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いずも型護衛艦

海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)。全通飛行甲板を備え、平成22・24年度で1隻ずつが建造された。
いずも型護衛艦
DDH-183 いずも (4).jpg
艦級概観
艦種 ヘリコプター搭載護衛艦 (DDH)
命名基準 旧国名
建造期間 2012年 - 2017年
就役期間 2015年 -就役中
前級 ひゅうが型
次級 最新
性能諸元
排水量 基準:19,500トン
満載:26,000トン[1]
全長 248.0m
全幅 38.0m
深さ 23.5m
吃水 7.3m[2]
機関 COGAG方式
LM2500IECガスタービンエンジン (28,000 ps) 4基
スクリュープロペラ 2軸
電源 LM500-G07ガスタービン主発電機 (3,500 kW) 4基
速力 最大30ノット
航続距離
乗員 約470名(乗員のみの数字で、航空要員は含まない)[3]
(約970名:便乗者等含む[4]
兵装 高性能20mm機関砲 (CIWS) 2基
SeaRAM 近SAMシステム 2基
艦載機 SH-60K哨戒ヘリコプター 7機
MCH-101輸送・救難ヘリコプター 2機
最大積載機数 14機
C4I 洋上ターミナル (MTA)
OYQ-12 戦術情報処理装置
レーダー OPS-50 3次元式
(AESAアンテナ×4面)
1基
OPS-28F 対水上捜索用 1基
OPS-20E 航海用 1基
ソナー OQQ-23 艦首装備式 1基
電子戦
対抗手段
NOLQ-3D-1 電波探知妨害装置
Mk.137 6連装デコイ発射機 6基
OLQ-1 魚雷防御装置
(MOD+FAJ)
一式

いずも型護衛艦(いずもがたごえいかん、英語: Izumo-class helicopter destroyer)は、海上自衛隊が運用するヘリコプター搭載護衛艦 (DDH) の艦級である。先行して建造・配備されたひゅうが型 (16DDH) をもとに大型化し、航空運用機能や多用途性を強化したものとなっている。また、兵装はひゅうが型と比べて簡略化された。

1番艦「いずも」が平成22年度予算で、2番艦「かが」が平成24年度予算で建造された護衛艦であるため、ヘリコプター護衛艦を意味する記号の「DDH」を付けて、それぞれ22DDH、24DDHとも呼ばれる。

設計編集

船体編集

艦型は、ひゅうが型と同様、上甲板(第1甲板)を全通甲板とした遮浪甲板型とされているが、同型と比して、基準排水量にして約6,000t、全長にして51m大型化している。現在海上自衛隊が保有している艦船(自衛艦)の中では最大の艦型となる。これは第二次世界大戦当時、旧日本海軍が運用した正規空母飛龍」を基準排水量・全長とも上回り、大戦初中期のアメリカ海軍主力空母であったヨークタウン級航空母艦と同規模となる。現代において同規模の艦にはイタリア海軍軽空母カヴール」、スペイン海軍強襲揚陸艦兼軽空母「フアン・カルロス1世」がある。ジェーン海軍年鑑など日本国外のメディアや、一部の国内メディア・軍事評論家は、「ヘリ空母(helicopter carrier)」や「空母級」あるいは「空母」そのものと分類している[5][6][7]

 
かが」の右舷側面

上部構造物は5層からなっており、右舷側に寄せたアイランド方式を採用している。2本の煙突も上部構造物と一体化され右舷側に寄せて設置してある[8]。2本の煙突の間には洋上での他艦に燃料を移すための、臨時燃料移送装置が備えられている[8]。艦橋後部には、航空管制室が備えられており飛行甲板を一望できる[8]。艦橋前方には操舵室がある。操舵室は護衛艦としては広さが十分ではないために航行関連機器がコンパクトにまとめられて配置されている。

