エルフELF)は、いすゞ自動車製造販売する小型および中型トラック1959年昭和34年)に発売されて以来、乗用車SUVを製造していた時代も含め、一貫していすゞ自動車の主力販売商品となっている。

6代目エルフ
後期型ワイドキャブ
日本フルハーフ温度管理車

概要編集

1975年に2tクラストラックでシェアトップを奪って以来、日本の小型キャブオーバートラックの代表的存在として位置づけられている。一般的なトラック同様、荷台のバリエーションによりさまざまな車種が存在する。エンジンディーゼルエンジンのみならず、CNGエンジン、ディーゼルエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド車も存在する。かつては3種類以上のディーゼルエンジンのほか、ガソリンエンジンなど多彩なエンジンが用意されていた。しかし自動車排出ガス規制への対応から、6代目へのモデルチェンジでLPG車が廃止され、ディーゼル2機種とCNG車、ベースエンジンを共用するハイブリッド車のみとなった。

日本国内向けは最大でも車両総重量8tクラスの「NPR」シリーズまでの設定であるが、輸出仕様の中には車両総重量8.5t~9.5tクラスの「NQR」シリーズが設定されている海外仕向地もある。

2004年の4代目モデルチェンジの際に、エルフのCMソングとして『いすゞのトラック』が制作された[1]

メキシコ韓国など、日本と同じエルフの名称で販売している輸出先・現地生産先もあるものの、日本国外のほとんどの地域ではNシリーズとして発売される。2008年の6代目からの輸出車両は車名が「REWARD」となった[2]

歴史編集

初代(1959年-1968年)編集

 
初代エルフ前期型
(1959 - 1965年)
  • 1959年8月26日、初代モデル登場。当時の川崎工場にてラインオフ。初登場時はガソリンエンジンのみの設定で、GL150型と呼ばれる1500ccのエンジンを搭載。ラジオや車内ヒーターなどの快適装備やアクセサリーはオプション装備であった。
  • 1960年3月、クラス初採用となる2000ccディーゼルエンジン搭載車を追加。初採用時のエンジンはDL200型。馬力があり経済的なディーゼルエルフは一躍人気車種となり、販売台数はトヨタ・ダイナを抜いてクラストップを獲得する。これ以降、各社ともディーゼルエンジン車をラインナップに追加する。
  • 1963年6月、生産ラインを藤沢工場へ移設。
  • 1965年1月、ヘッドライトを丸形2灯から丸形4灯(横2灯)に変更し、グリルデザインも変更された。キャブドアは最後まで前開きであった。

2代目(1968年-1978年)編集

 
2代目エルフ
タイソンテウ乗合バス
 
エルフハイルーフ
 
エルフマイパック

150/250シリーズは1968年-1975年、350シリーズは1970年-1978年にかけて展開。

  • 1967年8月、開発中だった2代目モデルをベースとして、丸形2灯ヘッドライト・車体色グリルを採用した1.25t積モデル「ライトエルフ」(G150型ガソリンエンジン搭載)を先行発売。
  • 1968年4月、フルモデルチェンジで2代目登場。ウォークスルーバンの「ハイルーフ」もラインアップされる。トラック・バン共通の2連テールランプを装備。
  • 1969年8月、ライトエルフにダブルキャブを追加。
  • 1970年10月、3.5t積モデルのエルフ350(中・長距離輸送向け)登場。
  • 1971年4月、ライトエルフの後継として1.5t積のエルフ150(市内配送向け)を追加。既存モデルはエルフ250(近・中距離輸送向け)に改称し、ディーゼルエンジンは2.4Lに排気量アップ。これによりエルフシリーズのグレード構成を確立。トラックのみテールランプのデザインが3連に変更される。
  • 1972年4月、前輪駆動の「エルフマイパック」登場。荷台スペースの自由度などが注目されたが、ボンネットが突き出たスタイルゆえ通常のエルフより荷台長が短くなること、受注生産で車両価格が通常エルフの1.5倍に跳ね上がったのが災いし成功には至らなかった。なお、マイパックは350シリーズとともに、3代目にフルモデルチェンジした後も1978年まで並行生産を行っていた。
  • 1973年1月、エルフ350にロングボディを追加。
  • 1974年4月、エルフ150に小径ダブルタイヤ採用の低床フラットローを追加。
  • 1975年6月、3代目にフルモデルチェンジし、2代目150/250(ルートバンを除く)生産終了。350/ルートバン/マイパックは継続生産となる。
  • 1976年、2代目ルートバン生産終了。
  • 1978年12月、2代目350シリーズおよびマイパック生産終了。なお、350シリーズは1980年に3代目ワイドキャブとしてフルモデルチェンジを受ける。

