営のものでも法人運営のものでも、大抵はそれを作成して維持している人(団体)が責任者となって管理しています。サイトの内容などに問題があるときは、その責任者に苦情を訴えることになります。電子掲示板の場合は、ひとつひとつの記事を書いた人は別々でも、サイトの運営者がその削除権を持っているわけですから最終的に責任をとることになります(責任がとれないような書き込みについては、削除してしまえたはずという論理です)。

ウィキペディア日本語版の責任者は誰なのか、というのは実は難しい問題です。管理者は上述の通り利用者の一員に過ぎません。すると、責任者と呼べる運営サイドは米国「ウィキメディア財団」になってしまうのです。しかし、日本語で連絡を取ろうとしても、ウィキメディア財団に日本語のわかる人はいません。日本語を基本言語とし、利用者の多くが日本人なのに、責任者は海外で日本語も通じないというのは、ひとたび問題が起こったときには非常に不条理な構造と言うことになります。

当然、管理者や記事の執筆者が外部から責任を追及されてしまう可能性も十分に考えられます。議論は重ねられていますが結論は定まっておらず、最悪の場合、訴訟などになった場合には「訴えてくる相手次第」だというのが現状なのです。そのための解決策として「日本法人の設立」を提案している利用者もいます。日本語版の運営組織をNPO法人として立ち上げることで利用者個々人が無制限の責任を負わされる心配が減るほか、寄付の受け皿としても機能することが期待されています(国内で公益事業として公認されれば、ウィキペディア日本語版への寄付は控除対象になるのです)。

詳しくはこちらの文書
次へ進む → 交流・議論