上甲板(第1甲板)は、ほぼ全域にわたってヘリコプター甲板とされている。キャットウォークは、ひゅうが型では左舷側のみに設置されていたのに対し、本型では両舷に設けられた。第2甲板はギャラリデッキとされ、司令部区画や居住区画、医療区画などが設けられている。その下の格納庫は、ひゅうが型より1層多い3層分の高さを確保しており、第5甲板を底面としている。第6甲板が応急甲板とされており、これ以下のレベルに食堂、科員居住区、機械室や発電機室などが設けられている[1]。乗員区画は2段ベッドとなっている[8]。乗員以外にも余分に部屋が用意されており、全てのベッドを使用すると乗員以外に500人が宿泊できる[8]。風呂は他の自衛艦艇同様に海水と淡水を分けて使用しており、出航中の浴槽は海水を使用する[8]。食堂は3つあり、料理場を挟んで3つの区画から構成されている[8]。最も長い通路の距離は直線距離で200mを超える[8]

 
ステルス性を考慮された短艇収納スペース。自衛艦としては初めて扉を備えられた。

主船体内には第8甲板まで設けられており、また船底はダブル・ハルとされている。なおフィンスタビライザーは、ひゅうが型では2組装備されていたのに対し、本型では船体の大型化により安定性が向上したこともあり、1組とされている[9]。2番艦の「かが」(24DDH)は開口部にRCSスクリーン(蓋)がついている。

機関編集

主機関は、基本的にはひゅうが型と同様、ゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジンをCOGAG方式で2基ずつ4基、両舷2軸に配している[1]。ただし本型では、燃料制御方式を機械式から電子式に改めたLM2500IECが採用されたこともあり、単機出力は25,000馬力から28,000馬力に増強されている[10]。機関は艦中央部の操縦室兼応急指揮所で操作される[8]

主発電機は4基搭載されており、第1発電機室に1・2号主発電機を、また第2・3発電機室にそれぞれ3・4号主発電機が設置されている。原動機としてはゼネラル・エレクトリック LM500-G07ガスタービンエンジンを用いており、単機出力3,400キロワットである。非常発電機は備えておらず、主発電機の運転区分により対応する。なお本型では、護衛艦として初めて線間電圧6,600ボルトの高圧配電方式を採用しており、従来の線間電圧440ボルトでの配電方式と比して電力ロスが低減されている[10]

なお、艦載機の飛行後洗浄等のニーズもあって造水能力は高く、横形真空二段蒸発式造水装置3基により、毎日60トンの真水を製造できる[10]

能力編集

ひゅうが型は単艦での戦闘能力を持っていたが、いずも型は艦そのものの戦闘能力は低く抑えられており、ヘリコプターの運用に重点を置いた艦である。多機能レーダーやソナーは簡略化されており、武装も最低限の自衛火器を除いては搭載せず、対潜用の魚雷すらない。これは前型の時点ですでに艦本体が洋上を機動して対潜その他戦闘に従事するには限界の大きさ(第二次世界大戦期の重巡洋艦クラス)であり、それ以上の大きさとなる本型は艦隊中核のプラットフォームに徹する運用が想定されているからである。すなわち単艦では運用せず、こんごう型あたご型あきづき型などの防空能力の高い護衛艦を伴った艦隊として運用することを前提としている[11]

C4I編集

C4Iシステムは、おおむねひゅうが型のものをもとに更新したものとなっている。戦闘指揮システムは、ひゅうが型のOYQ-10から武器管制機能を取り除いたOYQ-12であるが、基本的な構成は同一である。ただし採用端末は、オープンアーキテクチャ(OA)化をより推し進めた新COTSコンピュータとされており、情報処理サブシステムOYX-1と称されている[12]

MOFシステムの端末も、ひゅうが型と同様の洋上ターミナル(MTA)が踏襲されている。これらを装備する戦闘指揮所(CIC)と旗艦用司令部作戦室(FIC)は、いずれもひゅうが型と同様、ギャラリデッキ(第2甲板)に設置されているが、より拡大され、指揮・統制能力を強化している。また、同甲板には大画面モニターを複数そなえた多目的室が設けられており、統合任務部隊司令部(幕僚等100名規模)を設置できる。プレスセンター等としても使用できるように床下配線スペースがあり、非常用の医療区画としても使用できるように手術灯や簡易手術台となる机なども装備されている[8][13]