3代目(1975年-1991年)編集

 
3代目エルフ中期型
 
3代目エルフ後期型ダンプ
 
3代目エルフワイドキャブ

150/250シリーズは1975年-1984年、ルートバンは1976年-1991年、350シリーズは1980年-1984年にかけて展開。

  • 1975年6月、フルモデルチェンジで3代目登場(エルフ150及び250)。テレビCMに渥美清を起用したことから、3代目前期型は通称「寅さんエルフ」とも呼ばれる。
  • 1976年、1年遅れてルートバンもフルモデルチェンジ。
  • 1977年1月、エルフ250に前後異径タイヤのフラットローを追加。
  • 1977年2月、エルフ250にいすゞ独自のデザインを施した荷台を搭載した「ダンディダンプ」を追加。
  • 1977年9月、ロングボディ車やルートバンにもフラットローを設定し、バリエーションを拡充。
  • 1978年12月、マイナーチェンジ。フロントグリルの形状が変更。2t車は「エルフ250スーパー」として発売。 生産累計100万台達成。
  • 1980年1月、マイナーチェンジ、昭和54年排出ガス規制適合。この時のCMに『ドカベン』が起用されたことから、3代目後期型は「ドカベンエルフ」とも呼ばれる。フロントグリルがシルバーに変更。ワイドキャブ車の「エルフ250ワイド」「エルフ350ワイド」が登場、1978年に2代目350シリーズ生産終了後、約2年半ぶりの復活としてのフルモデルチェンジとなった。チルトキャブが採用される。
  • 1981年7月、マイナーチェンジ。フロントグリルがシルバー一色からシルバーとブラックに変更され、インパネのデザインが大幅に変更される。透過照明式メーターとエアコン対応のフルエアミックスタイプのヒーターの採用。ワイパーとドアハンドルがブラック塗装になる。
  • 1983年3月、ディーゼルエンジン昭和58年排出ガス規制適合。
  • 1984年7月、4代目にフルモデルチェンジ。3代目150/250/350シリーズ(ルートバンを除く)生産終了。ルートバンは継続生産。
  • 1985年3月、ルートバンをマイナーチェンジ。フロントグリルをホワイト塗装化し、アッパーグリルがブラック塗装に変更され、4代目に似たイメージとなる。
  • 1991年1月、3代目ルートバン生産終了。7年遅れて4代目にフルモデルチェンジしたが、3代目のバンボディを流用している。

4代目(1984年-1993年)編集

 
4代目エルフ前期型
 
4代目エルフ中期型
 
4代目エルフ後期型
  • 1984年7月、4代目が登場。ただしルートバンは先代型を継続生産した。フォワードジャストンはこの代から設定。また、ディーゼルエンジンは全車直噴化された。キャブ色に白を設定したことから、いすゞでは「白いエルフ」と呼んでいる。シフトレバーがコラムシフトからフロアシフトに変更された。
  • 1986年12月、NAVI-5搭載車の販売開始。
  • 1987年2月、マイナーチェンジ。フロントグリルの形状が変更され、キャブ色の白はカラードバンパーとなった。
  • 1987年9月、4WD車を追加。
  • 1988年6月、生産累計200万台を達成。
  • 1988年7月、ワイドキャブに助手席セーフティウインドウ「OKウインドー」を装備。
  • 1989年6月、OKウインドーを全車に標準装備。平成元年排出ガス規制適合。
  • 1990年6月、マイナーチェンジ。ISUZUロゴのデザインが変更されたほか、ヘッドライトが角形4灯から異形タイプに変更された。このヘッドライトはこの年以降のフォワード810EXスーパークルーザーにも使われた。西工ネオロイヤルC型・92MCと富士重17型・後期型(日産ディーゼル製シャーシ以外)もこのヘッドライトを装着している。
  • 1991年1月、4速AT車が登場。3代目が継続生産されていたルートバンをフルモデルチェンジ。
  • 1993年7月、5代目にフルモデルチェンジ。ルートバンは4代目を生産継続した。
  • 1995年5月、ルートバンが平成6年排出ガス規制適合のディーゼルエンジンを搭載。
  • 1999年8月、ルートバンが平成10年排出ガス規制に適合。
  • 2002年6月、4代目ルートバン生産終了。

