いなば食品

日本の静岡県静岡市にある食品メーカー

いなば食品株式会社(Inaba foods Co.,Ltd)は、缶詰レトルト食品ペットフード等を製造する食品メーカー静岡県静岡市清水区由比に本社がある。

いなば食品株式会社
Inaba Foods Co., Ltd.
静岡本社
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
421-3104
静岡県静岡市清水区由比北田114-1[1]
設立 1948年昭和23年)[1]
(稲葉食品株式会社)
(創業:1805年文化2年))
業種 食料品
法人番号 2080001011854 ウィキデータを編集
事業内容 缶詰・レトルト食品及びペットフード等の製造・販売
代表者 稲葉敦央(代表取締役社長)[1]
資本金 1億9500万円[1]
売上高 1310億円
営業利益 119億円(2023年度)[1]
従業員数 4880名[1]
主要株主 株式会社いなば 100%
主要子会社 いなばペットフード株式会社
いなばデリカフーズ株式会社
いなば食品ビジネスサービス株式会社
株式会社スマック
ヤマガタ食品株式会社
焼津水産化学工業株式会社
外部リンク www.inaba-foods.jp ウィキデータを編集
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静岡工場(清水区由比北田)

ツナ缶の「いなばライトツナ」やキャットフードの「CIAOちゅ〜る」およびその派生のドッグフードの「Wanちゅ〜る」が有名である。

沿革 編集

  • 1805年(文化2年) - 稲葉与吉・嘉助父子が静岡由比の地で海産物商として稼業を開始。
  • 1834年(天保5年) - 稲葉喜助嫡男、初代稲葉由蔵誕生。
  • 1837年(天保8年) - 稲葉喜助が鰹節製造を始める。
  • 1858年(安政5年) - 稲葉由蔵嫡男、稲葉作太郎誕生。
  • 1883年(明治16年) - 稲葉作太郎嫡男、稲葉吉太郎(のちに二代目作太郎を襲名)誕生。
  • 明治後半 〜 大正
    • 作太郎は家業の鰹節事業の強化ならびに稲葉作太郎商店を興す。
    • 静岡特産の生みかんの出荷・販売を手掛け、国内以外にカナダへ輸出も行う。ヤマニ印のブランドで行っていた。
  • 1910年(明治43年) - 二代目作太郎嫡男、三代目作太郎誕生。
  • 1936年(昭和11年) - 稲葉缶詰所創業(二代目作太郎)。
  • 1948年(昭和23年) - 三代目稲葉作太郎が稲葉食品株式会社を設立[2]
  • 1949年(昭和24年) - 三代目稲葉作太郎の子である稲葉由蔵が社長に就任[3]
  • 1951年(昭和26年) - 生みかん箱詰め、柑橘事業部を併設。
  • 1958年(昭和33年) - ペットフードの生産を開始。
  • 1964年(昭和39年) - イナちゃん印 漬物事業部を併設。
  • 1971年(昭和46年) - 「いなばライトツナ」発売。食べやすく、油がしみ込みやすいフレーク状にしたツナ缶を開発・発売。その後の市場のツナ缶がフレーク状になったように、業界における先導的な役割を担った製品となった。
  • 1976年(昭和51年) - 東京営業所を開設。
  • 1977年(昭和52年) - 大阪営業所、名古屋営業所を開設。
  • 1981年(昭和56年) - いなばライトツナ3缶パック発売。
  • 1982年(昭和57年) - ライトツナテレビCM開始。
  • 1988年(昭和63年) - 現社長稲葉敦央入社。
  • 1989年(平成元年) - キャットフード「CIAO」(チャオ)発売。
  • 1990年(平成2年) - 「いなばライトツナスーパーノンオイル」「CIAOホワイティシリーズ」発売。
  • 1991年(平成3年) - DHA添加商品「いなばスーパーライトツナDHA」発売。
  • 1992年(平成4年) - 社名をいなば食品株式会社に変更[2]
  • 1993年(平成5年) - ドッグフード市場に参入。DHA入りドッグフード「おりこうちゃん」発売。
  • 1995年(平成7年) - 稲葉敦央が社長に就任、前社長の稲葉由蔵は会長となった[4][注釈 1]。稲葉由蔵が藍綬褒章を受章、水産庁から省水産功績者として賞を受賞。
  • 1996年(平成8年) - いなば食品ビジネスサービス設立。
  • 1997年(平成9年) - ペットフード事業を分社化し、いなばペットフード株式会社を設立。
  • 2000年(平成12年) - CIAO焼かつお発売。
  • 2004年(平成16年) - 中国青島に、独資100%の「青島稲進有限公司」を設立。
  • 2006年(平成18年) - タイ現地法人「InabaFoods Thailand Company Limited.」設立。
  • 2009年(平成21年) - タイ現地法人「InabaPet Thailand Company Limited.」設立。
  • 2011年(平成23年) - いなば ツナとタイカレー発売。
  • 2012年(平成24年) - CIAOちゅ〜る発売。
  • 2013年(平成25年) - いなばタイカレーが日本食糧新聞社より第32回優秀ヒット章受章。
  • 2016年(平成28年)
    • 海外法人INBアメリカ「INABA FOODS (USA) Inc.」・海外法人INBヨーロッパ「INABA-FOODS (EUROPE) GmbH」設立。
    • 海外法人INBイギリス「Inaba Foods UK Ltd.」・海外法人INBマレーシア「INABA FOODS (MALAYSIA) SDN. BHD.」設立。
    • グループ売上高300億円達成。
  • 2018年(平成30年)
    • Wanちゅ〜る発売。
    • 連結売上高500億円達成。
    • 「CIAO」ブランドがWorld Branding Awards「ブランドオブイヤー」受賞。
    • 中国第2工場稼働。
  • 2019年(令和元年) - 海外法人Korea「INABA Foods Korea Co., Ltd」設立。
  • 2020年(令和2年)
    • タイ第2工場稼働。
    • 株式会社スマックの全株式取得[6]
  • 2021年(令和3年)
    • ヤマガタ食品株式会社の全株式取得[7]
    • 海外法人India「INABA FOODS INDIA PRIVATE LIMITED」設立。
  • 2022年(令和4年) - 2021年10月から2022年9月末までのグループ全体の売上高が1000億円を超える[8]
  • 2024年(令和6年)