戦術データ・リンクとしては、ひゅうが型と同様にリンク 11リンク 16に対応する。衛星通信装置としては、XバンドのNORA-1Cと広帯域用のNORA-7、KuバンドのNORQ-1を備えているほか、アメリカ海軍の通信衛星に接続するためのAN/USC-42も搭載している[12]

航空運用機能編集

ヘリコプター5機の運用
 
デッキサイド式後部エレベータ

本型の航空運用機能は、ひゅうが型のものをもとに、大幅に増強したものとなっている。

上記の通り、上甲板(第1甲板)は全通したヘリコプター甲板とされており、長さ245m×幅38mが確保された。ひゅうが型の場合は長さ195m×幅33mであったことから、面積にして1.5倍に拡張されており、これに伴ってヘリコプター発着スポットは1つ増えて5つとなっている。艦首右舷側にも更に1個のスポットが設定されているが、こちらは発着用ではなく駐機用とされている。夜間でもヘリコプターが発着できるように、上甲板にはライトが埋め込まれている[8]

第3-5甲板を通じて設けられたハンガーは高さ7.2メートル、スライド方式の防火シャッターで前後の第1・第2格納庫に区分することができる[14]。またハンガー後方には航空整備庫も設けられているが、ここは格納庫よりも更に1層分高くして、天井クレーンを設置しており、ローターやエンジンの取り外しも可能である。第1・第2格納庫および航空整備庫はあわせて長さ125m×幅21mを確保している[8]。なお第1格納庫右舷前部、第2格納庫左舷後部には格納庫管制室が設けられている[9]

格納庫には各種ヘリコプターを格納する事ができ、SH-60Kの最大格納数は、第1格納庫に6機、第2格納庫に6機、整備格納庫に2機の計14機を格納する事ができる。

ただし、牽引車とトーバーを繋いだSH-60Kを、各エレベーター(第1エレベーターである前部のインボード式のエレベーターからも)から整備格納庫にアクセスしやすいようにスペースを取りながら格納する必要があるため、実際のオペレーションでは第1・第2・整備格納庫に満載するということは少ない。また、防火シャッターの妨げとなりダメージコントロールに非常に影響を及ぼすため、防火シャッターのレールを跨いで(第1・第2格納庫を跨いで)航空機を搭載する事は禁止されている。

航空機は、普段、格納庫に格納されており、使う度に甲板に出して対応する。アラート待機中では、甲板上で待機するが、数時間で他の機体と入れ替わりまた待機モードに移行する。尚、夜間は、アラートの機体を除き、全て格納庫に格納される。

航空機の定時整備として50時間点検や100時間点検等があり、それらは通常、整備格納庫で行われるが、整備格納庫に他の機体がある場合、各格納庫で行われる事がある。

ヘリコプター甲板とハンガーを連絡するエレベータはひゅうが型と同じく前後に計2基を有するが、ひゅうが型では前後ともにインボード式であったのに対し、本型では後部エレベータを艦橋後方右舷のデッキサイド式としている。これはイタリア海軍軽空母カヴール」と同様の装備方式である。前部の第1エレベータは長さ13メートル×幅20メートル、後部の第2エレベータは長さ15メートル×幅14メートルであり耐荷重は30トンで電動油圧制御方式[8]。デッキサイド式エレベータは、小型艦では波浪の影響が大きく、また、岸壁横付け時の障害となる恐れがある一方、エレベータの大きさ以上の大型機でも輸送可能というメリットがある[15]。第1エレベーター前部および格納庫最後尾にはクレーン車や牽引車を収納する車庫がある(艦首側が第1車庫、艦尾側が第2車庫)[8]。作戦説明やミーティングに使用される搭乗員待機室は35名収容でき、大型モニターを使用して効率的な意思疎通が出来るように配慮されている[8]