5代目(1993年-2006年)編集

 
5代目エルフ初期型
 
5代目エルフ最終型
NPRワイドキャブ天然ガス車
クール便パネルバン・佐川急便新塗装車

6代目(2006年-)編集

 
6代目エルフ
前期型ワイドキャブ
ローソン配送車
 
6代目エルフハイブリッド
前期型ハイキャブ
OKウインドウ装着車
 
6代目エルフ
(前期型標準ダブルキャブ)
多機能型消防車REDSEAGULL
 
6代目エルフ
後期型標準キャブ
 
6代目エルフ
後期型ハイキャブCNG-MPI
佐川急便配送車
OKウインドウ装着車
  • 2006年12月13日にワイドキャブ車とハイキャブ車(フルモデルチェンジ)が、2007年2月5日に標準キャブ車(5代目のキャブ本体を流用)がそれぞれ発売された。標準キャブ車のみ5代目のキャブ本体を流用したが、他の部分についてはエンジン、フレーム等キャブ以外はハイキャブ車と同様の変更を受けている。
    • 平成17年新長期排出ガス規制に適合。さらに国産2 - 3tクラスキャブオーバー型トラックとしては初となる平成27年度重量車燃費基準を達成した。
    • グレード名は、従来のリミテッド仕様・標準仕様・カスタムから、ST・SG・SEカスタムと名称変更された。
    • 道路交通法改正による新免許制度に対応した車両総重量 (GVW) 5t未満タイプも設定している。
    • エンジン自動停止機能及び自動再始動機能付アイドリングストップ&スタートシステムを標準装備。また国産トラックでは初めてイモビライザーを全車標準装備とした。
    • 機械式オートマチックトランスミッションスムーサーExが設定された(3t積車以下のSG・SEカスタムの全車種に標準設定、3t以下のSTと3.5トン積車以上の全車種にオプション設定。従来のクラッチペダル付のマニュアルシフト車も設定されている(平ボディのSTを除く全車種に標準設定、平ボディのSTにオプション設定)。
    • 2005年モデルは4.8リットルエンジン車が主力だったが、当代では、1.5t~3.5tクラスに3LDOHC16バルブ・コモンレール式燃料噴射DPFインタークーラーVGSターボ(ターボチャージャーはIHI製)エンジン(1.5tクラスは4JJ1-TCN・81kW(110PS)、2tクラス以上は4JJ1-TCS・110kW(150PS))をメインとし、4tクラス以上に5.2LSOHC16バルブ・コモンレール式燃料噴射・DPD・インタークーラー付VGSターボエンジン(4HK1-TCN・114kW(155PS))を設定している。
    • ハイキャブ・ワイドキャブには、OKウインドウ(セーフティウインドウ)をオプション設定した。
    • 輸出仕様Nシリーズについては、当面の間は2005年モデルを継続販売するとした。
    • 北米では、1986年以来連続してトップシェアのキャブオーバートラック[2]であり、GMといすゞの資本提携時に開発されたGM製6リッターV8ガソリンエンジン (Vortec V8) 搭載車の設定もあった。このガソリン車はGMのJanesville工場で生産されていたが、同工場の閉鎖に伴い、2009年で生産を一旦中止した。2011年第二四半期より再びGMからのエンジン供給及び新型6速ATの供給を受け、ミシガン州CHARLOTTE市のSPARTAN社を委託先として生産再開される。
    • 2007年1月にはマツダ、日産ディーゼル(現:UDトラックス)、日産自動車へのOEM供給(標準キャブ車については同年3月上旬から)も開始され、新型タイタン、新型コンドル(小型シリーズ)、新型アトラス20として発売された。
    • フルモデルチェンジされたハイキャブ車とワイドキャブ車は、2006年度グッドデザイン賞を受賞した。
  • 2007年8月1日、ハイブリッド車がフルモデルチェンジして登場。
  • 2007年12月、「第26回 日経優秀製品・サービス賞」(優秀賞 日経産業新聞賞・環境)を受賞[3]
  • 2009年4月9日、平成27年度重量車燃費基準達成車型を、従来の1.5t系、2t系、4t系、4.5t系に加えて、標準キャブ・ハイキャブの3t系にも拡大。また、ドアサイドターンランプの全車標準装備、SGでのフォグランプ標準設定化、DPD&スムーサーの音声警報採用を実施。
