鶯芸者歌手(うぐいすげいしゃかしゅ)とは、昭和戦前期から戦後にかけて活躍した流行歌を歌う芸者歌手、または芸者出身の歌手のこと。

歴史 編集

戦前の昭和初期より隆盛し鶯芸者ブームがあったが、第二次世界大戦後にも新規にレコードデビューしたヒット芸者歌手が複数いる。戦前は歌手の社会的地位が低かったこと、女性の社会進出が戦後ほど盛んでなかったこと、のど自慢大会等もなく一般人が歌手になるルートが乏しかったことなどにより、女性歌手の前歴の中で芸者出身者は歓迎された。代表的な歌手には、小唄勝太郎(女性)、赤坂小梅、市丸らがいた[1]

また芸者経験はないが芸者風の衣装で歌う女性歌手も戦前期からいて、戦後の昭和30年代お座敷ソングブームでは芸者経験のない歌手が多く歌っている。五月みどりも芸者経験はなかった[2]芸者歌手やその類縁歌手が歌う日本調の流行歌は、歌謡曲の一つの分野を形成した。うぐいす芸者の歌手名は、妓籍名に出身花柳界地名をつける場合(赤坂小梅など)、つけない場合(市丸など)、両方が適用されている場合(新橋喜代三または単に喜代三)、自身の専門を芸苗字として名乗る場合(小唄勝太郎など)とがある。

主な活動メディアはレコード、ラジオ映画テレビ(戦後)で、通常の歌謡曲歌手と変わらない。ただし、流行歌のレコードと並行して民謡、端唄、小唄等のレコードも残したのが特徴である。その比重は歌手によって異なるが、藤本二三吉、赤坂小梅など、流行歌の歌い手としてよりもむしろ、端唄や民謡等、邦楽の分野での活躍が目立った歌手も多い。戦後も神楽坂はん子、榎本美佐江[3]らが人気となった。

芸者歌手の主なヒット歌謡曲/代表的な民謡・端唄等 編集

類縁歌手・類縁曲 編集

芸者経験のない芸者風女性歌手のヒット歌謡/代表的な民謡・端唄等 編集

芸者の着物ではない女性歌手が男性歌手と歌う類縁曲 編集

脚注 編集

  1. ^ 市丸 2022年9月30日閲覧
  2. ^ 五月みどり プロフィール 2022年10月1日閲覧
  3. ^ プロ野球投手の金田正一と結婚、離婚している

関連項目 編集