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いずも (護衛艦)

日本の海上自衛隊のヘリコプター護衛艦

いずもローマ字JS Izumo, DDH-183)は、海上自衛隊ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)いずも型護衛艦の1番艦。艦名は令制国出雲国に由来し、旧海軍出雲型装甲巡洋艦出雲」に続き日本の艦艇としては二代目、海上自衛隊の護衛艦としては初代である。太平洋戦争期に竣工した航空母艦である蒼龍を若干ながら上回る規模と排水量を有し、2017年現在、2番艦の「かが」と共に海上自衛隊史上最大の自衛艦である。建造費用は1,139億[2]

いずも
DDH-183いずも型護衛艦.jpg
基本情報
建造所 ジャパン マリンユナイテッド 横浜事業所磯子工場
運用者  海上自衛隊
艦種 ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)
級名 いずも型護衛艦
建造費 1,208億円 (初度費込)
母港 横須賀
所属 第1護衛隊群第1護衛隊
艦歴
計画 平成22年度計画
発注 2010年
起工 2012年1月27日
進水 2013年8月6日
竣工 2014年9月22日 (公試)
就役 2015年3月25日
要目
基準排水量 19,500トン
満載排水量 26,000トン
全長 248.0m
最大幅 38.0m
深さ 23.5m
吃水 7.1m[1]
機関 COGAG方式
主機 IHILM2500IEC型ガスタービン × 4基
出力 112,000 馬力 (82 MW)
推進器 スクリュープロペラ × 2軸
最大速力 30ノット
乗員 520名(うち司令部要員50名)+長期宿泊可能者450名[1]
搭載能力 貨油 3300kL
3 1/2tトラック × 50台
兵装 高性能20mm機関砲(CIWS) × 2基
SeaRAM 近SAMシステム × 2基
搭載機 SH-60J/K哨戒ヘリコプター × 7機
MCH-101輸送ヘリコプター × 2機
最大14機[1]
C4ISTAR OYQ-12 戦術情報処理装置
レーダー OPS-50 対空
OPS-28 対水上
OPS-20 航海用
ソナー OQQ-23 ソナーシステム
電子戦
対抗手段
NOLQ-3D-1 電波探知妨害装置
Mk.137 デコイ発射機 × 6基
OLQ-1 魚雷防御装置 × 1式
その他 作業艇
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目次

艦歴編集

 
いずもと横浜港(2015年10月)

「いずも」は、平成22年度装備調達計画に基づく平成22年度計画19,500トン型ヘリコプター搭載護衛艦として、ジャパン マリンユナイテッド横浜事業所磯子工場で2012年1月27日に起工され、2013年8月6日に命名・進水[3]2014年9月22日公試開始[4]2015年3月25日に就役し、第3護衛隊群舞鶴基地)に編成替えとなった「ひゅうが」に替わり、第1護衛隊群第1護衛隊に編入された。定係港は横須賀

2016年4月に発生した熊本地震により就役後、初となる災害派遣任務にあたった。任務は被災地支援にあたる陸上自衛隊を輸送するため4月19日北海道小樽港に入港し、陸上自衛隊北部方面隊第1高射特科団を主力とした隊員約160人と車両40両を積載し、同日出港した[5]

2016年5月26日から5月27日に開催される伊勢志摩サミットの警戒監視のため、護衛艦「いかづち」他6隻とともに金城埠頭に入港した[6]

2017年5月1日、横須賀を出港し、安全保障関連法に基づき、自衛隊の艦船が平時に米軍艦船を守る「米艦防護」を初めて実施した。房総半島沖周辺で米海軍太平洋艦隊所属のルイス・アンド・クラーク級貨物弾薬補給艦リチャード・E・バード英語版」と合流し、周辺の警戒、監視にあたりながら航行、3日午前には四国沖の太平洋上で護衛艦「さざなみ」が合同し、防護に加わった[7][8]。米艦防護は3日午後4時ごろ鹿児島県奄美大島沖で終了した。その後、「さざなみ」及びアメリカのミサイル駆逐艦2隻とともに、南シナ海で5月7日から10日にかけて陣形・通信などの日米共同訓練を実施[9]。2隻は5月15日シンガポール共和国及び同国周辺海空域で実施されるシンガポール海軍主催国際観艦式及び多国間洋上訓練に参加し[10]、同月20日には医療活動などを通じて各国が交流を深める米軍主導の「パシフィック・パートナーシップ」の一環としてベトナムカムラン湾に寄港した[11]。6月4日にはフィリピンスービックにも寄港し、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の視察を受けた[12]。 7月10日から17日までインドチェンナイ) 及びインド東方海域で実施される日米印共同訓練(マラバール2017)に参加する[13]。 一連の派遣活動を終えた「いずも」は8月9日に横須賀基地に帰港した。

