きく4号英語: Engineering Test Satellite - IIIETS-III)は宇宙開発事業団 (NASDA) が打ち上げた人工衛星技術試験衛星)である。技術試験衛星III型なのに愛称がきく4号なのは、先にN-IIロケット1号機によって技術試験衛星IV型が打ち上げられ、きく3号の愛称が与えられたため。

技術試験衛星III型「きく4号(ETS-III)」
所属 NASDA
主製造業者 東芝
公式ページ 技術試験衛星III型「きく4号(ETS-III)」
国際標識番号 1982-087A
カタログ番号 13492
状態 運用終了
目的 中高度三軸衛星技術の確立
設計寿命 1年
打上げ場所 種子島宇宙センター大崎射場大崎射点
打上げ機 N-Iロケット7号機(N9F)
打上げ日時 1982年9月3日14:00
運用終了日 1985年3月8日
物理的特長
本体寸法 850mm×850mm×1,950mm
質量 385kg
主な推進器 イオンエンジン
姿勢制御用ガスジェット×12
姿勢制御方式 3軸姿勢制御
(ゼロモーメンタム方式)
軌道要素
周回対象 地球
軌道 略円軌道
近点高度 (hp) 964km
遠点高度 (ha) 1,234km
軌道傾斜角 (i) 45度
軌道周期 (P) 107分
ミッション機器
ビジコンカメラ
能動式熱制御装置
イオンエンジン装置
磁気姿勢制御装置
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目的 編集

大電力を必要とする中高度の地球観測衛星などの開発に必要な三軸制御、太陽電池パドルの展開、能動式熱制御などの技術試験・確認を目的としている。

特徴 編集

三軸衛星技術の早期確立のため、自主設計を基調とし、可能な限り国産技術の育成、国産部品の活用を図っている。

開発 編集

3機目の技術試験衛星として1973年度に概念設計を行い、衛星システムの構想がまとめられた。この成果をもとに1975年度と1976年度に予備設計を実施、最適な衛星システムの選定を行い、基本設計仕様を決定した。搭載実験機器については1976年度に予備設計を実施し、基本設計仕様を決定した。これらの成果によって1977年度から開発を開始し、基本設計を行った。1978年度には詳細設計を実施した他、プロトタイプモデル(PM)及びフライトモデル(FM)の製作・試験を開始した。

運用 編集

1982年9月3日N-Iロケット7号機で種子島宇宙センターから打ち上げられた[1]。打ち上げ後56分までにデスピン、太陽電池パドル展開、地球サーチ・捕捉、ヨー捕捉、太陽捕捉・追尾の制御を正常に実施し、三軸姿勢を確立した。

70日間の初期段階においては、基本機器及び搭載実験機器の機能・性能が正常であることを確認した。打ち上げ約2ヶ月後から定常段階に移行し、ビジコンカメラによる地球撮像などの実験を開始した。1983年9月2日からの後期利用段階でも略円軌道を保持したまま軌道実験を継続した。姿勢制御用燃料が枯渇したため1985年3月8日に運用を終了した[1]

脚注 編集

  1. ^ a b 技術試験衛星III型「きく4号」(ETS-III)”. 宇宙航空研究開発機構. 2021年12月23日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集