おとうと』は、2010年日本映画山田洋次監督。

おとうと
監督 山田洋次
脚本 山田洋次
平松恵美子
原作 幸田文
出演者 吉永小百合
笑福亭鶴瓶
音楽 冨田勲
撮影 近森眞史
編集 石井巌
製作会社 『おとうと』製作委員会
配給 松竹
公開 日本の旗 2010年1月30日
上映時間 126分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 21.0億円[1]
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概要 編集

山田洋次監督にとって、『十五才 学校IV』以来10年ぶりの現代劇である。1960年に『おとうと』を撮った市川崑監督に捧げられた。病に倒れた弟に姉が鍋焼きうどんを食べさせるシーン、そしてふたりがリボンで手をつないで眠るシーンがオマージュとして反復されている[2]

全国303館で公開され、2010年1月30-31日の2日間で動員21万8,171人、興収2億3,592万9,100円を記録し、週末興行成績ランキング(興行通信社調べ)で初登場第3位となっている[3]。公開2週目で興収10億円を突破、公開15日目で動員約101万人を突破した[4]

2010年2月11日開催の第60回ベルリン国際映画祭でクロージング上映された。また山田洋次監督に特別功労賞に当たるベルリナーレ・カメラ賞が贈られた。

作中で大阪市西成区にあるという設定の「みどりのいえ」は、東京都の山谷地域に実在するホスピスの「きぼうのいえ」をモデルにしたものである[5]

ロケは、東京都大田区の石川台希望ヶ丘商店街、千葉県木更津市オークラアカデミアパークホテル大阪市西成区大阪市浪速区星薬科大学横浜市立みなと赤十字病院などで行われた。姉・吟子が東京から大阪に向かうシーンでは、JR東日本企画のロケーションサービスによって、はやて14号(八戸 - 東京)車内が撮影に利用された。このため東海道新幹線とは座席の色などが異なっている。

山田洋次の監督映画としては初めてBlu-ray Discが発売された作品でもある。

ストーリー 編集

結婚して数年で夫を亡くし、小さな薬局を営みながら、女手ひとつで娘の小春を育てた姉・吟子と、役者としての成功を夢み、無為に歳を重ねてしまった風来坊の弟・鉄郎の物語である。鉄郎は姉・吟子の夫の十三回忌の席で酔っ払って大暴れし、親類中の鼻つまみ者となっていた。以後10年近く吟子との連絡も途絶えていたが、娘のように可愛がっていた姪の小春が結婚することをたまたま知り、披露宴に駆けつけた。

歓迎されざる客を追い返そうとする親類を吟子は取りなし、鉄郎に酒は一滴も飲まないと約束させて披露宴に参加させた。しかし鉄郎は目の前に置かれた酒の誘惑に抵抗できず、あっさりと約束を破ったばかりか酔っぱらって大騒ぎを演じ、披露宴を台無しにしてしまう。その事件は、のちに小春の結婚が破綻する一因ともなる。結婚式での乱行に激怒した親類らが次々と絶縁を決め込む中、ただ一人、吟子だけは鉄郎の味方だったが、その吟子も、ある事件をきっかけについに鉄郎に絶縁を言い渡してしまう。鉄郎は悪態を吐いて出て行くが、 この時既に鉄郎は死の病に取り付かれていた。

キャスト 編集

スタッフ 編集

受賞歴 編集

  • 第34回日本アカデミー賞
    • 優秀作品賞
    • 優秀監督賞(山田洋次)
    • 優秀脚本賞(山田洋次、平松恵美子)
    • 優秀主演男優賞(笑福亭鶴瓶)
    • 優秀主演女優賞(吉永小百合)
    • 優秀助演女優賞(蒼井優)
    • 優秀音楽賞(冨田勲)
    • 優秀撮影賞(近森眞史)
    • 優秀照明賞(渡邊孝一)
    • 優秀録音賞(岸田和美)
    • 優秀編集賞(石井巌)

脚注 編集

参考文献 編集

外部リンク 編集