  • 2009年9月10日、平成27年度重量車燃費基準達成車型をワイドキャブ3tMT車に拡大。
  • 2010年2月5日、CNG-MPI車を商用トラックで初めて平成22年排出ガス規制(ポスト新長期規制)に適合。平成27年度重量車燃費基準達成車型をワイドキャブ3tスムーサーEx車に拡大。
  • 2011年5月20日、マイナーチェンジ。CNG-MPI車以外の標準車全てを平成22年排出ガス規制(ポスト新長期規制)に適合させ、エンジンを3LDOHCの4JJ1に統一した。
    • 4JJ1のポスト新長期規制への適合については、ターボチャージャーを従来のVGSシングルターボから、直列に接続された低圧段・高圧段2種類のターボを最適に制御して、広い回転域で高効率な高過給運転を可能とする、2ステージターボ(ターボが並列に接続される従来型のツインターボとは異なる)へ変更すると共に、電子制御式コモンレールシステムの超高圧噴射化、コールドEGRの大容量化により、他社の車種の様に尿素SCRシステムを用いらず従来のDPDのみで適合を行った。
  • 2011年、キャンピングカーメーカーAtoZと共同で、JRVA(日本RV協会)加盟ビルダー向けのキャンピングカーベースシャーシとして、NHSとNNRをベースにした派生モデル「Be-Cam」を開発。2012年1月から発売した。
    • 「Be-Cam」はベース車に対しリヤのリーフスプリングを1枚にし、乗り心地と安定性を向上させたほか、キャンピングカー装備を架装することによる重量増を前提としてリヤタイヤもダブルタイヤとなっている。また内装面ではオートエアコンやイモビライザー、助手席側エアバッグなどを装備し、快適性や安全性を向上させているのも特徴である。
  • 2012年4月2日、一部仕様変更。全車が平成21年基準低排出ガス車に認定され、平成24年度税制改正による自動車重量税自動車取得税の特例措置(新エコカー減税)の対象となった。また、平成27年度重量車燃費基準達成車についてはエコカー補助金対象となった。その他、乗用車が後方から追突した際に、車両下へ潜り込むのを抑制しダメージを軽減する「リヤアンダーランプロテクシション」(RUP)を新保安基準対応に変更した。
  • 2012年12月、日産・アトラスのフルモデルチェンジによるベース車種変更(エルフ→三菱ふそう・キャンター)に伴い、日産自動車向けOEM生産を一旦終了。
  • 2013年3月、一部仕様変更。
    • 2WD・スムーサーEx車のセレクトレバー形状が変更され、P(パーキング)レンジが新設されるとともに、ゲートタイプのセレクトレバーに変更。エンジン始動もPレンジ投入時のみ始動可能に変更された(4WD・スムーサーEx車については従来通り)。
    • 4WD・5MT車に、ハイブリッド車に採用されている「エコストップ」を装着した「エコストップ装着車」を設定(平成27年度重量車燃費基準達成車)。「エコストップ」とは車両停止時に、従来のエルフのアイドリングストップ機能で行っていたパーキングブレーキレバーの操作をすることなく、クラッチペダル操作のみでエンジンの自動停止と再始動を行うシステム。エコストップ装着車は坂道発進補助装置 (HSA) は非装着となる。
  • 2014年UDトラックス向けOEM生産を終了。
  • 2014年11月13日、マイナーチェンジ。全車が平成27年度燃費基準達成となる。
    • 4JJ1エンジンを改良し低圧縮化と新インジェクター採用、可変容量パワーステアリングポンプの採用、6速トランスミッションギヤ比の見直し、省燃費タイヤの展開拡大、エコストップをカーゴ系(SGグレード以上)に標準装備としたことにより、燃費を向上させた。これらの改良の結果、全車が平成27年度燃費基準達成となった。
    • これにより、2 - 3トン積エコストップ付車で平成27年度燃費基準+10%を達成し、低排出ガス認定制度と合わせて新車購入時の自動車重量税・自動車取得税が免税に、3トン積超2WDと車両総重量5トン超4WDで平成27年度燃費基準+5%を達成し、低排出ガス認定制度と合わせて新車購入時の自動車重量税が75%減税、自動車取得税が80%減税となった(一部車型を除く)。
