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あゝ、荒野』(ああ、こうや)は、1966年に刊行された寺山修司の長編小説。寺山の唯一の長編小説である。

寺山はあとがきで 「この小説をモダン・ジャズの手法によって書いてみようと思っていた。」とし、「大雑把なストーリーをコードネームとしてきめておいて、あとは全くの即興描写で埋めていくというやり方」で書いたと記している。

2011年には戯曲化され、2017年には映画版が公開された。

あらすじ編集

吃音症で対人赤面症に悩む建二。母親の死後、暴力をふるう父親と共に生活していたが耐えられず、家から出るため床屋に住み込みで働いている。一方の新次は幼いころに父親は自殺、母親にも捨てられ野性的な性格に育った。似たところがあるような、ないようなこのふたりがひょんなことから出会い、元ボクサーである堀口にしごかれプロボクサーを目指す。人が心にもっている愛や孤独、自分と向き合う青春物語。

登場人物編集

  • 二木建二:リングネーム “バリカン建二”どもりで赤面対人症の身体の大きな男。暴力をふるう父親と二人暮らしだが、逃れの為技術を磨き宿付き床屋で下宿しながら生活している。ひょんなことから、堀口、新次に出会い、ボクサーを目指すことに。
  • 二木建夫:建二の父親。建二がでていき、一人孤独を感じているが、アメリカの養老院で「誰も私に話しかけてくれない」と自殺した人のニュースを耳にし、養老院に入る気になれないでいる話好きな老人。病気がみつかり自分の運命と向き合う。
  • 新宿新次:野性的な性格の20歳の青年。建二と共にプロボクサーを目指す。
  • 曽根芳子:性にしか興味のない女店員であり新次の彼女。新宿の裏のマンションに好んで住んでいる変わり者。渥美清のファンであり、「丈夫で長生き」することを信念としている。
  • 川崎敬三:大学の「自殺研究会」のメンバー。自殺するための「自殺機」を制作し、秋の文化祭で発表したいが自殺志願者がつのれず、、、、
  • 宮木太一:裏町の実業家〈バックストリートビジネスマン〉と呼ばれている。努力で手に入れた成金タイプ。だが性的不能者でイライラから嫁に暴力をふるう。

書誌編集

現代評論社版(初刊)
1966年11月10日刊行
写真:森山大道
イラスト:山藤章二
付録:「新宿荒野図」
河出書房新社河出文庫》版
1993年4月4日刊行
ISBN 978-4-309-40366-3
パルコ出版
2005年12月刊行
ISBN 978-4891947255
KADOKAWA文庫
2009年2月25日刊行
ISBN 978-4041315330

舞台版編集

2011年に、蜷川幸雄の演出により、埼玉県東京都にて上演された[1]

以下、内容はシアターガイドを出典とする。

公演日編集

埼玉公演
2011年10月29日 - 11月6日
会場:彩の国さいたま芸術劇場
東京公演
2011年11月13日 - 12月2日
会場:青山劇場

キャスト編集

スタッフ編集

  • 演出:蜷川幸雄
  • 脚本:夕暮マリー
  • 音楽:朝比奈尚行

映画版編集

岸善幸の監督により、前後編の2部作として2017年10月(前編が10月7日、後編が10月21日)に公開[2]

舞台を近未来の2021年に設定し、原作を大きく改変してある。新次の詳しい生い立ちはオリジナル要素で母親やライバル裕二らはオリジナルキャラクターであり、健二もヤン・イクチュンに合わせて韓国人とのハーフに変更している。

キャスト(映画)編集

スタッフ(映画)編集

受賞歴編集

カテゴリ 対象 結果
報知映画賞 作品賞 受賞
主演男優賞 菅田将暉 受賞
日刊スポーツ映画大賞 作品賞 受賞
主演男優賞 菅田将暉 受賞
ヨコハマ映画祭 日本映画ベストテン 第4位
キネマ旬報ベスト・テン 日本映画ベスト・テン 第3位
主演男優賞 菅田将暉 受賞
助演男優賞 ヤン・イクチュン 受賞
読者選出日本映画監督賞 岸善幸 受賞
読者選出日本映画ベスト・テン 第1位
第72回日本映画コンクール 日本映画優秀賞 受賞
男優主演賞 菅田将暉 受賞
第60回ブルーリボン賞 作品賞 受賞
助演男優賞 ユースケ・サンタマリア[3] 受賞
日本映画ベストテン ノミネート
おおさかシネマフェスティバル2018 主演男優賞 菅田将暉 受賞
助演男優賞 ユースケ・サンタマリア 受賞
日本映画/作品賞ベストテン 第2位
映画芸術 日本映画ベストテン 第4位
日本映画ワーストテン 第2位
2017年度日本インターネット映画大賞 作品賞 あゝ、荒野 前篇 第1位
あゝ、荒野 後篇 第4位
監督賞 岸善幸 受賞
主演男優賞 菅田将暉 受賞
助演女優賞 木下あかり 受賞
音楽賞 あゝ、荒野 前篇 受賞
思い入れ作品賞 受賞
日本映画作品賞最多投票者数 受賞
第41回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞 菅田将暉[4] 受賞
第68回芸術選奨文部科学大臣新人賞 菅田将暉[5] 受賞
デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'17
第23回AMDアワード
理事長賞[6] 受賞
アジア・フィルム・アワード 助演男優賞 ヤン・イクチュン[7] 受賞
日本映画プロフェッショナル大賞 観客賞 受賞
2017日本映画ペンクラブ賞 日本映画ベスト5 2017 第1位

脚注編集

  1. ^ “松本潤主演&蜷川幸雄演出 寺山修司原作『あゝ、』公演決定”. シアターガイド. (2011年7月21日). http://www.theaterguide.co.jp/theater_news/2011/07/21_02.php 2017年8月22日閲覧。 
  2. ^ “寺山修司の小説「あゝ、荒野」菅田将暉×ヤン・イクチュン主演で映画化”. 映画ナタリー. (2017年4月26日). http://natalie.mu/stage/news/230335 2017年8月22日閲覧。 
  3. ^ “ブルーリボン賞「あゝ、荒野」が作品賞に、阿部サダヲ&新垣結衣も受賞”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2018年1月24日). https://natalie.mu/eiga/news/266417 2018年1月24日閲覧。 
  4. ^ 菅田将暉が日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝く「“菅田将暉”としてうれしい」”. 映画ナタリー (2018年3月2日). 2018年3月9日閲覧。
  5. ^ “石川さゆりさんら大臣賞=新人賞は菅田将暉さんら-芸術選奨”. 時事ドットコム (時事通信社). (2018年3月7日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030700951&g=soc 2018年3月9日閲覧。 
  6. ^ “大賞は「Nintendo Switch」に決定! 第23回AMDアワード”. INTERNET Watch (株式会社インプレス). (2018年3月12日). https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1111133.html 2018年3月12日閲覧。 
  7. ^ “石井裕也、第12回アジア・フィルム・アワードで監督賞受賞!”. 映画.com. (2018年3月19日). http://eiga.com/news/20180319/10/ 2018年3月21日閲覧。 

外部リンク編集