かが (護衛艦)
かが(ローマ字:JS Kaga, DDH-184)は、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)。いずも型護衛艦の2番艦。
かが | |
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![]() 金沢港に停泊中の「かが」(2017年7月撮影) | |
基本情報 | |
建造所 | ジャパン マリンユナイテッド 横浜事業所磯子工場 |
運用者 |
![]() |
艦種 | ヘリコプター搭載護衛艦(DDH) |
級名 | いずも型護衛艦 |
建造費 | 1,170億円 (初度費込) |
母港 | 呉 |
所属 | 第4護衛隊群第4護衛隊 |
艦歴 | |
計画 | 平成24年度計画 |
発注 | 2012年 |
起工 | 2013年10月7日 |
進水 | 2015年8月27日 |
竣工 | 2016年8月5日(公試) |
就役 | 2017年3月22日 |
要目 | |
基準排水量 | 19,500トン |
満載排水量 | 26,000トン |
全長 | 248.0m |
最大幅 | 38.0m |
深さ | 23.5m |
吃水 | 7.1m[1] |
機関 | COGAG方式 |
主機 | IHILM2500IEC型ガスタービン × 4基 |
出力 | 112,000 馬力 (82 MW) |
推進器 | スクリュープロペラ × 2軸 |
最大速力 | 30ノット |
乗員 | 520名(うち司令部要員50名)+長期宿泊可能者450名[1] |
搭載能力 |
貨油 3300kL 3 1/2tトラック × 50台 |
兵装 |
高性能20mm機関砲(CIWS) × 2基 SeaRAM 近SAMシステム × 2基 |
搭載機 |
SH-60J/K哨戒ヘリコプター × 7機 MCH-101輸送ヘリコプター × 2機 最大14機[1] |
C4ISTAR | OYQ-12 戦術情報処理装置 |
レーダー |
OPS-50 対空 OPS-28 対水上 OPS-20 航海用 |
ソナー | OQQ-23 ソナーシステム |
電子戦・ 対抗手段 |
NOLQ-3D-1 電波探知妨害装置 Mk.137 デコイ発射機 × 6基 OLQ-1 魚雷防御装置 × 1式 |
艦名は令制国の加賀国に由来し、旧海軍の航空母艦「加賀」に続き日本の艦艇としては二代目、海上自衛隊の護衛艦としては初代である。太平洋戦争期の正規空母・雲龍型航空母艦や蒼龍を若干ながら上回る規模と排水量を有し、甲板を含めた全長248mは旧海軍空母「加賀」(単層の飛行甲板に改装後)とほぼ同じ。艦内神社は白山比咩神社(加賀国一宮)[2]。
1番艦の「いずも」と共に海上自衛隊史上最大の艦艇。建造費用は1,155億円[3][4]。
目次
艦歴編集
「かが」は、しらね型護衛艦2番艦「くらま」の代替艦として計画され、23中期防に基づく平成24年度計画19,500トン型ヘリコプター搭載護衛艦(24DDH)として、ジャパン マリンユナイテッド横浜事業所磯子工場で2013年10月7日に起工され、2015年8月27日に命名・進水、2016年8月5日に公試開始となった[5]。
2017年3月22日に就役し[6][7]、第2護衛隊群(佐世保基地)に編成替えとなった「いせ」に替わり、第4護衛隊群第4護衛隊に編入された。定係港は呉[8]。同年7月14日から17日にかけて艦名ゆかりの石川県金沢港に寄港[9][10]。15日の一般公開には15000人が来艦し[9]、高い関心を集めた。なおこの際に招待客を昇降機の開口部から転落させる事故を起こしたとして、2018年7月3日に業務上過失傷害の疑いで、当時の艦長と副長が書類送検された[11]。
2018年7月13日から7月20日まで平成30年7月豪雨を受けて、呉で被災者への入浴支援をおこなった[12]。
同年8月26日から10月30日まで行われるインド太平洋方面派遣訓練に護衛艦「いなづま」、「すずつき」とともに参加し、インド、インドネシア共和国、シンガポール共和国、スリランカ民主社会主義共和国、フィリピン共和国を訪問する[13]。9月13日には南シナ海で潜水艦「くろしお」と合流し、対潜戦の訓練を実施した[14][15]。 9月26日にはスマトラ島西方海空域において「いなづま」とともに南シナ海へ向かうイギリス海軍フリゲート艦「アーガイル」と日英共同訓練を実施した[16]。10月11日〜10月15日にかけてインド海軍との共同訓練「JIMEX 18」を実施した[17][18]。同月18日、訓練最後の寄港地となるシンガポールに入港した[19]。同月23日まで寄港し、シンガポール海軍と訓練を行う予定[20]。