航空機に搭載するための弾薬エレベーターとして3基を装備しており、1基目は第1発着スポットのすぐ横、2基目は第1エレベーターのすぐ前、3基目は甲板の後部に書かれている艦番号のすぐ前に装備している。2基目の第1エレベーターの前にある弾薬エレベーターは、飛行甲板直下にある多目的区画に直結しており、2基目と3基目は殆ど同じ大きさである。

固定翼機の運用について編集

本型は、もともと優れた航空運用能力を備えていることもあって、竣工以前より、固定翼機を搭載する可能性が取り沙汰されていた[16]。2013年7月14日には、艦載機としての配備・運用も視野にF-35Bの導入が検討している由、FNNが報じたが[17]小野寺五典防衛相は検討の事実を否定していた[18]

自衛艦隊司令官の勝山拓海将は、本型は無改造でもF-35Bの発着艦・格納が可能であるとし、搭載機数としては、救難ヘリコプターおよび早期警戒ヘリコプターを加えて10機プラスアルファ程度と見積もる一方、艦首に大重量のソナーを備えることから、艦のバランスの問題上、スキージャンプ台の後付は困難であるため、戦闘行動半径や搭載量には相当な制約を伴うであろうと指摘していた[16]。飛行甲板について、軍事ジャーナリストの清谷信一は、V-22やF-35Bが離着艦時に噴出する高温の排気ガスに耐えられる処理がされていると主張している[19]。元自衛艦隊司令部幕僚長の内嶋修海将補も、基本的には現状のままで対応可能であろうとしているが、垂直着艦場所と発艦初動場所については、比較的長時間噴流を受けることになるため、更なる防熱加工が必要となる可能性を指摘している[20]

2010年代末になると、本格的な検討が着手された。2016年12月12日の公募に基づき[21]、2017年4月から2018年3月にかけて、「いずも」の建造業者であるジャパンマリンユナイテッドへの委託研究として「航空運用能力向上に係る調査研究」が実施され、無人航空機(UAV)2機種(MQ-8CおよびRQ-21A)とともにF-35Bも俎上に載せられた。このうちF-35Bについては、UAVとは異なり日米協同・統合運用を想定していたほか、整備用機材や補用品を搭載する諸室や兵装についても検討が及んでいた[22]。2017年12月25日には、将来的な本型での運用も視野に入れて、防衛省がF-35Bの導入を検討していることを共同通信が報じた[23]。その後の議論を経て、2018年12月18日に発表された平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について(30大綱)では「戦闘機の運用の柔軟性を更に向上させるため、必要な場合には現有の艦艇からのSTOVL機の運用を可能とするよう、必要な措置を講ずる」とし[24]、あわせて発表された31中期防では、必要な場合にSTOVL機を運用できるようにいずも型の改修を行う旨が明記された。なお、改修後も同型が多機能の護衛艦として多様な任務に従事することや、憲法上保持し得ない装備品に関する従来の政府見解に変更がないことが確認された[25]

個艦防御機能編集

上記のとおり、本型の搭載兵装は、ほぼ自衛用のものに限定される。

防空編集

多機能レーダーは、ひゅうが型で採用された国産のFCS-3から、ミサイル装備の省略に合わせてミサイル射撃指揮機能を省略して対空捜索と航空管制に用途特化したOPS-50を装備する。これはFCS-3の持つXバンドの追尾用アンテナ (ICWI) を省略しており、Cバンドの捜索用アンテナのみ四方に向けて4セットを搭載する。このアンテナはアクティブ・フェイズドアレイ (AESA) 方式の固定式で、装備要領はひゅうが型と同様、アイランド前部に0度と270度を向いたもの、後部に90度と180度を向いたものを設置している。また「かが」ではアンテナをブロック化し、背後から容易に整備できるように配慮したOPS-50Aに更新した[26]

なお、潜望鏡探知等のために回転式のOPS-28対水上捜索レーダー1基も搭載される[15]