2017年8月31日、横須賀基地逸見岸壁においてイギリステリーザ・メイ首相の視察を受けた。防衛大臣海上幕僚長らも同席した[14]

2017年9月25日午前10時半ごろ、横須賀基地に停泊中の艦内で海自隊員ら11人が一酸化炭素中毒になり、病院に搬送された。いずれも軽傷。艦内では民間業者がふん尿をためるタンク内の清掃中だった[15]

2018年9月8日午前7時20分ごろ、神奈川県横須賀市横須賀基地に停泊中、油圧作動油が海上に流出した。横須賀海上保安部によると、海自はオイルフェンスで拡散を防いでおり、既に吸着マットで大部分を回収したという。 搭載するヘリコプターの昇降機を使っていたといい、海自は海保に「油圧系の故障と思われる」と通報。海保は、「いずも」の乗組員から事情を聴くなど原因を調べている[16]

同年10月11日より開催された済州国際観艦式に前年10月に韓国から招待を受け、本艦が参加する予定だった。しかし、自衛艦旗である旭日旗の韓国世論の近年の批判により韓国海軍より自衛艦旗の掲揚自粛の要請を受け、防衛大臣はじめ統合幕僚長、海上幕僚長がこの要請を批判し、到底受け入れられないコメントを表明[17][18][19]、後に韓国側に今回の観艦式への参加を中止することを通達した[20]

同年10月8日から10月10日にかけてアメリカ海軍と共同訓練を実施した。アメリカ海軍からは空母「ロナルド・レーガン」をはじめミサイル巡洋艦「アンティータム」、「チャンセラーズビル」、ミサイル駆逐艦「ベンフォールド」が参加した[21][22]

同年12月22日、本州南方海空域において米海軍及び英海軍との共同訓練を実施した。海自からは本艦のほか、P-1が参加、米海軍からはP-8A及び艦艇、英海軍からはフリゲートアーガイル」が参加した[23]

2019年4月に予定されていた本艦の韓国釜山への入港を見送った。韓国周辺海域において各国艦艇による共同訓練を行う予定だったが、韓国海軍による海自機へのレーダー照射事件に加え、韓国側が主張する海自機による威嚇飛行を問題視するなど日韓関係が悪化している中、韓国に派遣できる状況にないと判断した。釜山には入港せず、周辺海域での共同訓練だけに参加することも検討している[24]

2019年4月30日から7月10日にかけて護衛艦「むらさめ」とともに平成31年度インド太平洋方面派遣訓練に参加する。派遣中にブルネイ・ダルサラーム国マレーシアフィリピン共和国シンガポール共和国ベトナム社会主義共和国 を訪問し、シンガポールのチャンギ港周辺で実施されるADMMプラス海洋安全保障実動訓練及び同国で行われる国際海洋防衛装備展示会(IMDEX) Asia2019に参加する[25]

進出途上の5月3日から9日にかけて九州西方から南シナ海に至る海空域において米海軍、インド海軍及びフィリピン海軍と共同巡航訓練を実施した。参加部隊は、米海軍ミサイル駆逐艦「ウィリアム P.ローレンス」、インド海軍ミサイル駆逐艦「コルカタ」及び補給艦「シャクティ」、フィリピン海軍フリゲート「アンドレス・ボニファシオ[26]。 5月19日から22日にはスマトラ島西方海空域のインド洋においてフランス海軍オーストラリア海軍及び米海軍と日仏豪米共同訓練(ラ・ペルーズ)を実施する。参加艦艇はフランス海軍原子力空母シャルル・ド・ゴール」、ミサイル駆逐艦「フォルバン」、フリゲート「プロヴァンス」、「ラトゥーシュ・トレヴィル」、補給艦「マルヌ」、オーストラリア海軍フリゲート「ツゥーウムバ」、潜水艦、米海軍ミサイル駆逐艦「ウィリアム P.ローレンス」[27]