主な商品 編集

  • ライトツナ
    • ライトツナスーパーノンオイル - カロリー53kcal。オイルを使わず野菜スープで仕上げたツナ缶。
    • ライトツナ食塩無添加オイル無添加 - カロリー51kcal。食塩を使わずに野菜スープだけで味付されたツナ缶。
  • ツナとタイカレー - タイで生産。
  • チキンとタイカレー - タイで生産。[注釈 2]
  • 1兆個すごい乳酸菌シリーズ
以下は子会社のいなばペットフードから発売している商品
  • CIAOシリーズ(キャットフード)
  • ちゅ〜るシリーズ
    • CIAOちゅ〜る(キャットフード)
    • Wanちゅ〜る(ドッグフード)

不祥事 編集

新入社員入社辞退報道 編集

2024年4月10日、週刊文春は同日配信のウェブ記事並びに翌11日発売の記事において、同族経営によるパワーハラスメントや事前に説明されていた社宅や賃金内容が異なることを理由として、今年度に一般職として入社が内定していた19人のうち、9割となる17人が入社を辞退したと報じた[14][15]

これを受けて、いなば食品は2024年4月12日に『由比のシェアハウス報道について』[注釈 3]と題した声明を発表。今年度に新卒で入社する社員数は計98人[注釈 4]であること、社宅(シェアハウス)の改修を担当していた当時の副社長(総務部長)が2023年10月に緊急入院し、2024年1月に死去したため、シェアハウスへの対応が遅れたこと、その結果として新卒一般職の16人が入社辞退に至ったことを説明し、謝罪した[16][17][18]

食品衛生法違反報道 編集

2024年4月17日、週刊文春は同日配信のウェブ記事において、2023年5月に稼働した新施設において、静岡市保健所への移設許可申請を行わないまま、約2か月間操業していたことを報じた。これについて、静岡市保健所食品衛生課は週刊文春の取材に対して、この事案があったことを認めた上で食品衛生法の第55条に違反することを指摘している[19]

これを受けて、いなば食品は2024年4月18日に『「鶏肉のボイル工程設備の移設許可申請の遅れ」(食品衛生法第55条の事前申請「許可変更」の取得漏れ)』と題した声明を発表。静岡市長による営業許可が下りていない状態で2か月間稼働していたことを認めた上で2023年7月15日に静岡市保健所職員が施設への立ち入り並びに製品の検査をした結果、同保健所は施設が基準に合致していることや「食品衛生上の危害を生ずる恐れはなかった」として既に出荷済みを含む製品の回収命令は行わない判断をしたことなどと説明し、謝罪した[20][21]

関連会社 編集

  • いなばデリカフーズ株式会社
  • いなば食品ビジネスサービス株式会社
  • いなばペットフード株式会社
  • 青島稲進食品有限公司
  • 株式会社スマック
  • ヤマガタ食品株式会社
  • 焼津水産化学工業株式会社

スポンサー番組 編集

現在(子会社のいなばペットフードのCMが中心)