武装としてはSeaRAMとファランクスCIWSを搭載する。いずものファランクスCIWSは当初、除籍艦から流用されたブロック1Aを搭載していた[13]。これは2017年2月にドック入りした際にブロック1Bに換装されている。2番艦かがは就役当初よりブロック1Bを搭載する。

SeaRAMアメリカ海軍インディペンデンス級沿海域戦闘艦に搭載されたものと同型で、ファランクス CIWS(高性能20mm機関砲)のM61 バルカンの替わりにRIM-116 RAMの11連装発射機を組み込んだ近接防空ミサイル・システムである[15]。最大射程は15km(ブロック2)と、ひゅうが型搭載のESSM個艦防空ミサイル(最大射程30-50km)に比べるとはるかに短射程である一方、対艦ミサイルへの近接防御という点に限れば、ひゅうが型よりも優れたものとなっている[13]。SeaRAMが搭載されたのは、海上自衛隊ではいずも型が初となる[8]

対潜戦編集

ソナーも、ひゅうが型では艦首のシリンドリカル・アレイと長大な側面アレイからなるOQQ-21が搭載されていたが、本型ではその側面アレイを省き、艦首アレイのみとしたOQQ-23とされた。これは、強力な自衛兵装を有するひゅうが型と異なり、本型がほぼ純粋な防護対象となることから、自らアクティブ対潜戦を展開する必要性は低く、最低限の対潜探知能力と対魚雷防御能力を有すれば良いと判断されたためとされている[15]

水雷装備としては、ひゅうが型で搭載されていたような対潜ミサイル魚雷発射管も持たない。ただし対魚雷のソフトキル用として、投射型静止式ジャマー(FAJ)、自走式デコイ(MOD)が搭載される。これらはいずれもひゅうが型では搭載されず、あきづき型(19DD)より制式化されたものである[15]

輸送艦・支援艦機能編集

本型では、マルチハザード化およびグローバル化に伴う任務の多様化に対応するため、護衛艦としてだけでなく、下記のように輸送艦や病院船など様々な機能も付与されている[15]

輸送艦機能
右舷中部には、軽車両に対応できる大型舷側歩板(幅4メートル強、耐荷重30トン弱)が設置されており、サイドランプとして機能する。舷側歩板は第5甲板のハンガーと連接していることから、その収容能力とあわせてRO-RO機能を備えている。なお船体開口部は高さ7メートル×幅4.5メートルである[9]
居住区とあわせて、陸上自衛隊の人員400名と3 1/2tトラック50台の輸送が可能とされており、また、航空自衛隊PAC-3 地対空ミサイル・システムの車両も収容可能であるが、戦車等の重車両の搭載は構造上不可能となっている。
補給艦機能
他艦艇への洋上給油能力(3,300kLの貨油・真水:汎用護衛艦3隻分)等を備えている。前部アイランドの01甲板にウィンチ等が装備されており、スパン・ワイヤ方式で洋上給油を行うことができる。ただし航空燃料の他艦への給油能力は持たない[9]
病院船機能
本型では、ましゅう型補給艦の医療システムをベースに、35床の入院設備を有しており、歯科治療から手術まで可能となっている他[8]、集中治療室も備わっている。また多目的室も天井に手術灯を配置するなど臨時戦闘治療所として考慮されているほか、必要に応じて、おおすみ型輸送艦と同様、格納庫内に陸上自衛隊の野外手術システムなどを展開することにより、さらに医療機能を増強することができる[8]
常に乗務するのは衛生士(看護師)のみであるが、災害派遣時などは48時間以内に医師を含む医療チームが配属され活動できるようになっている[8]