    • MT車に積載状態や道路勾配を自動判別し、走行状況に合わせてきめ細かにトルクや加速度を制御する「ECONOモード」機能を追加した。
    • ラジエーターグリル、シート、ステアリングホイールのデザインを変更し、DPDとサイレンサーの一体化およびフロントインテーク化により架装性を向上させた(一部車型を除く)。
  • 2017年9月14日、販売代理店の「キュロモータース」を介し、韓国市場での販売を開始(3tクラスのみ)。
  • 2017年10月25日、「いすゞ自動車創立80周年記念特別仕様車」を発売。Eカーゴと平ボディをベースに、アッシュベージュメタリックの専用キャブカラー、ISUZUロゴが刺繍された本革調シート、赤色のシートベルトなどを装備した特別仕様車をEカーゴと平ボディの合計400台限定で販売。ただしドアハンドルはギガフォワードの「いすゞ自動車創立80周年記念特別仕様車」に採用されたクロム調ではなく通常仕様となる[4]
  • 2018年3月20日、一部仕様変更。車両総重量7.5トンを超える車型に、新型4JZ1型エンジン(4JZ1-TCS・110kW(150PS)/2800rpm、4JZ1-TCH・129kW(175PS)/2860rpm)の搭載し、後処理装置にDPD+尿素SCRを採用したことにより、平成28年排出ガス規制に適合しながら燃費性能を向上させた。また、坂道での発進や積載時の発進時に、駆動力(エンジンアイドル回転数を上昇)を向上させ、トルクフルでスムースな発進を補助するSTART ASSISTを車両総重量7.5トンを超える車型に装備している。
  • 2018年10月29日、マイナーチェンジ。一部車型を除く全車種のフロントダッシュボード中央部に小型トラック初のステレオカメラを搭載し、これを用いたプリクラッシュブレーキ、車間距離警報・車線逸脱警報(LDWS)、先行車発進お知らせ機能、電子式車両姿勢制御システム「IESC」を採用、スムーサーEx車には誤発進抑制機能をそれぞれ採用した。これらを採用した車型は先進安全自動車 (ASV) 減税の対象となった。全車種に最大積載量2 - 3tディーゼルキャブオーバートラック初の通信端末を標準搭載し、様々な情報支援および車両コンディション把握の容易化を実現している。また、通信で得た車両データを高度純正整備システム「PREISM」で活用することにより、車両稼働率の確保をバックアップする体制を整えている。エンジンは一部車型に採用されていた4JZ1型エンジンと後処理装置のDPD尿素SCRシステムを全車種に採用した[5]
  • 2019年3月12日、マイナーチェンジ。シングルキャブの標準キャブ、ハイキャブ・ワイドキャブの4WDを平成28年排出ガス規制に適合させたほか、4JZ1-TCH搭載車にスムーサーExを追加した[6]
  • 2019年6月19日、日産自動車との間で新たなOEM供給契約を締結したことを発表。同年夏より日産自動車への供給が再開されるが、2012年12月までの供給分よりも小型クラスとなる1.5t系が供給される[7]
  • 2019年8月29日、日産自動車向けOEM車「アトラス ディーゼル(現・アトラス 1.5tクラス)」を発売[8]
  • 2021年3月3日、マイナーチェンジ。ハイキャブ・ワイドキャブにLEDフォグランプと小型トラック初となる交差点警報を標準装備した他、プリクラッシュブレーキを全車型に標準装備した。SEカスタム並びにSGグレードのヘッドランプはLED化された他(STグレードは従来通りハロゲンヘッドランプ標準装備、LEDヘッドランプは一部車型を除きメーカーオプション)、SGグレードのフロントグリルもフォワード同様にシルバー基調に変更された(SEカスタムはクロムメッキグリル、STグレードはグレーグリルのまま変更なし)。車載式故障診断装置(On-Board Diagnostics)も搭載された他、ハンズフリー機能付きBluetoothオーディオも新規設定した[9]。尚、エルフ100はこの改良を機に廃止された(後述)ため、1.5トンクラスが最小レンジとなった。
  • 2021年4月19日、日産自動車向けOEM車「アトラス 2tクラス」を発売[10]。約8年5ヶ月ぶりに2t系のOEM供給が再開された。