過去

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 稲葉由蔵は2002年に76歳で死去した[5]
  2. ^ カバヤ食品とのコラボでこの缶詰両種の味をイメージしたスナック菓子が2014年7月下旬より発売された。またサンヨー食品(サッポロ一番)とのコラボにより、缶詰各種の味をイメージしたカップ麺が2014年11月中旬より発売されている。
  3. ^ 当初は「由比のボロ家報道について」との題名で発表していたが、後日(2024年4月14日頃)に変更となった。
  4. ^ その内、原則異動のない一般職で入社する新卒社員は43人、国内外への異動がある総合職で入社する新卒社員は55人としている。

出典 編集

  1. ^ a b c d e f 会社概要”. いなば食品株式会社. 2024年4月15日閲覧。
  2. ^ a b 歴史を知る”. いなば食品株式会社 新卒採用サイト. 2024年4月14日閲覧。
  3. ^ いなば食品、日本語が意味不明な釈明コメントが物議…ヤバい同族企業の典型例か”. Business Journal (2024年4月13日). 2024年4月14日閲覧。
  4. ^ いなば食品、新社長に稲葉敦史氏”. 日本食糧新聞 (1995年6月28日). 2024年4月14日閲覧。
  5. ^ 稲葉由蔵氏(いなば食品会長)15日死去”. 日本食糧新聞 (2002年4月19日). 2024年4月14日閲覧。
  6. ^ INBホールディングス、ペットフード製造・販売のスマックの全株式取得へ”. M&Aマガジン. 日本M&Aセンター (2020年8月19日). 2024年4月14日閲覧。
  7. ^ ヤマガタ食品株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
  8. ^ いなば食品、初の売上高1000億円超”. 日本経済新聞 (2022年10月29日). 2024年4月14日閲覧。
  9. ^ 清水庵原球場の略称「ちゅ~るスタ」に決定 ⚾ハヤテ223本拠地」『あなたの静岡新聞』、2024年1月16日。2024年1月16日閲覧。
  10. ^ 清水庵原球場の愛称「ちゅ~るスタ」に ハヤテ223本拠地」『毎日新聞』、2024年1月16日。2024年1月16日閲覧。
  11. ^ 石田仁志 (2024年2月5日). “焼津水産、いなば食品が1株1350円でTOB 旧村上ファンド系売却”. ロイター通信. https://jp.reuters.com/markets/global-markets/B533RQAUXFMKPJOHQZ4YXZBA2Q-2024-02-05/ 2024年2月6日閲覧。 
  12. ^ 焼津水産化学工業のTOB価格変更 1438円に引き上げ”. 日本経済新聞 (2024年3月11日). 2024年3月27日閲覧。
  13. ^ 青山敦子 (2024年3月27日). “焼津水産、いなば食品によるTOB成立 非公開化へ”. ロイター通信. https://jp.reuters.com/markets/global-markets/SJXUYLO67VPIVBXCAOSRIOMFPQ-2024-03-27/ 2024年3月28日閲覧。 
  14. ^ 「ウラに契約違反と“女帝”の存在が…」“CIAOちゅ~る”のいなば食品で一般職の新入社員9割が入社拒否「逆らうと、どうなるかわからない」”. 週刊文春 (2024年4月10日). 2024年4月19日閲覧。
  15. ^ いなば食品、新入社員巡る報道を謝罪「今後とも社員一同、社業に邁進」 新卒入社は85名「既に入社」”. スポーツニッポン (2024年4月12日). 2024年4月19日閲覧。
  16. ^ 由比のシェアハウス報道について”. いなば食品株式会社 (2024年4月12日). 2024年4月19日閲覧。
  17. ^ いなば食品、新入社員の社宅巡る報道について謝罪し経緯説明 責任者の死亡で「空白となって」”. 日刊スポーツ (2024年4月12日). 2024年4月19日閲覧。
  18. ^ 増沢隆太 (2024年4月15日). “いなば食品「仰天リリース」意外と逃げ切れる背景”. 東洋経済新報. 2024年4月19日閲覧。
  19. ^ 「保健所の正式許可がない状態で2カ月操業」いなば食品が隠蔽していた「食品衛生法」違反!《ボロ家ハラスメントで炎上中》”. 週刊文春 (2024年4月17日). 2024年4月19日閲覧。
  20. ^ 「鶏肉のボイル工程設備の移設許可申請の遅れ」(食品衛生法第55条の事前申請「許可変更」の取得漏れ)”. いなば食品株式会社 (2024年4月18日). 2024年4月19日閲覧。
  21. ^ いなば食品静岡工場、2カ月間営業許可遅れ 市保健所、衛生面「危害の恐れなし」判断”. 静岡新聞 (2024年4月19日). 2024年4月19日閲覧。

外部リンク 編集