比較表編集

従来のヘリコプター搭載護衛艦との比較編集

DDH各型の比較
いずも型
(22/24DDH)
ひゅうが型
(16/18DDH)
しらね型
(50/51DDH)
はるな型
(43/45DDH)
排水量 基準 19,500 t 13,950 t 5,200 t 4,950 t
満載 26,000 t 19,000 t 6,800 t 6,850 t
船体規模 全長 248 m 197 m 159 m 153 m
全幅 38 m 33 m 17.5 m
主機 機関 ガスタービン ボイラー+蒸気タービン
方式 COGAG ギアード・タービン方式
出力 112,000 ps 100,000 ps 70,000 ps
速力 30 kt 32 kt(51DDHは31 kt) 31 kt
兵装 砲熕 54口径5インチ単装速射砲×2基
高性能20mm機関砲×2基
ミサイル SeaRAM11連装発射機×2基 Mk.41 VLS×16セル
(ESSMVLA)
シースパロー8連装発射機×1基
アスロック8連装発射機×1基
水雷 魚雷防御装置 3連装短魚雷発射管×2基
97式 / Mk46 / 73式
ヘリ運用
機能
搭載容量 14機 11機 3機
ヘリ甲板 全通
STOVL対応に改修予定)
全通 艦尾
常時搭載機数 SH-60J/K×7機
MCH-101×2機
SH-60J/K×3機
MCH-101×1機
HSS-2B / SH-60J/K×3機
同時発着 可能(同時に5機) 可能(同時に3機) 不可能(連続2機は可能)
同型艦数 2隻 2隻 2隻 2隻

機能の重複する他艦艇との比較編集

同様の機能を持つ艦艇との比較
いずも型
22/24DDH
ひゅうが型
16/18DDH
ましゅう型
12/13AOE
おおすみ型
05/10/11LST
排水量 基準 19,500 t 13,950 t 13,500 t 8,900 t
満載 26,000 t 19,000 t 25,000 t 14,000 t
船体規模 全長 248 m 197 m 221 m 178 m
全幅 38 m 33 m 27 m 25.8 m
兵装 砲熕 高性能20mm機関砲×2基 後日装備予定 高性能20mm機関砲×2基
ミサイル SeaRAM11連装発射機×2基 Mk.41 VLS×16セル
(ESSMVLA)
航空運用
機能
搭載容量 14機 11機 艦内空間転用で搭載可
搭載定数 SH-60J / K×7機
MCH-101×2機
SH-60J/K×3機
MCH-101×1機
同時発着 可能(同時に5機) 可能(同時に3機) 不可能
揚陸/輸送
機能
舟艇運用
能力
作業艇・内火艇のみ LCAC×2隻
水陸両用装甲車
RORO機能 サイドランプ(右舷側) なし サイドランプ(両舷側)
人員 便乗者500名 便乗者100名 n/a 戦闘員330名/民間人1,000人
収容容量 大型トラック×50台
※ハンガーデッキ転用
小型トラック
※ハンガーデッキ転用
90式戦車最大18両
大型トラック最大65台
補給機能 貨油タンク あり なし あり なし
洋上補給 可能 後日装備予定 可能 不可能
医療機能 病床 35床
集中治療室あり)
8床
(集中治療室含む)
46床
(集中治療室あり)
8床
(集中治療室2床含む)
同型艦数 2隻 2隻 2隻 3隻

世界の軽空母・ヘリ空母との比較編集

同規模の軽空母・ヘリ空母の比較
 カヴール  いずも型  ひゅうが型  チャクリ・ナルエベト
排水量 基準 22,130 t 19,500 t 13,950 t 10,000 t
満載 27,100 t 26,000 t 19,000 t 11,486 t
船体規模 全長 236.5 m 248 m 197 m 182.65 m
最大幅 39 m 38 m 33 m 30.5m
主機 機関 ガスタービン ディーゼル,ガスタービン
方式 COGAG CODOG
出力 118,000 hp 112,000 hp 100,000 hp 5,600 bhp(ディーゼル)
44,250 shp(ガスタービン)
速力 28 kt 30 kt 26 kt
兵装 砲熕 76mm単装速射砲×2基 ファランクスCIWS×2基 20ミリ単装機銃×2基
25mm機関砲×3基 12.7mm重機関銃×7基 12.7ミリ単装機銃×2基
ミサイル アスター15VLS×32セル SeaRAM11連装発射機×2基 VLS×16セル
ESSMVLA
SADRAL6連装発射機×3基
航空運用
機能
搭載容量 20機 14機 11機 12機
形式 STOVL ヘリコプター特化
(STOVL対応に改修予定)
ヘリコプター特化 STOVL
飛行甲板 スキージャンプ式 ヘリコプター甲板 スキージャンプ式
エレベーター 2基
同型艦数 1隻 2隻 2隻 1隻