ラインナップ編集

3代目まで編集

積載トンクラスとエンジン種類による型式+エンジン型式であった(ワイドキャブはディーゼルのみ)。

  • KA(積載1.5t級・ガソリンエンジン)4×2
  • KAD(積載1.5t級・ディーゼルエンジン)4×2
  • KUD(積載1.5~2t級・ディーゼルエンジン・FF駆動のマイパック)4×2
  • TLG(積載2t級・ガソリンエンジン・標準キャブ)4×2
  • TLD(積載2~3.5t級・ディーゼルエンジン・標準キャブ)4×2
  • KT(積載2t級・ワイドキャブ)4×2
  • KS(積載3.5t級・ワイドキャブ)4×2

4–5代目編集

積載トンクラスと駆動懸架方式による型式+エンジン型式になった。

  • NHR(積載1.5t級)4×2
  • NHS(積載1.5t級)4×4
  • NKR(標準キャブ・ハイキャブ)4×2
  • NKS(標準キャブ・ハイキャブ)4×4
  • NPR(ワイドキャブ)4×2
  • NPS(ワイドキャブ)4×4
  • NQR(積載量4t超)日本ではフォワードジャストン2の名で販売。
  • WKR(ルートバン)4×2

6代目以降編集

キャブ形式及び準中型5トン限定免許対応の有無、駆動懸架方式、エンジン型式に変更された。

  • NHR(標準キャブ,積載1.5t級)4×2
  • NJR(標準キャブ,GVW5t)4×2
  • NKR(標準キャブ,GVW5t超)4×2
  • NLR (ハイキャブ,GVW5t)4×2
  • NMR (ハイキャブ,GVW5t超)4×2
  • NNR (ワイドキャブ,GVW5t)4×2
  • NPR (ワイドキャブ,GVW5t超)4×2

それぞれ四輪駆動車も設定されており、その場合は従前車同様、型式記号の3桁目がSになる。

車両総重量5t車は、日本国内の準中型5トン限定免許(2007年6月2日〜2017年3月11日までに取得した旧普通免許)に対応するが、架装により車両総重量が5tを超過した場合は準中型免許ならびに中型8トン限定免許(2007年6月1日までに取得した旧普通免許)以上の免許が必要となる。超ロングボディ車は準中型免許でも運転可能な車種があるが、積載量4t級車は中型8トン限定免許以上の免許が必要となる。

Nシリーズトラックとして販売される海外向け車では、この3文字が"ELF"表記の代わりに書かれている。OEM車は型式記号先頭のNがA(日産自動車向け)、B(日産ディーゼル向け)、L(マツダ向け)となる。

平ボディ、バン、特装車ダンプ消防車等)が設定され、積載量・架装種別・仕向地などによって2000以上の車型が存在し、日本国内向けでも500以上のの車型が存在する。日本国内仕様ではSEカスタム・SGグレード・STグレードの基本3グレードで展開する。CNG、ディーゼルハイブリッドも選択可能。