上記訓練の合間、シンガポールで5月14日から16日にかけて開催された国際海洋防衛装備展示会に参加した。その際に実施した一般公開で、見学者が艦内部の昇降機内に2時間程閉じ込められるトラブルが発生した[28]

歴代艦長編集

歴代艦長(特記ない限り1等海佐
氏名 在任期間 出身校・期 前職 後職 備考
艤装員長
吉野 敦 2013.8.6 - 2015.3.24 広修大
36期幹候[29]
おおなみ艦長 いずも艦長
艦長
1 吉野 敦 2015.3.25 - 2016.3.27 広修大・
36期幹候
いずも艤装員長 護衛艦隊司令部勤務
2 甲斐義博 2016.3.28 - 2018.4.1 防大31期 統合幕僚学校教育課
第1教官室学校教官
佐世保海上訓練指導隊司令
3 本山勝善 2018.4.2 - 防大34期 海上幕僚監部総務部総務課渉外班長

艦名編集

命名前は、平成22年度(2010年度)予算で建造される護衛艦であることから、年度にヘリコプター護衛艦を意味する記号の「DDH」を付け、「22DDH」と呼ばれていた。

命名進水式で艦名が公表されることになっていたが、式についての案内を記載した海上幕僚監部2013年7月16日のプレスリリースにおいて、黒塗りしていた本艦の艦名がパソコン上の操作によって見られる状態になっていた。海幕はミスに気づいて当該文書ファイルをすぐに差し替えた[30][31]

本艦の艦名においては、旧海軍戦艦に使用されていた「長門」の名前を継ぐ「ながと」を推す声もあったが、日本国内外で波紋を呼ぶ可能性があることから見送られた[32]。なお、旧海軍の艦船では装甲巡洋艦出雲」があり、「いずも」の艦内には装甲巡洋艦「出雲」との比較図が飾られている。一部の中国メディアは、装甲巡洋艦「出雲」が日中戦争時に第三艦隊の旗艦として上海に派遣された経歴のある艦であったことを理由に、この命名を批判的に報じた[33]

その他編集

 
就役直後の「いずも」(22DDH)

艦内神社は艦名にちなんで出雲大社が勧請され、賽銭箱も置かれている[34]

命名後に「いずも」のロゴマークが公募され、「ヤマタノオロチ天叢雲剣」をモチーフにしたものが選出された[35]

海上自衛隊としては初となる衛生士が配属された(衛生員は以前より存在していた)[34]。初配置された衛生士は女性であり[34]、准看護師と臨床検査技師の資格を持ち、部下として看護師、診療放射線技師、救命救急士の資格を持つ衛生員が乗艦した[34]

F-35Bの搭載が予定されている[36][37]