同型艦編集

1番艦「いずも」(22DDH)は平成22年度(2010年度)予算で建造費1,139億円(初度費込み:1,208億円)が計上されている[27]。平成24年(2012年)1月から約3年の工期を目標に建造され、2015年3月25日に退役した「しらね」の後継艦として就役した。

2番艦「かが」(24DDH)は平成24年度(2012年度)予算で建造費1,155億円(初度費込み:1,170億円)が計上されており[28][29]、平成28年度(2016年度)に除籍となった「くらま」の後継艦として就役した。1番艦との相違点は開口部に蓋がついているところである。

艦番号 艦名 建造 起工 進水 竣工 所属
DDH-183 いずも ジャパン マリンユナイテッド
横浜事業所 磯子工場[30][31]
2012年
(平成24年)
1月27日[32]
2013年
(平成25年)
8月6日[33]
2015年
(平成27年)
3月25日
第1護衛隊群第1護衛隊
横須賀基地
DDH-184 かが 2013年
(平成25年)
10月7日
2015年
(平成27年)
8月27日[34]
2017年
(平成29年)
3月22日
第4護衛隊群第4護衛隊
呉基地

艦名編集

艦名についてはひゅうが型に引き続き旧国名を採用している。1番艦「いずも」の名は令制国出雲国に由来し、旧海軍出雲型装甲巡洋艦出雲」に続き日本の艦艇としては2代目となる。「いずも」の艦内には装甲巡洋艦「出雲」との比較図が飾られており、「いずも」が2代目にあたることも書かれている。2番艦「かが」は加賀国に由来し、旧海軍の空母「加賀」に続き2代目となる。

登場作品編集

映画編集

シン・ゴジラ
「いずも」が登場。多国籍軍によるゴジラへの核攻撃が行われることを受け、東京から疎開する都民を輸送する。この場面は、首都直下型地震を想定して2015年に実施された防災訓練の映像を使用している。

漫画編集

学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD
第7巻に「DDH-183 あかぎ」という名称で登場。床主湾にて、「奴ら」に襲われた生存者の救助活動を行う。
空母いぶき
いずも型をベースとし、スキージャンプ台を装備するなどの改良を行った航空機搭載型護衛艦DDV-192 いぶき」が登場。新設された第5護衛隊群の旗艦となり、航空自衛隊の架空ステルス戦闘機F-35JB」を15機搭載して艦隊を率い、先島諸島へ侵攻する中国軍と戦闘を繰り広げる。
また、「いずも」も登場しており、尖閣諸島攻略戦に於いて第5護衛隊群のサポートで艦隊を引き連れて出動する。

小説編集

新編 日本中国戦争
「いずも」が登場。FRAM(大規模改装)によってF-35Bが運用可能な飛行甲板を始め、対空・対艦・対潜兵器が装備され本格的なヘリ空母として運用される。
第三次世界大戦
「かが」が登場。ヘリ空母保有計画《イカロスβ計画》の一環で飛行甲板が簡易強化され、F-35Bを8機搭載する。
超時空世界大戦
架空艦「あまぎ」が登場。第1護衛隊群旗艦として日本列島とともにナチス・ドイツが世界制覇目前という別の歴史を辿る世界へタイムスリップしてしまうが、現代の日本に失望していたこともあり、新しい日本を作るために謀反を起こしてナチスに協力する。
日中世界大戦』(コスミック文庫版)
「いずも」が登場。第五護衛隊群旗艦として空母回航の護衛のためヨーロッパへ派遣される。
『日本国召喚』
「いずも」が登場。外交官を乗せて異世界の国家と接触する、陸上自衛隊の各種ヘリコプターを搭載して出撃するなど活躍する。
ルーントルーパーズ 自衛隊漂流戦記
架空艦「やしま」が登場。異世界へ飛ばされる自衛隊国連平和維持軍派遣艦隊の構成艦として、SH-60K哨戒ヘリコプターだけでなく陸上自衛隊AH-64D戦闘ヘリコプターも搭載し整備・運用している。