外板色編集

外板色は一時期まで青が標準であったため、自家用中小企業の車両を中心に青が多かったが、後に白が標準となり、現在の販売台数は白が首位となっている。

6代目では17色もの色が設定されており、アークホワイトが標準塗装となる。アークホワイト以外の色(トランスブルーなど)についてはメーカーオプションや未設定の車型もある。標準キャブ・標準ボディ・積載量2t級平ボディ特別仕様車である「VP」とバン完成車シリーズである「Gカーゴシリーズ」は、アークホワイト以外の外板色を選択することは不可となっている。フリントグレーメタリックとエボニーブラックはSEカスタム専用色となる。

エルフ100編集

1995年8月にエルフ100(ELF 100)が登場。日産・アトラス10系(F23型)のOEM供給車(積載量1t級)。ファーゴトラックの事実上の後継車種となる。当初はガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両方が設定されていた。

2007年7月11日にフルモデルチェンジ。引き続き日産・アトラス10系(F24型)のOEM供給車となるが、アトラスF24型に新たに設定された1.75~2t級は設定されず(自社製のエルフがあるため)、1.15~1.5t級までの供給となる。

2013年1月15日三菱ふそうトラック・バスから発売したキャンターガッツとも姉妹車となる。UD・コンドル CARGO 1.15t~1.5t級まで含めると、同一の商品が直接競合する4社で販売される珍しいケースである。

2019年に日産自動車との間で新たなOEM供給契約を締結したのに伴い、エルフ1.5t級をアトラス ディーゼルとしてOEM供給を開始して以降は、アトラス ガソリン(F24型)のOEM供給車となり、ガソリンエンジンのみの設定となる。

ガソリン車は新普通免許でも運転可能であるが、架装条件などによっては準中型5トン限定免許以上の免許が必要となる。

2021年3月に販売終了となった。(OEM元のアトラス10系(F24型)も生産終了となった。)

日本国外生産・輸出編集

 
シボレー・NPR
 
GMC・Wシリーズ

いすゞ自動車の主力輸出商品でもあり、また中国台湾(2017年からワイドキャブの現地生産が再開)、タイなどの日本国外でも生産が行われている。タイではトラックの他に、4代目と5代目と同じくルートバンベースのバディ(BUDDY)が生産されていた。

南米エジプトなどでは業務提携先のゼネラルモーターズを通じてシボレーブランドで販売されている。かつては 北米でもシボレーおよびGMCで販売されていたが撤退した。しかし、2015年6月15日にいすゞとゼネラルモーターズは米国における商用車に関する協業に合意し、これにより2016年からシボレー向けにNシリーズ(エルフ)のOEM供給が再び行われて、シボレーは米国のローキャブフォワードトラック市場に再参入する予定である[11][12]

北米では、日本仕様にはないガソリンエンジン車とLPGエンジン車も設定されている。

また、かつては韓国セハン自動車(大宇自動車を経て現:韓国GM/タタ大宇/大宇バス)でも生産されていたことがある。また2020年現在はいすゞコリア(CUROモータース)によりいすゞブランドの製品が輸入されている。なお、ハングルにF音がないことからセハン/デーヴ生産分・CURO輸入分ともにハングル表記上は「エルプ (엘프) 」となる。韓国仕様はワイドキャブ・3.5t積のみの設定となる。

ベトナムでは標準キャブを「QKR」シリーズとして、ハイキャブを「フォワードNシリーズ」として販売している。

パキスタンなどでは、ハイキャブを設定せずに標準ボディ・ワイドキャブを販売している地域がある。

バスシャーシとしてのエルフ編集

ウクライナボフダーン社では、エルフのプラットフォームを利用したマイクロバスボフダーン」が開発されており、1999年より販売している。この他にもトルコフィリピン台湾など世界中で、エルフのプラットフォームに独自の車体を架装したマイクロバスが生産されている。

ジャーニーS編集

日本ではエルフ同一キャブのマイクロバスや、コンポーネントを流用したジャーニーなどが初代エルフの時代から存在していた。また、1975年の第21回東京モーターショーではマイパックのコンポーネントを流用したデマンドバス向けコンセプトカー「いすゞ ローデッカー」が参考出品されている[13]