脚注編集

  1. ^ a b c 月刊「世界の艦船」2015年5月号(通巻816号)p.2
  2. ^ 防衛省 (2012年). “平成23年度 行政事業レビューシート 事業番号0036 護衛艦(DDH) (PDF)”. 2015年4月13日閲覧。
  3. ^ 其山史晃 (2013年8月6日). “海自最大の「ヘリ空母」進水 護衛艦いずも全長248m”. 朝日新聞. http://digital.asahi.com/articles/TKY201308060259.html 2013年8月6日閲覧。 
  4. ^ Ridzwan Rahmat (2014年9月28日). “Japan puts helicopter carrier Izumo on sea trials”. IHS Jane's Defence Weekly. http://www.janes.com/article/43775/japan-puts-helicopter-carrier-izumo-on-sea-trials 2014年9月29日閲覧。 
  5. ^ 海自最大艦「いずも」、初の災害派遣任務 陸自輸送で北海道・小樽出港 産経ニュース 2016年4月20日
  6. ^ 海自最大の護衛艦も投入 全長248メートル、ヘリ5機が同時発着可能 三重・志摩沖を警戒” (2016年5月23日). 2018年10月16日閲覧。
  7. ^ 海自が初の米艦防護、防衛相が命令…北をけん制YOMIURI ONLINE2017年4月30日
  8. ^ 米艦防護、護衛艦2隻…呉から「さざなみ」YOMIURI ONLINE 2017年5月3日
  9. ^ 南シナ海で日米が共同訓練”. 産経新聞ニュース2017年5月10日. 2017年5月13日閲覧。
  10. ^ シンガポール海軍主催国際観艦式への参加について (PDF)
  11. ^ 日米艦船、越カムラン湾に初の同時寄港 中国を牽制…災害救助など共同訓練 産経ニュース 2017年5月21日
  12. ^ “ドゥテルテ大統領、護衛艦「いずも」を視察 ルソン島で”. 朝日新聞ニュース. (2017年6月4日). http://www.asahi.com/articles/ASK6454L0K64UHBI010.html 
  13. ^ 日米印共同訓練(マラバール2017)への参加について (PDF)
  14. ^ 平成29年8月31日 テレーザ・メイ英国首相による護衛艦「いずも」視察について
  15. ^ “海自護衛艦「いずも」でCO中毒、11人軽症 横須賀基地”. 産経新聞. (2017年9月25日). http://www.sankei.com/smp/affairs/news/170925/afr1709250023-s1.html 2017年9月25日閲覧。 
  16. ^ 護衛艦「いずも」で油流出 海自横須賀基地に停泊中” (2018年9月8日). 2018年9月28日閲覧。
  17. ^ 海自、旭日旗掲げ韓国観艦式に参加へ 小野寺五典防衛相「国内法令に基づいて対応」” (2018年9月28日). 2018年10月7日閲覧。
  18. ^ 自衛隊の河野統幕長「自衛艦旗は海上自衛官の誇り。降ろすことは絶対にない」 韓国の「旭日旗」掲揚自粛を拒否” (2018年10月4日). 2018年10月7日閲覧。
  19. ^ 護衛艦に旭日旗掲揚=韓国の観艦式-海自トップ” (2018年10月2日). 2018年10月7日閲覧。
  20. ^ 観艦式へ不参加 韓国で開催、旭日旗の自粛要請で” (2018年10月5日). 2018年10月7日閲覧。
  21. ^ 海自と空自、CVN-76などと共同訓練” (2018年10月10日). 2018年10月12日閲覧。
  22. ^ 米海軍との共同訓練の実施について” (2018年10月10日). 2018年10月12日閲覧。
  23. ^ 日米英共同訓練の実施について (PDF)
  24. ^ 海自護衛艦「いずも」韓国への4月入港見送りへ” (2019年1月27日). 2019年1月27日閲覧。
  25. ^ 平成31年度インド太平洋方面派遣訓練の実施について (PDF)
  26. ^ 日米印比共同巡航訓練の実施について (PDF)
  27. ^ 日仏豪米共同訓練(ラ・ペルーズ)の実施について (PDF)
  28. ^ 日本の護衛艦「いずも」がシンガポールで大恥を晒したぞ! =中国メディア-サーチナ
  29. ^ 防大29期相当
  30. ^ 海上幕僚監部 (2013年7月16日). “平成22年度護衛艦の命名・進水式について (PDF)”. 2013年7月16日閲覧。
  31. ^ 防衛省:新艦名、命名式前にネット流出 サイト、黒塗り「解除」”. 毎日新聞 (2013年7月17日). 2013年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月20日閲覧。
  32. ^ 護衛艦:「長門」命名を見送り 旧海軍の象徴 毎日新聞 2013年7月27日
  33. ^ 新護衛艦「かが」に中国反発必至か 大きな「加賀」という艦名
  34. ^ a b c d MAMOR VOL.107 2016年1月号 扶桑社 10-20頁
  35. ^ 海上自衛隊ホームページ・護衛艦「いずも」ロゴマークの募集について
  36. ^ 「いずも」にF35B搭載 政府、防衛大綱明記へ調整”. 2018年11月27日閲覧。
  37. ^ F35戦闘機、105機購入へ うち42機は「空母」向けのF35B - 毎日新聞

関連項目編集

外部リンク編集