脚注編集

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注釈編集

出典編集

  1. ^ a b c 海人社 2013, pp. 84-89.
  2. ^ 海上自衛隊:ギャラリー:護衛艦(艦艇):いずも型 (DDH"IZUMO"Class)
  3. ^ 平成24年度防衛関係予算のポイント 財務省、12頁
  4. ^ 装備施設本部公示第34号 平成24年度「護衛艦」技術資料募集要領 別紙 防衛省装備施設本部[リンク切れ]
  5. ^ Hardy, James (2013年8月5日). “Japan unveils largest-ever helicopter carrier” (英語). IHS Jane's 360. IHS. 2014年2月7日閲覧。
  6. ^ 日米印訓練:「空母級」艦船そろい航行 過去最大級 - 毎日新聞
  7. ^ 関賢太郎 (2015年10月24日). “来年にも4隻体制に 導入進む日本の空母、その現状と課題”. 乗りものニュース (株式会社メディア・ヴァーグ). https://trafficnews.jp/post/44831/ 2016年12月11日閲覧。 
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s MAMOR編集部 2016.
  9. ^ a b c d 海人社 2015, pp. 86-93.
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  11. ^ 山崎 2013.
  12. ^ a b 海人社 2015, pp. 98-101.
  13. ^ a b c 東郷 2013.
  14. ^ 海人社 2013, pp. 90-93.
  15. ^ a b c d e f 海人社 2010.
  16. ^ a b 勝山 2013.
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  18. ^ 防衛省 (2013年7月16日). “大臣会見概要 平成25年7月16日(11時02分〜11時08分)”. 2013年7月16日閲覧。
  19. ^ 清谷信一 (2015年3月1日). “文民統制の放棄!なぜ「空母」が生まれたか。護衛艦「いずも」は、護衛能力のない被護衛艦”. 東洋経済ONLINE (東洋経済新報社). http://toyokeizai.net/articles/-/64841 
  20. ^ 内嶋 2019.
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  25. ^ 防衛省, ed (2018/12/18). 中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)について (Report). http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/pdf/chuki_seibi31-35.pdf. 
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  28. ^ 平成24年度予算の概要 防衛省、2頁
  29. ^ 平成24年度防衛関係予算のポイント 財務省、10頁
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  32. ^ 国内最大のヘリコプター搭載護衛艦の起工式を開催、IHI公式サイト、2012年1月27日
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参考文献編集

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  • 内嶋, 修「「いずも」型DDH (31中期防で建造・改修される自衛艦)」『世界の艦船』第897号、海人社、2019年4月、 80-85頁。
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  • 勝山, 拓「日の丸ヘリ空母が真の空母になる日 (世界の空母2013)」『世界の艦船』第783号、海人社、2013年9月、 122-125頁、 NAID 40019756918
  • 東郷, 行紀「4. ウェポン・システム (新型DDH「いずも」のハードウェア)」『世界の艦船』第787号、海人社、2013年11月、 98-101頁、 NAID 40019810473
  • 徳丸, 伸一「戦闘システム (「ひゅうが」型「いずも」型のすべて)」『世界の艦船』第858号、海人社、2017年5月、 92-97頁、 NAID 40021145542
  • MAMOR編集部, 編纂.「天下無双の巨艦 『いずも』発進!」『MAMOR』第107巻、扶桑社、2016年1月、 10-20頁、 NAID 40020670989
  • 山崎, 眞「空母型DDH 4隻体制と海上自衛隊 : その運用構想 (特集 新型DDH「いずも」)」『世界の艦船』第787号、海人社、2013年11月、 75-81頁、 NAID 40019810415

関連項目編集

外部リンク編集