その後は再び南シナ海に入り、中国人民解放軍海軍の駆逐艦「蘭州」の追尾を受けつつ行動。米海軍補給艦「ペコス」から10月25日に、「いなづま」とともに海上給油を受けた[21]。
ロゴマーク編集
艦のロゴマークは一般から公募されたもので、金箔や加賀友禅など加賀藩の名産品や、加賀藩主である加賀前田家の家紋でもある梅などを取り入れたデザインである[22]。 日本を代表する四季の花々を春夏秋冬の順番で配置し、そのバックに広がる蔦には、日本海の波しぶきと、加賀を吹き抜ける風を表し、中央の海鳥はヘリコプターが力強く飛び立つイメージを表している。
これらの花の花言葉と「自衛官の心がまえ」には相通じる部分があり、ヘリコプター搭載護衛艦として高い誇りをもって職務に精励する乗員のシンボルである。
歴代艦長編集
代 | 氏名 | 在任期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 | 備考 |
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艤装員長 | ||||||
遠藤昭彦 | 2015.8.27 - 2017.3.21 | 防大33期 | くらま艦長 | かが艦長 | ||
艦長 | ||||||
1 | 遠藤昭彦 | 2017.3.22 - 2018.3.15 | 防大33期 | かが艤装員長 | 海上訓練指導隊群司令部首席幕僚 | |
2 | 水田英幹 | 2018.3.16 - | 防大32期 | 海上訓練指導隊群司令部首席幕僚 |
脚注編集
- ^ a b c 月刊「世界の艦船」2015年5月号(通巻816号)p.2
- ^ “石川ゆかりの名護衛艦「かが」紹介”. 北國新聞社. (2016年11月15日)
- ^ 平成24年度予算の概要 防衛省、2頁
- ^ 平成24年度防衛関係予算のポイント 財務省、10頁
- ^ 護衛艦「かが」初公試、完成秒読みに 海自ヘリ空母、4隻体制化の大きな意味、浮き彫りになる課題 Archived 2016年8月17日, at the Wayback Machine.
- ^ 海自最大の護衛艦「かが」就役 248mのヘリ空母型 朝日新聞デジタル2017年3月22日
- ^ 海自最大の護衛艦「かが」が就役 - YouTube(朝日新聞社提供、2017年7月6日公開)
- ^ 海自最大のヘリ護衛艦「かが」、母港の呉に初入港 - YouTube(朝日新聞社提供、2017年7月6日公開)
- ^ a b 北國新聞2017年7月16日「護衛艦「かが」公開に1万5000人 金沢港、見学者でにぎわう」
- ^ 護衛艦かが 金沢港に寄港!一般公開 現地レポート 【前編】 - 金沢まちゲーション(2017年7月17日更新)2018年6月21日閲覧
- ^ “海自護衛艦の艦長ら2人書類送検金沢港で招待客転落事故容疑”. 東奥新聞. (2018年7月3日) 2018年7月8日閲覧。
- ^ “平成30年7月豪雨に係る自衛隊の災害派遣について(11:00現在)” (pdf). 防衛省. (2018年7月21日) 2018年8月19日閲覧。
- ^ 平成30年度インド太平洋方面派遣訓練の実施について (PDF)
- ^ “中国をけん制、南シナ海で潜水艦訓練…海自公表”. 読売新聞. (2018年9月18日) 2018年9月18日閲覧。
- ^ 対潜戦訓練の実施について (PDF)
- ^ 日英共同訓練の実施について (PDF)
- ^ “かがといなづま、インド海軍と共同訓練「JIMEX 18」を実施” (2018年10月15日). 2018年10月16日閲覧。
- ^ “インド海軍との親善行事及び共同訓練の実施について” (2018年10月15日). 2018年10月16日閲覧。
- ^ “海自護衛艦「かが」がシンガポールに寄港 中国を牽制”. 産経新聞. (2018年10月18日) 2018年10月19日閲覧。
- ^ “海自護衛艦、シンガポールに寄港 最新鋭の「かが」、共同訓練で”. 中日新聞. (2018年10月18日) 2018年10月19日閲覧。
- ^ 日米の洋上給油「監視」する中国艦 南シナ海『朝日新聞』朝刊2018年10月26日(社会面)2018年10月29日閲覧。
- ^ 海上自衛隊:護衛艦「かが」ロゴマーク決定
関連項目編集
外部リンク編集
- 船舶の情報と現在位置 - MarineTraffic.com
- ヘリ護衛艦「いずも」の「戦いかた」 哨戒ヘリとともにどのように運用されている? 矢作真弓 - 乗りものニュース(2018.06.21版)2018年6月21日閲覧