ジャーニーS(KA5*B系)は、1970年エルフマイクロバス(TL-B系)からモデルチェンジした15人乗りのマイクロバス。エルフルートバンと車体が共通化され、エルフと共通の部品を活用していた。エルフルートバンにあるリヤドアはジャーニーSでは塞がれていた。後継車種はファーゴバスである。

ジャーニーE編集

1997年西日本車体工業マツダ・パークウェイ用の車体を、5代目エルフに架装してマイクロバス「プレビス」を開発。翌1998年から2001年まで「ジャーニーE」としていすゞから販売されていた。路線バスとしては岩手県交通などに採用例がある。

車名の由来編集

妖精エルフに由来し、小型であることを意味する。1959年8月のデビュー時の広告では「お仕事繁栄のマスコット」のキャッチコピーとともに、端の方にとんがり帽子をかぶった小人の絵と「エルフ」の意味について解説が掲載されていた。

「エルフとは茶目小僧の意味です ヒルマンミンクスの“おてんば娘”同様に可愛がって下さい」
「“エルフ”とは茶目小僧(小さな妖精)の意味です。いすゞ大型車、ヒルマンミンクス(“おてんば娘”)の弟としてよろしくお願いいたします。」

— 『カタログでたどる 日本の小型商用車―1904-1966』108ページ[14]

脚注編集

  1. ^ 迷走か?英断か?『いすゞのトラック』CMソングに異変”. ORICON NEWS. オリコン (2019年11月29日). 2021年1月11日閲覧。
  2. ^ [1]
  3. ^ 日経イベンツガイドHP 表彰事業 第26回「2007年日経優秀製品・サービス賞」
  4. ^ いすゞ自動車創立80周年記念特別仕様車を発売-大型トラック「ギガ」、中型トラック「フォワード」、小型トラック「エルフ」-いすゞ自動車 2017年10月24日
  5. ^ “いすゞ、小型トラック「エルフ」を改良 -安全装置およびエンジンの刷新とともに、コネクテッドトラックへ” (プレスリリース), いすゞ自動車株式会社, (2018年10月29日), http://www.isuzu.co.jp/press/2018/10_29.html 2018年11月8日閲覧。 
  6. ^ “いすゞ、小型トラック「エルフ」追加車型を発売” (プレスリリース), いすゞ自動車株式会社, (2018年10月29日), https://www.isuzu.co.jp/press/2019/3_12.html 2019年4月17日閲覧。 
  7. ^ “日産といすゞ、新たなOEM供給契約を締結” (プレスリリース), 日産自動車株式会社, (2019年6月19日), https://newsroom.nissan-global.com/releases/190619-01-j?lang=ja-JP 2019年6月20日閲覧。 
  8. ^ “日産自動車、「アトラス ディーゼル(1.55t)」を発表・発売” (プレスリリース), 日産自動車株式会社, (2019年8月29日), https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/release-012e60c65c918c8aad1d656ccb018169-190829-02-j 2019年8月29日閲覧。 
  9. ^ いすゞ、小型トラック「エルフ」を改良し、発売-国内小型トラック初の交差点警報を搭載、先進安全装備を拡充し、安全性能を向上-いすゞ自動車 2021年3月3日
  10. ^ “「アトラス 1.5tクラス」を一部仕様向上 「アトラス 2tクラス」を発売” (プレスリリース), 日産自動車株式会社, (2021年4月19日), https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/release-89551a36db9d9247cffb6f5766658121-210419-02-j 2021年4月19日閲覧。 
  11. ^ いすゞとGM、米国向け商用車に関する協業に合意”. いすゞ自動車 (2015年6月15日). 2015年6月15日閲覧。
  12. ^ Chevrolet Re-enters Low Cab Forward Truck Market”. GM Media Online (2015年6月15日). 2015年6月15日閲覧。
  13. ^ CAR GRAPHIC 1976年1月号 P.36
  14. ^ 小関和夫『カタログでたどる 日本の小型商用車―1904-1966』、三樹書房、2017、ISBN 978-4-89522-668-4、P108。

関連項目編集

派生車種
搭載エンジン
OEM車種
対抗車種

外部リンク編集